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2005年5月24日 (火)

ジーコから日本代表を取り戻したい

ジーコは相変わらずジーコだ。
いったい、何に腹が立つかと言えば、試合の結果ではなく、内容がつまらないことに尽きる。相変わらず、リスクを負わないスローな攻撃を存分に見せてくれた。

ペルーは、まったく果敢ではなかった。監督が交代したばかりのうえ、メンバーも「2軍」とあっては、致し方ないというところか。高い位置でプレスをかけに行くが、攻めには手数をかけない。
前半に彼らがやったことと言えば、スピードでサイドを突破しようとするか、高さで勝ることを生かそうとロングボールを放り込むだけ。およそ、自称アジア最強が恐れを抱くようなものではなかった。
その証拠が、ハーフタイムのペルー監督の負け惜しみに凝縮されている。「これは我々のサッカーではない」。
自らのプレーを誇ることもできない相手に、日本は負けたのだ。

数字はボール支配率で勝ったことを物語ってはいるが、それは相手がプレスに来ない位置でボールを回していたことを示すに過ぎない。考えていけば、誰だって分かる。日本のFWがどれだけ期待させるシュートを打てたか。両サイドからどれだけ点を狙ったクロスが上がったか。放たれたシュートの多くは中盤の選手によるもので、その多くが枠を捉えられなかったのではなかったか。

FWは裏をつくことができず、小笠原はろくにスルーパスを蹴らせてさえもらえなかった。
三都主は何度となくサイドで囲まれ、ろくなボールを上げることができなかった。身長差のために制空権をとれない日本のFW陣にとって、中途半端なクロスは何のチャンスにもならない。
時折見せた中盤の選手のシュートは、十分な余裕を持って狙いを定めて打たれたものではなかった。
これだけの理由があって、日本が攻めあぐねたと考えない人間は、よほどのへそ曲がりだろう。

その挙げ句が、ロスタイムの失点である。
坪井は確かにDFとしては速いが、それゆえに駆け引きが分かっていない(よーいドン!でも追いつけるからだ)。ポジショニングのセンスは目を覆いたくなるほどで、三都主の背後をフォローするには、あまりにも荷が重い。
失点シーンについては、「相手が速かった。後ろからスライディングすることもできなかった」そうだが、彼はその前に相手にダッシュさせた時点で負けている。言うまでもなく、敵が走り出した瞬間に進行方向に体を寄せるか、できなければユニフォームを掴まなければならない。ペナルティエリアに入るその前に。

失点は個人のミスだったかもしれないし、あるいは運が悪かったのかもしれない。しかし、「3日前に集まったばかりのチーム」を相手に、ゴールはおろか、まともなチャンスすらつくれなかったことは、紛れもない事実である。誰が見たって、「3年経っているチーム」と「3日前に集まったチーム」の戦いではなかったと思う。ジーコが言った「サッカーの怖さを肝に銘じたい」との言葉は、いかにものんきな発言に思える。
このチームの最大の課題は、「現在のサッカーで最も大切な瞬間」を効果的に使おうという意図がまったくないことだろう。つまり、ボールを奪ってからのアクションーー。極論すれば、たとえどんなに弱いチームであっても、これさえできれば点を取るチャンスはあるのだ。
カウンターと言ってしまえば一言で終わってしまうが、要は、相手が守備を整えるまでの時間をいかに有効に使うか、という課題が考えられていない。少なくともそう見える。せっかくボールを奪ったというのに、ノーマークの味方がいないとなると、惜しみなく横パスで処理する。そりゃあ確かに、もう一度奪われたらピンチに直結するだろうが、ゆったりとボールを回してチャンスがつくれるほど、日本は強くないだろう。海外組の都合でいじくり回されるメンバーには、集団で相手を崩すだけの連携はないし、何より独力で相手の守備をかき回せるような逸材もいない。そりゃあ、ロナウジーニョでもいれば話は別だろうが。
最も効果的な攻撃がカウンターであることは、世界中の全ての指揮官が認めるはずだ。これを無視して栄冠を手にできるチームなど、現在のサッカーでは皆無だ。ジーコには最低限、ボールを奪った直後の各選手の動きについて、約束事をつくってほしい。ひいき目にみても、現在の日本は攻撃より守備に傾いている。攻撃をリードをすべき人材が揃って海外組(であるために不在がち)なのだから、致し方ないのだろう。その意味でも、ジーコは明確な指針をチームに示すべきだと思う。
大黒は良かったとか、三浦はらしさを見せたとか言っていても、仕方がない。大黒のシュートまでの思い切り、三浦が三都主に放ったサイドチェンジは、確かに心躍るシーンだった。しかし、そうした個人の活躍だけで、本大会でのベスト8などあり得るのか。多くのファンが、メディアからW杯出場の危機などと吹き込まれ、目標と現状のギャップに気づかずにいるのではないだろうか。
何だかんだいっても、予選は突破できるだろう。8年前とは事情が違う。まったく納得はいかないが、アジアの出場枠は広がった。なればこそ、ドイツで恥ずかしくないサッカーを見せなければならない。

最後に。
つまらないサッカーを見せる監督は、結果を出せない監督より罪が重いと思う。以前から思っているのだが、ジーコにとっては、我々ファンより選手の方が大事なのだろう。彼の人格が素晴らしいのは、少しでもインタビューを読めばわかるが、その良心のほとんどが選手に向けられているように思えてならない。しかし、彼が日本代表の監督である限りは、ぶつぶつと文句を言いつつ、それでもやはり毎回テレビ観戦しているファンのことを考えてしかるべきだろう。協会や、メディアや、スタジアムで声をからしている若者だけがファンだと思ってねえだろうなあ、と言いたくなる。
本音を言えば、W杯など行けなくともいいから、「日本代表を応援している」と胸を張って言えるチームを見せてほしい。岡ちゃんやトルシエとは違い、我々がジーコに期待したのはそういうことだったはず・・・。ジーコから、日本代表を取り戻したい。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
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