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2008年5月13日 (火)

アジエルへのマンマークが無効だった理由

 サガン鳥栖はアジエルにマンマークをつけてきた。これは失敗だった。昨年にも同じ策をとって不首尾に終わったわけだが、湘南の対応は昨年よりもスムーズで、あっさりとかわしたように見えた。攻撃ルートの複線化が効いているのだと思う。
(2008年5月11日 湘南ベルマーレ2—1サガン鳥栖 平塚競技場)

 結果的にアジエルが1ゴール・1アシストの活躍を見せたわけだが、それだけが失敗と見る根拠ではない。鳥栖サイドからすれば、前半の湘南の攻撃を無得点に抑えたことをもって一定の成果とみなすことも可能なのかもしれないが、それこそまさに結果論だ。前半からあれだけアジエルにシュートを撃たれては、失敗と言うしかないだろう。ゴールが決まらなかったことはラッキーだっただけだ。それでも、アジエルを苛立たせ、湘南の攻撃の流れを阻害できていれば成果を認める余地もあるのだが、それにも成功していたようには見えない。
 まず第一に、人選の問題がある。マークについた山城純也はアジエルよりも身長が低いこともあって、ゴール前での空中戦においてミスマッチとなっていた。アジエルは身長の割にヘディングが得意なので、湘南にとっては終始一貫狙い目となっていた。鳥栖側はゴール前での受け渡しの不備を云々していたようだが、マンマークをつけておきながらゴール前では受け渡すというのは現実的な話なのだろうか? マーカーが最後まで責任を負うのがシンプルだし一般的なのではないか。

 とはいえ、アジエルが前線に出て行くことで湘南の攻撃が停滞すれば、鳥栖にとっては一定の成果といえたはずだ。しかしそうはならなかった。案外スムーズに攻撃できていたのは、今季の湘南の方針と関係がある。
 以前の湘南は、まずアジエルにボールを預けることから攻撃が始まっていた。ピッチの中央付近でアジエルがボールを持ち、左右に散らすなり、ドリブルで突破するなりしていた。ところが今季、湘南の攻撃の起点はピッチ中央の1か所から、ピッチの左右2か所に増えている。そのため、起点としてのアジエルが機能不全に陥っても、もう一方の起点(加藤望側)が生きている。そのため、攻撃が一気に停滞するようなことがないのだと思われる。
 ここ数試合の攻撃的両SB起用によって、それが明瞭になっているのだが、思えば今季は初めからそれを意図していたように思われる。端的なのは、アジエルと加藤望が交差するシーンが激減していることだ。2人の距離は昨シーズンより離れており、絶妙なサイドチェンジが増加している。加藤望でなく大山俊輔が先発していたときにも同様の位置取りがなされていたので、これはチームとしての方針なのだろうと伺われる。
 この方針はアジエルにとってやりやすいはずだ。何しろ彼にとってはプレーの選択肢が増えている。ボールを受けて、中央に向けてドリブルで前進するのが依然として第一の選択肢だとしても、この数試合は外側を駆け上がる臼井幸平にパスを出すシーンがかなり多い。さらに、下がってきたFW(たとえばリンコン)にパスを当ててリターンを受ける道もあるし、ボランチに戻してもいい。逆サイドの加藤望めがけてサイドチェンジの長いパスを出すことも出来る。
 
 こうしてみると、菅野監督はシーズン当初から臼井・鈴木伸の2人を同時起用することを予定して、周到に準備していたように思える。攻撃面で魅力的であることは確かだが、すでに述べたように、私はその起用には懸念を持っている。
 現にこの日の失点も、金信泳が鈴木伸貴にのしかかりながらのヘディングであり、鳥栖側が意図して狙ったのかどうかはわからないが、そのウィークポイントを突いたものだった。ベンチワークを見る限り、そのウィークポイントには自覚的であるみたいだが。

 というわけで、臼井・鈴木伸を左右に配した攻撃的な布陣に関して、その魅力に歓声を上げつつ不安を抱く試合が続くのだろう。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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