« 湘南ベルマーレのセットプレー(1) | トップページ | 後戻り著しい無策の中盤――チリ戦で露呈した速攻依存の岡ちゃん節 »

2008年1月13日 (日)

湘南ベルマーレのセットプレー(2)

 ジャーンと斉藤が来たからディフェンスが安定した、と言うだけでは大雑把すぎる。そこで、多少なりとも踏み込んで考えるために、数字で結果が見えやすいセットプレーの守備について調べたところ、総失点の減少とは裏腹に、セットプレーに対して脆かったことが分かった。

 2000年以降のベルマーレについて、セットプレイを起点にした失点についてまとめると、
  2000年 FK6 CK5 合計11(90分当たり0.27点)
  2001年 FK9 CK4 合計13(90分当たり0.28点)
  2002年 FK4 CK5 合計9(90分当たり0.20点)
  2003年 FK7 CK5 合計12(90分当たり0.27点)
  2004年 FK9 CK8 合計17(90分当たり0.39点)
  2005年 FK7 CK7 合計14(90分当たり0.32点)
  2006年 FK20 CK4 合計24(90分当たり0.50点)
  2007年 FK11 CK4 合計15(90分当たり0.31点)
という数字で、意外にも2007年はセットプレーからの失点が多かった。いや、前年と比べれば減っているが、2006年が酷すぎたのであって、それを基準にするわけにはいかない。

 総失点に占めるセットプレーの割合は、
  2000年 15.5%(90分当たり平均失点1.71)
  2001年 21.3%(90分当たり平均失点1.34)
  2002年 20.9%(1試合平均失点0.98)
  2003年 22.6%(1試合平均失点1.20)
  2004年 26.6%(1試合平均失点1.45)
  2005年 23.7%(1試合平均失点1.34)
  2006年 27.6%(1試合平均失点1.81)
  2007年 27.3%(1試合平均失点1.15)
と、高水準にとどまっている。もちろんこれは、セットプレー以外の失点を大きく減らせば高くなる数字であるから、一概に酷評すべきではない。
 そこで、(1)で行ったのと同様に、セットプレイから得点に結びつけられた確率を見ることにする。手元にある資料でその近似値を得るために、次のような計算をした。
「セットプレイを起点にした失点÷(CK+直接FK+間接FK-オフサイド奪取数)」
 オフサイドで得た間接フリーキック以外のセットプレイのうち、ゴールにつながった率を出すという意図だ。仮に「純粋セットプレイからの失点率」とでもしておく。すると、
  2000年 1.26%
  2001年 1.15%
  2002年 0.85%
  2003年 1.18%
  2004年 1.72%
  2005年 1.47%
  2006年 2.34%
  2007年 1.62%
という数字が算出された。2006年よりは改善したものの、相手のセットプレーに対して、案外脆く失点していたといえよう。

 数字を突きつけられると反論のしようがないのだが、私としては、2007年の「堅守湘南」のイメージとここまでの考察はうまくマッチしない。その原因について考えてみる。
 第41節の札幌戦(9月22日。ホームでの快勝劇)までは、相手のセットプレーを押さえ込んでいたのだ。しかし、42節のセレッソ戦(9月26日。アウェイで見事なパスワークから加藤望が同点弾。金永基が古橋のPKを止めた試合)以降、セットプレーに対して脆すぎたのだ。なにしろ、41節まで7点に押さえていたセットプレー絡みの失点が、シーズン最後の10試合だけで8点である。

41節まで
・セットプレイからの1試合平均失点=0.18
・「純粋セットプレイからの失点率」0・98%
・1試合平均1.03失点
・失点に占めるセットプレーの割合17.9%

42節以降
・セットプレイからの1試合平均失点=0.80
・「純粋セットプレイからの失点率」3.76%
・1試合平均1.60失点
・失点に占めるセットプレーの割合50.0%

 私にとっては、ベルマーレの堅守イメージは9月上旬には確立していた。そして、9月下旬以降は昇格争いから脱落する手前で綱渡りの状態が続いていた。その緊迫感の中で、まあ「先制点を取られすぎる」ぐらいのことは考えていたとしても、セットプレーからの失点が増えていることには気づいていなかった。劇的な同点劇、感動的な勝利、打ちひしがれる敗戦、という各試合の濃さに振り回されて、観察眼を閉じていたのだろう。うかつな話だ。

 まあ私が固定イメージにとらわれていた原因などはどうでもよいが、どうして終盤にセットプレー対応が拙くなってしまったのだろうか。
 上位チームを追いかける立場の湘南がリスクを冒して攻め、カウンターを食らうというのならば話はわかる。事実、シーズン終盤の湘南は前がかりになって攻めている。それを裏付けるようなデータだってある。

41節まで
・1試合平均CK奪取数=4.71
・1試合平均被CK数=5.13
・1試合平均得点=1.45

42節以降
・1試合平均CK奪取数=5.40
・1試合平均被CK数=4.30
・1試合平均得点=1.70

 1試合平均で得点は0.25増えたものの、失点も0.57増えている。セットプレイからの失点は0.62増えているのだから、カウンターでやられたのではない。これはどう説明すればよいのだろうか。
 集中力の欠如はなかったとすると、考えられる仮説は上位チームの底力だろうか。
 シーズンも終盤になれば、上位チームはセットプレーに力を見せる、ということだ。確かに、西が丘でのフッキの直接FK、長居での古橋の直接FK、渡邊大剛のFKからアンドレのヘディング、梁のFKに飛び込んだ岡山、そして、仙台の夢を打ち砕いた加藤望のFKなど、思い当たる節がなくもない。
 この仮説が正しいのであれば、危ないエリアでファウルをしない、という部分で力をつける必要があるのだろう。 

注:本稿のデータは湘南ベルマーレ公式サイトをもとにしている。しかし、2005年以前のデータはサイトデザイン変更時に削除されており、検証不能になっている。これは非常に遺憾。

« 湘南ベルマーレのセットプレー(1) | トップページ | 後戻り著しい無策の中盤――チリ戦で露呈した速攻依存の岡ちゃん節 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 湘南ベルマーレのセットプレー(2):

« 湘南ベルマーレのセットプレー(1) | トップページ | 後戻り著しい無策の中盤――チリ戦で露呈した速攻依存の岡ちゃん節 »

高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

姉妹ブログ


三鷹牛蔵twitter

無料ブログはココログ