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人間にとって法とは何か/橋爪大三郎

 法学部では「法とは何か」を学ぶことはない。たいていは1年次の必修科目として「法学」があるが、ここで学ぶのは、法源の種類とか、法解釈の種類だったり、あるいは比較法だったりする。シラバス上は「法とは何か」を初めに学ぶことになっているが、通り一遍に撫でるだけである(私の経験に基づいているので違う大学、講義もあるかもしれませんが)。

 この本は、「いま現に通用している法律の条文をこと細かに解釈する『法律学』よりも、法律とはそもそもどういう原則から成立しているのかを扱う『法学』のほうが、はるかに大事である。そうした法律の原則は、法学部の枠には必ずしも収まりきらない」ということで、ユダヤ教、キリスト教はもちろんのこと、イスラム教、仏教、儒教における法のあり方を振り返って、近代法の成り立ちや日本社会の法受容にまで言及する。
 こういう「法学」のあり方は、法学部関係者にはたぶん受けない。司法試験対策であれ、他の資格試験対策であれ、すぐに役立つ技術として法律学習を位置づける方が一般的だし、そういうプラグマティック(?)なものが求められてもいるのだろうから。
 著者のスタンスは、それに比べると貴族的というか高踏的というか、ガツガツしていなくて余裕がある。ギルド養成的な法学部教育とは一線を画した、俯瞰的なスタンスも世には必要なのだと思う。そしてそれに私は好感を持った(法学部劣等生の現実逃避ではないと自分では思っていますが…)。

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