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南ヴェトナム戦争従軍記(全)/岡村昭彦

 第二のキャパと紹介された国際フォトジャーナリストの戦場レポート。ただし写真の点数は多くなく、テキスト中心。

 1965年の岩波新書『南ヴェトナム戦争従軍記』と1966年の『続南ヴェトナム戦争従軍記』を1冊にまとめた、ちくま文庫版を読んだ。

 本編(『南ヴェトナム戦争従軍記』)は、フォトジャーナリストになりたての時期の取材記を日記風に書いたもの。第二次世界大戦後にラオスに残ってラオス軍に参加した日本人への取材や、初めての南ヴェトナム軍への従軍、在韓米軍基地で窃盗をして射殺された少年の家族への取材、李承晩ラインをめぐる韓国漁船への取材記などからなる。
 この中で印象的だったのは、実はヴェトナムではなく韓国取材。韓国側の主張を報道する必要があるという筆者に対して船主達には反日感情もあって、乗船する船を探すのにも一苦労(実際には乗組員の窮状が知られることを船主が警戒したという事情もあったよう)。
 記述によれば、韓国側の設定する禁漁区域に日本漁船がドンドン入ってきて漁をする。海上保安庁が無線で韓国警備艇の位置を知らせる暗号文を流し、韓国漁民は「占領時代は日本も資源保護をしていたのに今じゃ乱獲をしている」「日本船はパワーがあるからデカイ網で根こそぎ持っていくのに自分達は長崎辺りの中古船だからチマチマとしか漁ができない」と嘆く。

 続編は、ヴェトナム取材一本で勝負。ヴェトコン側からの取材を企図した行動記録。いや、冒険記録になっている。
 南ヴェトナム政府軍の目をかいくぐってヴェトコンの支配地域に潜入し、現地の住民、政治委員との交流をしつつヴェトコン上層部との接触を求めていく。事前にいくつかのルートで取材依頼を出していたのだが、途中で捕虜収容所に入れられる。収容所長との睨みあいが50日余り続いた後に、唐突にヴェトコン副議長との対話の機会が与えられる。副議長の写真を撮影することは認められたが、それ以外の従軍取材などは認められず、サイゴンに返される。
 収容所での生活や往路復路における南ヴェトナム政府軍兵士に見つからないようにした行動(最悪の場合に備えて政府発行の取材許可証を持っているが、ヴェトコン支配地域で現れた人間に対して末端の兵士がどういう行動をするか保証の限りではない)は、まさしく冒険。緊迫感もあり読み応えがある。

おススメ度:★★★
(続編はすごくよい。本編でダレて投げ出さないようにしたい)
熱血アジ度:★★★★★
(平和のために日本人がなすべき使命とかを熱く語る。時代を感じる)

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