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心を整える。/長谷部誠

 サッカー日本代表キャプテンが書いた話題の本。「心」を「強くする」というよりは「調整する」「調律する」ように意識しているという主題に添って、ワールドカップやドイツなどでの経験を適切に織り交ぜた内容。なかなか感心できる出来栄え。

 ワールドカップ期間中に『超訳 ニーチェの言葉』を読んでいたということで、サッカー選手きっての読書家というポジションに祭り上げられているのだが、伊達ではなかった。口述筆記ではあろうが、構成力を感じさせる文章で多分、編集した人はあまり手直しせずに済んだだろう。さらに、孤独な時間をつくることの価値を語る中で、「ハチは暗闇でなければ蜜をつくらぬ。脳は沈黙でなければ、思想を生ぜぬ」とかいうカーライルの言葉を引っ張ってくるわけで。

 感心できる出来栄えの本なのだが、あまり感心したくない気分だ。だって、上司が「『整理整頓は心の掃除』とか『遅刻が努力を無駄にする』とか、共感するわあ」とか言いながら手渡してきた本なんだもの。新手のパワハラなのかしらん。ブックハラスメント? ブクハラ?
 というわけで茶化したくなる。

「僕は電気をつけたまま寝たことがない。本を読みながら、テレビを見ながら、ゴロンと横になって、いつのまにか寝ていたということがない。これを言うといつも驚かれるが本当だ。」
 マジかよスゲー! と思ったが、もしかして常に寝る気満々で備えてるんじゃね? それに、よくよく読んでみると普段は1日に10~11時間寝ているらしい。そこに私は逃げ道を見出した。

 試合に臨む際に気持ちを盛り上げるための、彼の方法が述べられている。試合前日の公式練習の際にスタジアムに到着する7分前の地点をチェックしておき、試合当日はその地点をバスが通過したときにミスチルの『終わりなき旅』を流し始め、それが終わった頃にバスがスタジアムに到着するようにしたのだという。
 いや、別にミスチル好きでも、定番曲があってもよいです。私も試合前にはアラン・パーソンズ・プロジェクトを聴いてマイケル・ジョーダン気分に浸ることもあるし。でも、その曲が終わるタイミングをバスの到着に合わせるとか、間違って早く着いたら曲が終わるまでバスに座ったままでいるとか、ちょっとキモいかも。 

おススメ度:★★★★
(不本意ではあるが、しっかりした内容で人に勧められる)
カピタン度:★★★★★
(ツネ様といい、未来のカピタン候補は多い。バスケ界にも人材を!)

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