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2007年7月29日 (日)

エドワルド・マルケスは湘南の救世主なのか?

 なぜか爆笑してしまった。エドワルド・マルケスが蹴ったボールは、GKの指先をかすめ、ゴロゴロとゴールの端に転がり込んだ。渋いプレーを連発したエドワルドの、ゴールシーンまでもが渋いからだろうか。あるいは、途中加入の新外国人選手が初めて「当たり」だったらしいことへの鬱憤晴らしだったのだろうか。自分でもよくわからない。
(2007年7月28日 湘南ベルマーレ2—0徳島ヴォルティス 平塚競技場)

 湘南ベルマーレの期待の新兵器であるFWエドワルド・マルケスは来日から5週間で、ホーム初登場となった。前節のアウェイ京都戦でデビューし、私の眼前では初めてのプレーであった。
 一言で感想を言えば、そのプレーは渋い。「アジエルのアイドル」というだけあって、テクニックはかなりのもの。巧みなボールキープは「アジエルがもう1人いる」と錯覚させることもあった。ポストでボールを受けるとワンタッチでイカしたパスを渋く散らし、そのプレー選択は、現時点では味方も対応しきれないほど意表を突いていて、かつ、はまれば見事だろうなと思わせる。
 試合前半には渋いプレーの連発で、唸るシーンは多いものの結果は伴わなかった。相手に退場者が出て後半になると、渋いプレーのみならず、自らボールをキープしてドリブル突破を試み始めた。そして初ゴール。まるで当たり損ねのようなゴロゴロと力のないシュートであったが、コースを狙った、極めて実戦的なプレーであった。
 そう、実戦的という表現がふさわしい。エドワルドは、取り立ててスピードがあるわけではないし、高さがあるわけでもない。当たりに強いどころか、審判の笛を期待したような腰砕けな倒れ方もする(これは不満な点)。彼のよさは、相手がいるときにこそ見られる。相手選手との間合い、タイミングを計りながら抜け出し、パスを出す。その裏づけとしてテクニックがあるのだが、肩に力が入らずにそのテクニックを繰り出すから、一見「遊んでいる」ように見える。練習見学をしたサポーターの前評判が高くなかったのも無理はないのだろう。相手が真剣であればあるほど、長所が光るタイプのプレーヤーと見た。

 エドワルドはなかなか良い選手だと思えたが、かといって彼が救世主たりうるかといえば、結論は保留せざるを得ない。1人でゴリゴリとゴールを決めるタイプには見えないだけに、チームの一員として噛み合い、自分も生かされながらチームへ好影響を与えられるかを見極めなければならない。
 今のところ彼は2トップの一角として起用されているが、裏を狙って飛び出すことは少ないし、前線で相手DFに体をぶつけられるプレーは好きではないようだ。下がってきてボールを受けて前を向くのが好きなようだし、事実その体勢から効果的なプレーが出来る。ただし、彼がそうやって下がって行った後に前線が手薄になる気がする。エドワルドが下がってきたら代わりの選手が飛び出すとよいのだが、少なくともアジエルはそうはしない。アジエルとエドワルドを近くに置いてコンビプレーを期待しているのかもしれないが、どうもアジエルが生きない気がする。むしろ、後半に見せたようにエドワルドを左サイドに回し、加藤望や左SB尾亦弘友希、あるいはボランチの坂本紘司と絡んだシーンの方が可能性を感じたし、アジエルが威力を発揮するスペースと時間があったように思う(まあ相手が少なくなっていたのだけど)。
 ともあれ、エドワルドを生かすためにも、上位チームに勝てるようになるためにも、チームの再構成が求められるのだろう。

 徳島ヴォルティスについて。
 ルーズボールを取りにいって上げた脚が尾亦の頭(?)を蹴る格好になって、ややアンラッキーにFW小林康剛が一発レッドを受けて退場となった(不当な判定と言いたいのではなく、イエローカードであっても違和感がなかったという意味)ために試合の流れが一気に湘南に傾いたが、この日の徳島はよかった。
 私は結局、フォーメーションを確認できなかったのだが、3—1—3—3だったのだろうか。3バックは左から冨士祐樹・アンドレ・青葉幸洋でフォアリベロのような位置に挽地祐哉、中盤は左サイドに仙台から移籍の熊林親吾、中央にダ・シルバ、右に塩川岳人(塩川は下がり気味の位置取りで、4バックだったのだろうか?)。前線は左から片岡功二、長谷川太郎、小林康剛の3トップ。ポジションをがっちり固定している感じではなく、シチュエーションに応じて臨機応変に選手が動いていたので、明確な形のフォーメーションがつかみきれなかった。私の見る目がないのではなく、徳島の選手が攻守にアグレッシブに動いてポジションチェンジをしていたからだと、言い訳したい。
 特に評価できるのは中盤でのボールへの寄せ。湘南がサイドでボールを持つと3人ほどの選手が寄ってくる。これは左右いずれでもそうだったと思う。もちろん、効果的なサイドチェンジが出来れば一気にピンチになるのだが、あまりそれを許さなかった(湘南の弱点という気もするが)。
 湘南サポの立場では、2002年に湘南に途中加入して一気にチームを活性化した熊林が、5年ぶりにそれを再現するのかと警戒していたのだが、サイドに起用されていたということもあり、それほど脅威ではなかった。徳島はアジエルの中央突破を警戒してフォアリベロを置き、熊林にはサイドでプレッシャーを受けずにボールを捌いて欲しかったのかもしれないが、エドワルドとの兼ね合いでアジエルが自由に動き回りはしなかったし、アジエルが丹念にディフェンスに戻って熊林に対応していたということもあって、徳島の意図はうまくいかなかった印象だ。

 湘南について総括すると、相手が2人少なくなったのに3点目を取れなかったことで、勝ったのにモヤモヤした試合だった。上位に食い込むには物足りないというのは、監督コメントにもあるし、選手も自覚しているだろう。ただし、エドワルドを組み込んで新たな有機組織を構築できれば可能性があるのではないか、と希望も持てる試合だったと言えよう。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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