« リッピの誤算とヒディンクの誤算 | トップページ | 加藤望の夏休みは終わりにしてほしい »

2006年7月 9日 (日)

フェリペの合理性とポルトガルの致命的欠点

 勝負にこだわる指揮官フェリペを迎え、さらにはフィーゴまで復帰させたポルトガルだったが、蘇ったフランスの前に沈み、ドイツに敗れて3位の勲章も逃した。ファウルを重ね、悪役になりながら傷だらけの戦いを続けたものの、タイトルには決して届かないだろう限界も露呈した大会だったといえる。

 ルイス・フェリペは、合理的な戦い方を好む監督だ。ムリな攻撃は仕掛けず、守備の組織を重視する。4年前の日韓大会で、カフーとロベルトカルロスにオーバーラップを自重させ、ブラジルに5度目の優勝を呼び込んだのは記憶に新しい。

 今大会におけるポルトガルのファウルの多さは、そのフェリペの合理性に起因する。ブラジルと違い、彼らにはファウルせずにボールを奪うセンスも技術もない。そのため、結果的にファウルで試合を止めることになってしまう。

 むろん、ボール奪取が下手なのは、ドイツも同じである。しかし、彼らは世界随一の体格でそれを補ってしまう。しかも近年、これに緻密な守備の組織を盛り込み、持ち前の勤勉さで成熟度を上げ、退屈だがダイナミックなチームを作り上げている。MF、DFに長身かつ頑健な選手を並べており、むしろFWであるクローゼの身長・体格が小さく見えてしまうのは、何ともおかしい。

 そうしたドイツ相手だからこそ、ポルトガルにとってはいかにデコを機能させるかがポイントだった。フィーゴやC・ロナウドあるいはシモンというサイドアタッカーを擁するとはいえ、サイドでボールを持たれてもドイツにとってはさほど怖くない。1トップのパウレタに強さはなく、マニシェはミドルシュートばかりを狙ってペナルティエリア外にとどまる。C・ロナウドが中央に入ってくれば多少は怖さが増すのだが、決してそうはならない。

 フランス戦の敗因こそまさにそれで、デコはマケレレに完封された。というより、実際にはサイドでボールを持てることに満足してしまい、中央のデコを生かすことをしなかった。サイドアタックこそポルトガルのサッカーということなのだろうが、単調な攻撃には対処できるのが今のサッカーだ。欧州の強豪には、通用しない。トーナメントに入ってからの得点(守備に難のあったオランダからの1ゴールのみ)をみれば、彼らの苦戦振りは明らかだろう。

 むろん、フェリペにもそれはわかっている。大会中、何度も試みたのが、まずFWであるパウレタとウイングであるシモンを交代し、次いでFWのポスティガを投入する作戦だが、これは攻撃の目先を変えようという彼ならではの意図だったと思う。しかし、いかんせん、パウレタ、ポスティガ、ヌーノ・ゴメスの3人は、いずれも1トップ向きのFWではない。今に始まったことではないが、致命的な欠点だろう。フェリペは十分に、やるべきことはやったと思う。

 ドイツ戦も結局、攻めあぐねたことが敗因となった。シュート数では互角だったものの(12本対13本)、パウレタの緩いシュートやマニシェのミドルがカーンを脅かしたとは言い難い。唯一の得点は、ようやく出たフィーゴの素晴らしいクロスから、今大会は出番の少なかったヌーノ・ゴメスが決めたもの。とはいえ、3−0になってドイツの守備がルーズになったため、ようやく生まれたカウンター気味の攻撃だったのも、また事実だ。結論すれば、世界の壁は厚く、ここまで良くやったというのが正確な評価だろう。

 気になるのは、C・ロナウドの今後である。イングランド戦において、主審にルーニーの退場をアピールしたことで、彼はイングランド人を敵に回した。このままマンチェスター・ユナイテッドに残るのは、難しいかもしれない。例によって、すでにレアルが色気を出しているという報道がなされているが、それはどうだろう。個人的には、イングランドを出るべきだと思っている。スピード、ドリブル、キック力と3拍子揃ったサイドアタッカーだが、シュートないしクロスに行く際のオーバーアクションが惜しいのだ。ロッベンあたりと比べると、非常にもったいないと感じる。他のリーグに移れば変わるかもしれないと思うのだが、まあ、イタリアでは成功しないだろうな。

« リッピの誤算とヒディンクの誤算 | トップページ | 加藤望の夏休みは終わりにしてほしい »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: フェリペの合理性とポルトガルの致命的欠点:

« リッピの誤算とヒディンクの誤算 | トップページ | 加藤望の夏休みは終わりにしてほしい »

高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

姉妹ブログ


三鷹牛蔵twitter

無料ブログはココログ