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2007年6月 8日 (金)

キング・ジェームズの戴冠なんてまだ早い。KGの立つ瀬がないから

 レブロン・ジェームズは確かに凄い。あのレベルのチームをNBAファイナルへ連れてきたのだから、ケチのつけようがない。まだ22歳なのに、生まれながらのチームリーダーと自覚した責任感に満ちた言動、セルフィッシュにならずチームメートを生かし向上させようとするプレイ。キャリア4年目にしてファイナル進出とあまりにも順調であるが、このまま優勝するのは難しいだろうし、それ以上に「まだ早いよ」とも言いたくなるってもんだ。

 デトロイト・ピストンズとのカンファレンス・ファイナルを、2連敗の後の4連勝で勝ち抜けたクリーブランド・キャバリアーズであるが、なんといっても第5戦がハイライトだった。延長、再延長を含む試合終盤にキャブスが挙げた25点はすべてレブロンの得点であったし、終盤のキャブスの30点中29点がレブロンの得点であった。結局この日のレブロンは50分18秒のプレイで48得点を稼いだ。「キング」の異名は伊達ではない。
 これまで5年続けてファイナルに進んでいたピストンズを破ったというだけで、十分賞賛に値する。振り返ればキャブスは、レブロンのルーキーイヤーこそプレイオフに進んだものの、その翌年はプレイオフを逃し、昨年はプレイオフに出られただけで「成功」といえるシーズンだったのだ。大躍進だ。
 だからファイナルで敗れても失望する必要はないし、優勝のありがたみを感じるために、今年は「カンファレンス・チャンピオン」で満足してもいいのではないか。

 ファイナルの予想をするならば、経験豊富なサンアントニオ・スパーズがやはり有利だというべきだろう。たとえレブロンが50点を取っても他の選手を抑えればよいのだし、スパーズであればそれが可能だ。
 恐らく視聴者の97%がキャブスの勝利を望んでいるのだろうが(ええ、私は3%の方に属していますよ)、それは次代のスターとして大人気のレブロンへの期待という理由もあるだろうが、同時に、優勝すれば最近10年間で4回目となるスパーズへの飽きや、さらにはスパーズのゲームが地味だということも理由であろう。

 応援している私ですら地味だと思うが、それでもスパーズは素晴らしい。その素晴らしさの源泉はなんといってもティム・ダンカンである。彼の素晴らしさは説明が難しい。結果としてチームを勝たせているということもあるが、それでは説明にならない。彼は派手でスペクタルに満ちたプレーはしないが、中学生でもできるような堅実で確率の高いプレーでチームを勝たせることが出来る。そこだろうな。
 シャキール・オニールのような肉弾がなくてもゴール下で存在感を示せるのは、当たり負けしない強さ、相手より先にポジションを占めるスピード、的確な(カバーリングとブロックの)タイミングがあるからだ。フックシュートのような難易度の高いシュートを打たなくても、タイミングや高さで相手選手とのギャップを作り出すから、確率の高いジャンプショットを、しかもバックボードを使ってさらに確率を高めることができている。「ミスター・ファンダメンタル」と呼ばれるだけあって、基礎的な技術の高さで打開できてしまうから、無理な体勢でのプレーがほとんどない。ここ一番の局面では鬼気迫るプレーを見せるののだが、アクロバティックでないからこそ凄みが増す、と思われる。
 
 キャブスのフロント・コート陣、イルガウスカス、ドリュー・グッデン、アンダーソン・バレージョの3人は悪くはないのだが、ダンカンがこれまでに撃破してきた、デンバーのマーカス・キャンビーとネネ、フェニックスのアマレ・スタウドマイヤーとショーン・マリオン、ユタのカルロス・ブーザーとメメット・オクァー、などなどに比べると同等かやや劣る。バック・コート陣についてはかなり明確に格下感が漂っている(未知数という意味で急成長する余地があるのは確かだが)。
 結局のところレブロン次第なのだが、マッチアップの相手がダーティ騒動で渦中の人、ブルース・ボウエンだ。こちら(http://blog.goo.ne.jp/t123da/e/dc59812472d757fc168c2e3a6fd39ce0)で分析されているように、ボウエンのディフェンスはやはり「いやらしい」と言ってよいのだろう。しかし、レブロンを止められるかどうかは微妙。ここ数年のスパーズは、スペシャルなポイントゲッターを止められない試合があるので、レブロンが優等生らしくチーム・プレーをするよりも、ガツガツ点を取りに来たほうが脅威になるような気がする。

 予想ではなく希望の話をする。キャブスが優勝したら、私は悲しくなるだろう。だからキャブスに勝ってほしくない。みんな、ケビン・ガーネット(KG)のことを考えてやろうぜ。レブロンは4年目でファイナルに来たが、KGは12年目もまた失意のシーズンだったのだから。
 レブロンと同じように、高卒でNBA入りし、オールラウンド・プレーヤーと称され、チームの大黒柱であり、フランチャイズ・ビルダーであるガーネットは、どんな役割もこなし、たいていの選手とコンビネーションがとれる選手だ。KGを中心にして周りの選手を固めれば、じきに強豪チームになれるといわれたミネソタ・ティンバーウルブスであったが、2003-04シーズンにカンファレンス・ファイナルに進んだ(このシーズン、KGはシーズンMVPを獲得した)以外にはパッとした成績を残せず、その後の3シーズンはプレイオフにすら進めないでいる。
 この結果だけで、レブロンが優れていて、KGが劣っていると結論付けるのは忍びない。

 ウルブスの成績が奮わないのは、KGの年俸が高すぎて他に優秀な選手が取れない(サラリーキャップがあるため)とされる。確かに、ウルブスとKGが1998年に結んだ長期契約は総額1億2,600万ドルという破格のもので、マイケル・ジョーダンより高く、現在でも1シーズン当たり約2,000万ドルのリーグ最高年俸である。
 しかし、火星人系PGのサム・キャセールや首締め系ポイントゲッター、ラトレル・スプリーウェルを加えて勝ち進んだことがある以上、「KGに払い過ぎ」という言い訳はないだろう。
 むしろ、GMのケビン・マクヘイル無能説のほうがしっくりくる。今から思えば、ステファン・マーブリーがチームを去ったときの「KGとマーブリーのコンビで強くできると思っていたのに」とかいう発言はGMにしては後ろ向きなコメントだし、なんか女々しい。

 あまりにも高額なサラリーをもらっている以上、自分からチームを去るとは言い出しにくく、ほどほどのところで強豪チームに移籍するという選択肢がKGには認められなかった。20代後半の貴重な時期を弱小ウルブスに捧げたKGが不憫だと思うのは私だけだろうか。
 KGの選手人生を金で縛ってしまった代理人を恨むとともに、KGが劣っているわけではないことを示すために、レブロンのあまりにも早すぎる成功を阻止しようではないか! どうです? 地味なスパーズを応援する大義名分が立つじゃないですか!

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  • 荒木又三郎
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