« マルセイユ、リザラズの逃走劇と泣いた赤鬼 | トップページ | バーレーン戦にみた日本の理想型 »

2005年6月 5日 (日)

ジノビリが目前にした歴史的な2冠

フェニックス・サンズは勝ち進めなかった。走るバスケットを実践する好感度の高いチームだっただけに残念なことだが,見ているファンにとって救いなのは,サンズを破ったチームがサンアントニオ・スパーズだったということだろう。

レギュラーシーズンでこそサンズの後塵を拝したが,もともとスパーズは優勝候補の大本命で,そのバランスの良さは衆目の一致するところだろう。
エースのティム・ダンカンがペイントエリア(狭義ではフリースローレーン内の床の着色部分のことだが,一般的にはより広義の“ゴール近辺”を意味する)で攻守両面に存在感を発揮し,恐れを知らないドリブル突破で相手ディフェンスをかき回すトニー・パーカー,切れ込んでよし3Pショットを狙ってもよしのエマニュエル・ジノビリ,しつこいディフェンスで相手エースを苛立たせるブルース・ボーエン,ベンチから出てきて短い時間で決定的な仕事をこなすベテランのブレント・バリーにロバート・オーリー……と中・外,新・旧とバランスのよい選手構成。
定評のあるディフェンスで相手を封じ込め,ロースコアのゲームの中で自らは着実に点数を伸ばしていくゲーム展開は憎らしいほどだ。サンズとは異なって速攻を前面に出すわけではないものの,ハイスコアの攻め合いゲームでもサンズに勝ってしまうほどで,つまりは様々なゲーム展開に対応できる能力があるわけだ。

そのスパーズの中でも見応えのある選手を1人挙げるなら,ジノビリだろうか。
もちろん,エースと呼ばれるのはダンカンなのだが,彼はちょっと凄すぎるし,つまりその,なんだ,地味なのだ。万人受けする選手ではない。

ジノビリには華がある。それは何故か?
白人の「優れた選手」には,シュートはうまいがボディコンタクトを好まない,というイメージが強い。アメリカ以外からやって来た好選手たちにはそういうイメージがある。トニー・クーコッチ,ドラゼン・ペトロビッチ,ブラデ・ディバッツ…。サリナス・マーシャローニスはボディ・バランスの良い選手だった印象があるが,それでもジノビリほどの強さは感じなかった。
アルゼンチン出身のジノビリは,外からのシュートがうまいのは前提のようなもので,そのうえインサイドへ切り込める。
ガードやスモールフォワードの選手が,相手センターのいるインサイドに切れ込んでいってシュートを決めるためには,スピード,強さ,高さ,テクニックはもちろんのこと,相手DFの隙を見抜く戦術眼,そして勇気も必要になる。マイケル・ジョーダンに言わせれば,こういうプレーにこそクリエイティビティが必要なのだ。そして,こういうプレーは盛り上がる。
私が思うに,身体接触を厭わずにゴールに突っ込んで相手選手ともつれながらダンクを決める,そんなプレーがジノビリの真骨頂なのだ。

そのジノビリは,アルゼンチン代表のエースとして,アテネ・オリンピックでは金メダルを獲得している。NBAファイナルで優勝するとなると,2冠である。
プロ選手がオリンピックに参加するようになって4回目だが,過去にこの2冠を達成したのは,

1992バルセロナ五輪金メダル=アメリカ
1993NBA優勝:シカゴ・ブルズ
2冠達成者:マイケル・ジョーダン,スコティ・ピッペン

1996アトランタ五輪金メダル=アメリカ
1997NBA優勝:シカゴ・ブルズ
2冠達成者:スコティ・ピッペン

2000シドニー五輪金メダル=アメリカ
2001NBA優勝:LAレイカーズ
2冠達成者:なし

2004アテネ五輪金メダル=アルゼンチン
2005NBA優勝:サンアントニオ・スパーズ?
2冠達成者:エマニュエル・ジノビリ?

これしかいない。ジョーダンとピッペンに並ぶということなのだ。これは歴史的なことと言ってもよいのだと思う。

« マルセイユ、リザラズの逃走劇と泣いた赤鬼 | トップページ | バーレーン戦にみた日本の理想型 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ジノビリが目前にした歴史的な2冠:

« マルセイユ、リザラズの逃走劇と泣いた赤鬼 | トップページ | バーレーン戦にみた日本の理想型 »

高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

姉妹ブログ


三鷹牛蔵twitter

無料ブログはココログ