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2007年9月30日 (日)

怒りの美濃部キックが炸裂した!

 足りないものがあるから2部リーグにいる。それを承知の上とはいえ、あんまりな試合だろう。残り10分で2点のリードを守れなかった京都にとってはもちろんのこと、追いついた湘南の側にしても、モヤモヤしたものが残った。
(2007年9月29日 湘南ベルマーレ2―2京都サンガF.C. 平塚競技場)

 2点リードしながら残り10分で追いつかれるというのは、情けない話だ。だからこそ京都の美濃部監督は「ショック」という言葉でこのゲームを説明したのだろう。
 一方の湘南は、残り10分で2点差を追いついたといえば、選手の奮闘を讃えるべきゲームのようだが、どうも釈然としない。昇格争いにおいて追い上げなければならない立場の湘南が勝点1をもぎ取ったことは、「次につながった」と前向きに評価しうるが、残り試合数が着々と減っているという状況を思えば「ダウンこそ奪われなかったが、逆転打を放たなければ判定負けへ近づくだけ」ともいえる。そういう勝点勘定に加えて、ゲーム内容もなにか帳尻合わせで丸め込まれたような印象なのだ。

 京都の1点目は13分、FKからFWアンドレのドンピシャヘッドによるもの。相手のファーストオプションにやられたことに不快感もあるが、アンドレは強いので時にはやられることもあるか…。どちらかというと、FKを与えた場面に問題があるだろう。CB斉藤俊秀が京都FWパウリーニョを倒したというファウルで、お互いに引っ張り合っていたように見えたから判定に対する不平もあるのだが、そもそも、斉藤がスピード豊なパウリーニョと1対1になった時点で大問題なのだ。できればそれを避けたかった。
 その後も一進一退の攻防。私の目には、湘南がボールを保持して優位に立っているように見えたが決定的なチャンスはない。京都の2トップ(アンドレ、パウリーニョ)の潜在的な威力がチラついた状態が続く。
 京都は石井俊也を1ボランチにし、その前に左から斉藤大介、倉貫一毅、渡邉大剛の3人が並ぶ布陣で湘南に圧力をかける。湘南はその両サイドを押し込みたいのだが、思うようにいかない。湘南のアジエルとエドワルドは引いてボールを受けにくるので、相手SHを後ろに下げることが出来ない。いつものことだ。
 ハーフタイムに両チームが選手を替える。京都は右SB平島崇がコンディション不良とのことで下がり、渡邉大剛をSBの位置に下げ、SHには中払大介を投入。湘南は前線の原竜太に替えて加藤望を投入し、エドワルドを前線に上げる。
 ギアチェンジを図った湘南だが、後半開始直後にだらしなく失点。倉貫のスルーパスに対して集中を欠いていた対応で中谷勇介にシュートを撃たれた。客席は一気に落胆ムード。それはそうだ。昇格争いに食らいついていこうというチームの失点ではない。

 ここまでは湘南がひどかったが、この後は京都がひどくなる番だった。
 まず、64分にアンドレを下げて田原豊を投入。今シーズンの田原は一皮向けたような結果を出しているが、この日は、アンドレに比べると威圧感に欠けるし、ジャーン・斉藤のCB陣を相手にして勝てそうな気配はなかった。
 湘南もボランチ北島義生を下げて永里源気を投入。総攻撃の狼煙を上げる。ジャーンはほとんど上がりっぱなしになり、後方に残るのは2~3人になり、京都のカウンターの芽を斉藤俊秀が摘み取るシーンが続出する。
 さらに80分に京都は前線でカウンターの武器となっていたパウリーニョを下げて徳重隆明を投入。徳重が前線ではなく中盤に位置したということもあり、これで湘南DF陣、というか斉藤俊秀にかかるプレッシャーが一気に軽くなった。ジャーンも後顧の憂いなく前線にとどまる。この後に京都は2列目からの飛び出しで決定的なチャンスを作ったのだけど、湘南はリスクを負って攻めに出ていてピンチを招くのは織り込み済みだったわけだから、京都はヒヤリとさせるだけでは湘南を牽制することはできなかった。したがって京都はカウンターから追加点を奪う最善策をとるべきだったはずだ。その意味でパウリーニョを下げた采配は疑問だ。
 この状況を受けてか、湘南は83分に右SBの山口貴弘(一時期の迷いながらのプレーから脱したような気がする)を下げてFW梅田直哉を投入。その直後に湘南1点目。坂本紘司のクロスをジャーンが折り返して石原直樹が押し込む。京都としては、試合開始からゴール前で壁となっていたチアゴがジャーンに競り負けたのが誤算だったろう。
 さらにロスタイム、ゴール前の混戦から永里が同点ゴール。

 湘南は締まりのない失点、京都は采配ミスに加えて、昇格争いのライバルが当然仕掛けてくるパワープレーを守りきれなかった不手際。シャキっとせんかい、と言いたくもなるが、これがJ2上位争いの現実だ。
 2004年に川崎フロンターレが独走したときには「2位の呪い」と呼ばれる現象があった。2位になったチームが勝ち続けられず、その地位を守れない状況のことだ。それ以外にも近年のJ2は毎年のように混戦になっている。それもこれも、同じことだ。ほとんどのJ2のチームは、たとえ上位チームであっても、安定した戦いを遂行する力はないのだ。調子の波が大きかったり、一度調子を崩すとなかなか回復しなかったりする。
 湘南を応援する私としては、それがよりどころになりつつある。幸い、湘南の選手達は不器用であっても頑張っていると思える。このゲームでは梅田直哉が自陣中央付近まで駆け戻ってディフェンスをした場面。投入の意図からすれば、梅田はゴール前で味方からのボールを待っていてもよかったのだ。しかし、もはやポジションレスとなり、ディフェンスが手薄と見て自らボールホルダーを追ったのだ。石原直樹であればいつものプレーだが、梅田もこういうプレーをするのだ。

 なお、0―2から追いついても快哉を叫ばなかった私であるが、そんな私をニヤリとさせた出来事は、京都ベンチ前で起きた。それ以前から線審の判定の1つ1つに大興奮していた京都の美濃部直彦監督は、同点ゴールが決まると、怒りに任せてベンチ前に置かれていたボールを蹴った! そのボールはベンチにいたコーチの腹に直撃。美濃部は慌ててコーチに駆け寄り「ゴメンゴメン、大丈夫?」と謝った。世の中、振り上げた拳を落とせることはあんまりないんだよね。
 後姿だったから惜しくも確認できなかったのだけど、ボールを当てられたのが加藤久さんだったら、湘南サポのニヤリ度も増すのだけど。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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