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2007年10月14日 (日)

ヴェルディはレッズになれるのか

 ヴェルディはJ2を勝ち抜く最善手にたどり着いた。華麗なパス回しには遠いし、名波浩の憎らしい黒幕仕事もないが、徹底して合理的なサッカーといえるのだろう。まずはJ1昇格という「名」をとって、名門復活の「実」はその後ということなのだろう。
(2007年10月13日 東京ヴェルディ1969 3―0 湘南ベルマーレ 西が丘サッカー場)

 ヴェルディの完勝と言ってよいだろう。前半7分にフッキの直接FKで先制し、31分には中盤でボールを奪ってカウンターで2点目。後半に入って54分に服部年宏のFKに土屋征夫が合わせて3点目。言うことのない得点経過で危なげなく逃げ切った。
 湘南は果敢だったのだろう。もとより戦力差は覚悟の上で臨むヴェルディ戦であるから、ある程度ディフェンスを固めてゲームを進めるというやり方もあったはずだが、試合開始直後から人数をかけて積極的に攻める意志をみせていた。が、結果的にはそれが裏目に出た格好だ。前がかりになったところでボールを奪われたシーンがことごとくピンチになったのは当然だし、中盤底でのパス回しをヴェルディに狙われていたような印象だ。
 1点目はフッキへの対応が一瞬遅れ、慌てて追いかけた北島義生がフッキを倒したことによるFKだったわけだが、このシーンに限らず、今季の3試合に比べて今日は、攻撃時に両ボランチがフッキ、ディエゴから離れてポジションを高くしていたような気がする。2点目は坂本(?)からアジエルに下げるパスが奪われてのカウンターで、ボールの失い方が最悪というしかない。3点目は怪しげなFK(言いたかないが、私の位置からはシウバが勝手に足をもつれさせた、もしくは「審判を欺くプレー」に見えた)からの失点で、土屋へのマークが甘かったといえばそうなのかもしれないが、服部のキックも良かったしなあ。
 前半は後方の選手を上げず、勝負をかけるのは後半という戦い方もありえたのだろうか? 私はその選択肢はなかったのだと思う。昇格争いで剣が峰に立った湘南が焦っていたという見方も否定する。むしろ、今季の湘南の戦い方を、相手との力関係など関係なく全うしようとしたのだろう。そう考えると、今日の結果は湘南の力負けということになる。愚直な戦い方だったともいえるが、今さら、慣れない「引いて守る」戦い方をするのはデメリットが大きいという判断を私は支持する。

 ヴェルディの昇格は既定路線になってきた。フッキ、ディエゴのカードトラブルが待ち受ける(2人ともあと1枚のイエローカードで2試合の出場停止になる)ものの、この戦い方をしていれば大崩れはしないだろう。
 今のヴェルディはリアリズムの塊だ。強力2トップにディフェンスの負担をかけず攻撃への専念を許し、後方の選手達が分厚く守る。今日は早い時間に先制したせいもあろうが、SBのオーバーラップは皆無で、両ボランチは守備バランスへの注意を第一義にする。後方でボールを奪えば前線へのロングパスでリスクを最小限にとどめ、セットプレーで得点を重ねる。
 今シーズンのヴェルディは、試合を重ねて、痛い目を見るたびにリアリズムの度合いを増してきたように見える。シーズン当初は菅原智を起用する素振りはこれっぽっちもなかったのに、今や彼が勝利の立役者に名を連ねているのが象徴的だ。ラモスはそれについて不満というか「仕方なくこうしている」「自分の理想とは違う」といった主旨の発言をしているが、それは本心だろう。こういうサッカーで「名門復活」とは言えないだろうから。華麗なパス回しを諦めてロングパスでブラジル人FWの力量に任せるなんて、全然本意ではないだろう。選手構成とも矛盾しているし。
 それについて、他サポである私は非難する立場にはない。昇格することが最優先であるのはJ2のクラブはみんなそうだから。まずは1部に復帰し、結果を残しながら内容を少しずつ変えていくというのは浦和レッズも通った道なので、いくら私が「あれだけ金かけておいて、臆病な引きこもりカウンターサッカーか」と言ったところで説得力がないのかもしれない。貧乏クラブを応援する者の僻みととられても仕方がないし。

 負け惜しみついでに言うと、ヴェルディがレッズへの道を歩けるのかというと疑問を感じる。浦和レッズにせよ川崎フロンターレにせよ、あるいはサンフレッチェ広島にせよ、J2では自分達のサッカーを貫き、苦戦したものの昇格を成し遂げた。今のヴェルディほどには「昇格のために現実と妥協」はしていなかったように思う。
 今のヴェルディと近いのはコンサドーレ札幌の昇格時だと思う。エメルソンの破壊力でJ1へと駆け上がり、強面ウィル様の力で残留を果たし、彼が去るとJ2へと降格した札幌だ。前線の外国人頼みというサッカーの持つリスクを熟知しているであろう、ウィルなき後の札幌を率いたハシラタニがベンチにいるのに、こうなってしまったというのは皮肉というか、彼の星回りというか、一体どういうことだろう。

 なんだか徹頭徹尾、ベルマーレを応援する私がこのタイミングで書くと愚痴や妬みや僻みにしか見えない文になってしまったが、別にまだ諦めたわけではないということは言っておく。

【テレビ放送を見て追記】ヴェルディは現場で見たのより良いサッカーをしていた。細かいパス交換あり、後方の選手も含む複数の選手が連動した攻撃あり、と。でもまあ2点差になってからそれが目立ったのも確かだから、割り引いてとらえるべきでしょう。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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