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2008年5月23日 (金)

コートジボワールはヨーロッパ

 アフリカン・サッカーはなかった。コートジボワールは、早いテンポでショートパスを繋ぎ、ボールのない所でも選手達は勤勉に動く。民族音楽のリズムはなく、ジェイジェイ・オコチャの居場所もない。脅威のスピードで縦に突っ走るようなことは皆無で、それを行うとしたら緊急招集のドゥンビアだけだったのだろう。彼は試合に出なかったが。
(2008年5月22日 キリンカップサッカー2008 コートジボワール代表1―1パラグアイ代表 ニッパツ三ツ沢球技場)

 コートジボワールの選手達は軒並みヨーロッパでプレーしているのだし、監督もボスニア・ヘルツェゴビナ人なので、欧州的な合理的サッカーになるのは当然なのだろう。しかし、アフリカ好きの私にはちょっと残念。常識離れの超人的な身体能力や、やる気のないようなダラけた打楽器のリズムを奏でる時間帯を見たかったので。
 その意味での唯一の見せ場は前半、味方DFのミスでCKを奪われそうになったときにGKブバカル・バリが猛ダッシュでコーナーフラッグ付近まで走り、スライディングでボールがラインを割るのを阻止した場面だ。GKなのにウイングのようなスピードだった。
 まあ、ないものねだりをしても仕方ない。十分に楽しめたし。

 まず目に付いたのが左SBのエティンヌ・アルトゥール・ボカ(シュツットガルト。#3)。彼のドリブルを、パラグアイは最後まで止められなかった。積極的なオーバーラップでパスを引き出すと、どんなパスでも吸い付くようなトラップで我が物とし、精度の高いクロスを上げる。ディフェンスは、疲れが出始めてからは相手の足元に一発勝負で飛び込むような場面もあったけれども、たぶんあれはギャンブルをしても良い場面と踏んでのことだろう。
 それとCBのマルク・アンドレ・ゾロ(ベンフィカ。#22)。182センチと、そう身長が高いわけではないが空中戦担当としてほとんど無敵の強さを見せた。かつて湘南にいたパラシオスを髣髴させる選手だ。あるいはソル・キャンベルのような印象と言おうか。
 前線での空中戦担当はブバカル・サノゴ(ベルダー・ブレーメン。#20)。後方からのボールを処理するのがものすごく上手い。足元に収めてのポストプレーはもちろん上手なのだが、それ以上に目立つのはバックヘッドの正確さ。チームとしてもそれは共通理解になっており、サノゴの頭をめがけて放り込み、他の選手が裏を狙っていた。試合途中からは、彼のバックヘッドが正確すぎるためか、パラグアイのDF陣に読まれていたようにさえ思える。

 コートジボワールは、パスを回しながら左右にボールを動かし、時折ダイレクトパスを交えることでチャンスを演出していた。各選手の技術が高いので十分に脅威だったのだが、そのプレー振りは「行き当たりばったり」「思いつき」のようにも見え、チームの作戦としての狙いどころはなかったと思う(親善試合だし)。
 それに対してパラグアイは、個々の選手はそれほど目立たない代わりにチームとしての意思が伺えた。特に、前後半立ち上がりの時間帯に見せたプレスには感心した。誰か際立ってダッシュをする選手がいるわけでもないのに、全員のポジションの良さでプレッシャーをかけていた。また、コートジボワールがバイタルエリアを空けがちなのを突いてミドルショットを放つのも意図的なものだと感じた。
 どこが、と指摘するのは難しいのだが、パラグアイの試合運びには「心得ているなあ」と感じさせられた。個々の能力がすべてではないということを知っているし、それを体現して見せたと思う。南米っぽさというのは、こういうことなのかなと思った。

 それにしても、第3国で行われる親善試合に5000人の観客が集まるのは多いのだろうか、少ないのだろうか。私の感想で言えば今日の試合に5000人しか来なかったのは「少ない」と思う。季節もいいし、三ツ沢はいいスタジアムだし、両チームは見応えがある。そのうえバックスタンド自由席は大人1500円だ。横浜FCの公式戦がゴール裏で2000円ということを思えばお得感がある。
 この試合が集客できないということは、巷間いわれるような「日本代表の人気低下」というよりは、「サッカーの人気低下」を心配した方がよいのかもしれない。クラブ人気に移行、というが、それは「各クラブの物語」が人気を博しているだけで、「サッカー」人気が盛り上がっているわけではないのではないか。仮説だが。
 なんで私はこんなことを書いているのだろう?

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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