ナッシュはバークレーを超えられるか
フェニックス・サンズに移籍して来た彼は,若手選手たちを率いてリーグ最高勝率をマークし,MVPを受賞した…。
アウトラインを大ざっぱに描くと,スティーブ・ナッシュと12年前のチャールズ・バークレーは同じ道を歩んでいる。だがしかし,重要なのはこの後だ。
バークレーはNBAファイナルでマイケル・ジョーダンのいたシカゴ・ブルズに敗れた。そして,その後ファイナルに進むことはなかった。同じように自己のキャリアで最高のシーズンを送っているナッシュはどうなるか?
今年のサンズは,一言でいえば,アップテンポな速攻主体のチームだ。
速攻の多い,スピード感あふれるバスケは見る者を魅了する。会場の雰囲気は盛り上がり,ダンクシュートがさらにそれをヒートアップさせる。また速攻をされた相手に精神的なダメージを与える(シュートが外れることを祈りながら追いかけることの空しさよ)。速攻の出せないチームは相手にとって怖くないし,大量得点で一気に突き放すこともできない。
かように速攻に効能があるとしても,「速攻主体のチーム」となると話は別だ。あくまでもこれは弱者の戦術だ。ビッグセンターを持たないチームが勝ち進むにはそうするしかないのだ。
5対5のハーフコートオフェンスでは,やはりビッグセンターが物を言う。ゴール近くのシュートはブロックされ,確率の下がる長距離ショットに頼らざるをえない。それならばビッグセンターが帰陣する前に攻めるのがベストで,サンズのセンターを務めるアマレ・スタウドマイヤーのように,相手センターを置き去りにして,身長のハンデを無効にすればよい。これは確かに効果的ではあるのだが,消耗する。コートを往復する回数を自ら増やし,走る距離を伸ばしているのだから当然だ。2日に1試合のNBAでは,なかなか実現が難しい。
それを実践してきたサンズは本当に偉い。それを牽引したナッシュのMVPも順当だ。
持ち上げておいてなんだが,やっぱりサンズは勝てないだろう。
プレイオフを勝ち進むようなチームは,そう簡単に速攻を許さないし,仮に速攻を決められても,ハーフコートオフェンスで悠々と得点を積み重ねることができる。自分たちは必死に走って速攻を決めるのに,相手はゆっくりとやって来て,スーパースターが一見無造作に得点を重ねるとなれば,これはしんどい。
サンズのような,全員が走るチームが勝つのは教育上大変よろしいし,バスケットボールという競技にとっても好ましい。でも,それでも勝てないのがNBAのレベルの高さの現れだと言っておこう。
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» カウンターは弱者の拠り所 [高スポ編集雑記@WebryBlog]
うちのアブラモさんが、本拠地でNBAネタを書いておられる。
ちきしょう、サンズのナッシュとか言われても誰のことかわからんが、読ませるじゃないの、ボス!
読み終わった後には、サンズを応援したくなってるし。
それにしても、やはり、バスケットでもカウンターは弱者の拠り所なのか。
頼りになるセンターがいて初めて、強豪になれると。
180センチそこそこの鈴木が不動の先発になってしまう日本代表と重なるなあ。... [続きを読む]
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