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2007年6月11日 (月)

水戸の背伸び、湘南の敗戦恐怖症

 最下位に沈む水戸ホーリーホックとの対戦は、J2の各チームにある種の緊張感を与えている。水戸の今シーズンの勝利はわずか1試合だが、その1試合が国立競技場で5対1とヴェルディを圧倒したゲームだったのだ。あの爆発力が自分達に襲い掛かってくるかもしれないと思えば、警戒も強まろう。上位に進出するためには確実に勝ち点を稼ぎたいが、他チームにとって水戸は「地雷」のような印象なのだ。踏んづけたら大怪我をする。
(2007年6月10日 湘南ベルマーレ2—0水戸ホーリーホック 平塚競技場)

 かつての「ミトナチオ」からアクションサッカーへの変身を謳う水戸だが、その片鱗は見ることができた。左SB金基洙の高いポジション取りと頻繁な攻め上がりが印象的だったし、なによりも後半に1度見せた華麗なパスワークが鮮烈だった。ボールを奪ってからダイレクトパスを続けることで右前方に一挙に進出し、フィニッシュまで持ち込んだシーンだ。湘南の選手達は完全に後追いになっていた。
 とはいえ、試合全体を通してみると、本当のところ脅威だったのか疑問が残る。前半の水戸は、裏を狙う2トップへの精度を欠いたロングボールが攻撃の基調をなしていたように見え、つかんだチャンスは湘南のミスによるものだった。サイドでのチャンス・メイクにしても、この日の湘南の出来からすると、シュートにつながるシーンがもっと多くても不思議はなかったはずなのに、そうはならなかった。
 ツボにはまれば効果的だが、めったにはまらない。というのが水戸の現状なのだろう。

 対照的に湘南は、両SBがなかなか攻め上がらない。ジャーンがこの日から復帰して中央のディフェンスが安定しただけに、SBが攻撃的でもよかったのだが。監督コメントによれば、それに応える能力のある選手が不在であったために覚悟の上で守備的にしたようだ。特に前半は、右の中里宏司、左の田村雄三がオーバーラップしないことで逆に水戸SBの攻め上がりを許した。また、敵陣に入っていく湘南の選手が中盤より前の6人とほぼ固定されているので、水戸がプレスをかける位置とかみ合って窮屈になっていた。
 前半終了間際に水戸に退場者が出て湘南が先取点を取ったため、後半の水戸は1トップに変えてきた。それでも湘南はスタンスを大きく変えることなく(確かに中里の突破や田村のアーリークロスはあったけど)、後方で人数が余っている印象だった。
 追加点を取って逃げ切れたのは個の力だ。梅田直哉がヘッドでそらしたボールを石原直樹が受け、最後にアジエルがミドルシュートを決める。絵に描いたような見事なゴールだったが、結果オーライの感が強い。相手に退場者が出ても優位に立てない試合をいくつも見てきたわけだし(たとえば国立でのヴェルディ戦)。

 上位にいてアジエルのような優れたアタッカーを持つ湘南が負けを恐れる弱者の戦い方をし、最下位の水戸が堂々たる戦い方をしていたのだと思う。しかし、そのことで湘南を非難するのは適当ではないだろう。湘南の戦力、選手のコンディションを考えれば、この日のようなまだるっこしい戦い方にも理由がある。むしろ水戸の戦い方が「背伸び」に見える。
 J2他チーム(特に湘南)から見て「ミトナチオ」は揶揄の言葉ではない。水戸のチーム事情を知っていれば、それが現実的で有効な戦い方であることはわかる。対戦相手がそれを痛感しているのだから。それなのに「アクション・サッカー」への移行をしなければならない理由は何だろう? 集客のために何かを変えなければならないということなのだろうか。営業面への配慮は重要だが、その配慮の仕方は適当なのだろうか? 今の水戸は個性が薄い。進歩のための過渡期なのだといわれたら返す言葉がないけれど。

 湘南について。
 棚からボタモチの数的優位を、DFラインでの余り要員として浪費してしまう戦い方にガッカリした。たとえば終盤に出てきて左SBに入った鈴木伸貴が攻め上がろうとしたところ、監督が制止した(ように見えた)場面など。
 確かに故障者が多いのでまだ辛抱の時期だとは思う。それは理解する。しかし、この日復帰を果たしたジャーンのほか、梅田直哉、鈴木伸貴が相次いで戦線復帰を果たした。今は湘南にとって攻勢に出る転機のはずだ。これからはそれにふさわしい戦い方を見せて欲しいものだ。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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