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2008年11月 1日 (土)

山形の萎縮・湘南の過剰な緊迫

 昇格へのプレッシャーが山形に萎縮をもたらした。対する湘南は対戦相手も勝点勘定も関係なく、自らのサッカーを全うしようと過剰に緊迫していた。ラストピースは間に合わなかったのか?
(2008年10日26日 モンテディオ山形1―0湘南ベルマーレ NDソフトスタジアム山形)

 常々私はモンテディオを評価しているのだが、この日に関しては褒められる内容ではなかった。選手達の有機的な繋がりは薄く、前後あるいは左右で分断されているように見えた。2位をキープしているとはいえ、負ければ勝点差3に迫られる直接対決ゆえに、「ドローで可」という意識があったことは、試合後のコメントを見るまでもなく、選手起用、そして何よりも選手達のプレー振りに表れていた。チーム全体で攻め上がる印象は薄く、全体が守備へ守備へと意識を向けている中で、前方の数人の選手が「あわよくば得点したい」という攻撃を繰り出しているように見えた。連携の成熟度がもうひとつ上がってこない長谷川悠と豊田陽平の2トップを起用したのも「個人的な能力の高い2人を起用して、どちらかが当たればそれでよい」という意図だったと解釈する。
 もちろんそれは非難には当たらない。シーズン終盤の慎重な戦い方ということもできるからだ。ただ、率直なところ、慎重というよりは、負けたくないという意識からくる萎縮を感じた。チーム戦術としてビルドアップを放棄したわけではないのだろうが、重心が後ろにかかっているので迫力が出ない。左サイドの宮沢克行からの攻撃が目立つ一方で、右サイドの北村知隆が攻撃で目立たない。中盤中央の2選手の攻め上がりも印象が薄い。前半のうちから時間を使うような動作があったのも、萎縮という印象を強めた。

 対する湘南は一貫して攻めの姿勢を貫いていた。順位・勝点差を考えれば当然で、終盤にバランスを崩して攻めに出たのも当然の策だろう。
 10月はここまで3連敗中、しかもリーグ戦では無得点が続いているだけに、攻撃面での改善が求められていたのだが、その意気込みは十分感じられた。気合だけの問題ではなく、出場停止から帰ってきた坂本紘司の存在が大きかったのだろう。時に中央を前進し、時にサイドの攻撃を助けていた。湘南がカウンター気味に中央を突破できたのも彼が効いていたからだと思う。結果として山形の両ボランチが攻撃面で生きなかったことにも繋がっていると思われる。
 坂本が加わることで短いパスをつなぎながらビルドアップすることが可能になった。一方のサイドが詰まったときに、中央の坂本を経由して逆サイドへボールを回せていたのがその要因だ。
 最近の湘南はサイドを突破しても中央が薄く、また、エース石原直樹が相手の中心的なCBにガッツリ体を寄せられているので苦しい。しかしこの日の湘南は一本調子にサイドから攻めたわけではなかった。SHにパスを出すと見せて最前線のFWをサイドに走らせるなどの動きも織り交ぜていた。石原がサイドに流れて山形CBレオナルドを引き連れるシーンなど、なかなか考えられ、工夫している印象を受けた。

 速攻と遅攻を織り交ぜてペースに変化をつけていたのだが、チームカラーというべきか、それすらも生真面目な約束事に見えてしまうのが、最近の湘南の苦しさを表しているといっては言い過ぎだろうか。ボールの動き方にはペースチェンジがあるのだが、選手達の心理面は一本調子に思えたのだ。過剰な緊迫感といおうか。ここでもう一つ余裕をもって相手をいなしたり、遊びを入れたり出来ればなあ、と思われた。
 アジエル抜きでこういうゲームの組み立てが出来るようになったと成長を感じる反面、いや、だからこそ、ここでアジエルがアクセントをつければ、という思いを強くした試合だった。
 …というタイミングでアジエルの再来日。私は、不思議と「あと2週間早ければ」的なことを思わない。むしろ、アジエル抜きでのMAXの状態を見れたことに意味があるはずという考えが強い。「アジエル頼みのくS(RVDっかー」と言われてもおかしくなかった湘南が一皮むけるのではないかと期待してしまう。

【この日の審判について】
 主審氏はJ2では水準以上のジャッジだったと思う。カードを出しすぎるでも、笛を吹きすぎるでもなくゲームをコントロールした。90分間で極度に大きなブレもなかったし、一定の評価をすべきだろう。しかし、このぐらい吹けるのであれば、もう1ランク上を望みたくなる。
 試合開始直後からホームチームにやや寄った笛だったが、そのこと自体は評価されてよいので、文句を言う筋合いではない。ただ、それを90分通したことには不満を感じた。山形の選手達のプレーを見れば「ドローで可」と考えていることは一目瞭然で、攻める意志を感じさせたのは数人だったし、早い時間帯から時計を進めることを意識した動きが見えていた。興行的な観点でホーム寄りの笛を許容する以上、それにふさわしい興行的なプレーをしないホームチームに肩入れする必要はないと思う。別にアウェーに肩入れしろとは思わないが、イーブンの視点になってもよかったと思う。
 石原が競り勝ったら全部ファールとか、同じようなコンタクトの応酬で田村雄三にだけイエローカードが出たシーンなどは、単独で見ればやむを得ないと思われるのだが、この日のゲームの流れを見れば山形に過剰に肩入れしている印象を受けた。
 あーあ。負けた後にこういうこと書きたくないね。かっこ悪い。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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