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芸術随想 おいてけぼり/洲之内徹

 長谷川りん二郎の回顧展に行く前に、洲之内徹の未読本を読むことにした。文章は端的で読みやすいし、作品を紹介するカラー写真は多数掲載されている。親切な作りの本だ。

 にもかかわらず、洲之内ファンにはイマイチなのだろう。短い文章が多くて読解はしやすいのだが、洲之内特有(?)のグネグネした文章ではないからだ。なんといいますか、中毒性が薄い。そういう特定のファン層だけのことを考えず、一般読者の立場で考えれば文句をつける筋合いはない。取り上げている作品も、「苦し紛れ」な感じがなく、本当に著者が好きな作品ばかりだし。
 以下、出典別にコメント。

 「新聞版 気まぐれ美術館」。愛媛新聞に1962年から1964年にかけて連載したもの。後の『絵の中の散歩』や「気まぐれ美術館」と重複する内容もあったように思うが、1本当たり1600字程度と短いため余談・脱線が入り込む余地はあまりなく、まあ読みやすい。
 「山のとびら」。山の雑誌「アルプ」に1974年から1979年にかけて連載したもの(雑誌自体は串田孫一代表の下、深田久弥なども参画したものだったが1983年に終刊)。毎回、山を描いた絵を取り上げて短文を寄せたもの。取り上げた絵は素描というか鉛筆画というか、単色のものばかりで油絵はない。たぶん印刷ページの都合だろうが、文章も400字ぐらいで物足りないので、そのくらいで丁度よいか。
 「私の愛する美術品」は彫刻や工芸品を中心に取り上げたもので「POECA」に1976年から1977年に連載。輪島塗とかのカラー写真が載っていて、よその記事で読んだものの補足になる。
 あとは単発の記事。「浜松市美術館のガラスコレクション」と「コレクション考―なぜ『絵の中の散歩』展なのか」。特に後者は自身のコレクションについて言及したもので、洲之内ファンには必見なのか。

おススメ度:★★★★
(綺麗なカラー写真で絵が載っているしね)
洲之内徹度:★★
(グネグネした余談・脱線を愛する人には物足りないか)

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