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2006年8月12日 (土)

日本代表のめざす1勝へ、キーマンは伊藤俊亮

 バスケットボールの世界選手権を戦う日本代表のロスターが発表された。各選手のコメントも出されたが、五十嵐圭の「60万人の競技者の代表選手として恥ずかしくないプレーを心がけ…」という文句に、不覚にも感激してしまった。こういう代表選手を得た喜びに浸りつつも、このチームのキーマンはスピード・スター五十嵐ではなく、伊藤俊亮であることを強調しておきたい。

 今大会の日本代表チームの目標はとにかく1勝を挙げることだが、はっきり言えば絶望的だ。望みはほとんどない。開催国として出場権を得たものの、アジア5位のチームなのだから。「2勝して決勝トーナメント進出」などというメディアを賑わせる目標は、夢を語っているか、大会を盛り上げようとする的外れなリップサービスか、日本協会に対するおべんちゃらか、そのいずれかだろう。
 1998年の世界選手権、「史上最強」と謳われた日本チームは、アジア予選で2位となって出場権を得た。当時の大会は16チームによって実施され、アジア枠は2だった(今大会は24チームが出場し、アジア枠は3)。厳しい関門を乗り越えて出場したその大会で、日本はセネガルに歴史的な勝利を収め、ナイジェリアに敗れた。アジアとアフリカの力関係は今でも互角と考えられているものの、今では日本はアジアの5位で、日本の勝算が最も高いとされる対戦相手・アンゴラはアフリカ1位だ。これでは悲観的にならざるを得ない。

 アジアで2位になった当時のチームには、佐古賢一、長谷川誠、折茂武彦、高橋マイケルといった今でも日本バスケ界を引っ張る選手たちがいたが、彼らのうち誰かが欠けていても、なんとかなったと思われる。しかし、絶対に欠かすことの出来ない選手が1人だけいた。センターの山崎昭史である(まあ、佐古が欠けたら痛かったかもしれないか)。
 216センチの長身でシュートもまずまず上手く、ボディコンタクトでも腰が引けず、さらに左利きという特長も生かした山崎は、日本の歴代センターの中でもナンバー1といえるかもしれない(差し当たっての比較対象は岡山恭崇と北原憲彦)。このときのチームの称号「史上最強」は、実は山崎昭史に対するものだったともいえるのだ。
 その山崎の引退後、ほとんど空位ともいえた日本代表のセンターの座をつかんだのが伊藤俊亮だ。外国人選手との体のぶつけ合いで後に引かず、走力もそこそこに備えたこの選手は、「戦う姿勢」のある選手だ。そういったファイティング・スピリットを表に出せる選手は、日本のインサイド・プレーヤーには少ない。その意味で伊藤は、北原や山崎の系譜に連なるファイターといえよう。付記しておくがこれは、私としては最大限の褒め言葉のつもりである。

 伊藤がここまでの選手に成長したことは嬉しい誤算であるが、限界はある。202センチの身長は、センターをやらせるには小さい。実際のゲームにおいては、伊藤がマッチアップの相手を圧倒することはなく、相手にいいプレーをされることもあるかもしれない。特に今大会はその覚悟が必要だ。それでも、もっと滅茶苦茶に蹂躙される可能性もあるのに、伊藤がそれを防いでいる可能性を頭に置いておきたい。日本のインサイドは「勝てないけれど、相手にも好きにさせない」ことを狙っていくしかないのが実情なのだから。
  

※今大会の日本代表チームのメンバーと五十嵐圭のコメントをメモ代わりに残しておく。

 No. 名前   Pos. 身長/体重 歳  所属
  4 川村 卓也 SG  191/79  20 オーエスジー
  5 山田 大治 PF  200/105 25 トヨタ自動車
  6 桜井 良太 SG  194/75  23 トヨタ自動車
  7 五十嵐 圭 PG  180/67  26 日立
  8 柏木 真介 PG  183/78  24 アイシン
  9 折茂 武彦 SG  190/77  36 トヨタ自動車
 10 竹内 公輔 PF  205/90  21 慶應義塾大学
 11 網野 友雄 SG/F 196/88  25 アイシン
 12 節政 貴弘 PG  180/78  34 東芝
 13 古田 悟  C   199/95  35 トヨタ自動車
 14 伊藤 俊亮 C   202/98  27 東芝
 15 竹内 譲次 F/PF 205/93  21 東海大学

■五十嵐圭のコメント
「世界の舞台に立てるということでとても嬉しく思っています。ただ、今日までに多くの選手が代表候補選手として一緒に練習に取り組んできましたので、その選手のためにも自分のプレーでチームに貢献したいと思います。そして、60万人の競技者の代表選手として恥ずかしくないプレーを心がけ、一戦一戦全力で戦っていこうと思っていますので、これからも応援よろしくお願いします」
http://www.basketball-zine.com/bb/archives/2006/08/12.php

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  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
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