2008年・湘南ベルマーレのセットプレー（守備編）

　斉藤俊秀とジャーンを中心に守った２年間は、総じて「堅守」であったのだが、相手のセットプレーに対しては、さほどの威力を発揮したわけでもなかった。

　2000年以降のベルマーレについて、総失点に占めるセットプレーの割合を見ると、
　　2000年　15.5％（90分当たり平均失点1.71）
　　2001年　21.3％（90分当たり平均失点1.34）
　　2002年　20.9％（１試合平均失点0.98）
　　2003年　22.6％（１試合平均失点1.20）
　　2004年　26.6％（１試合平均失点1.45）
　　2005年　23.7％（１試合平均失点1.34）
　　2006年　27.6％（１試合平均失点1.81）
　　2007年　27.3％（１試合平均失点1.15）
　　2008年　31.3％（１試合平均失点1.14）
となっている。１試合当たりの平均失点は上下動しているのに、失点に占めるセットプレーの割合は上昇傾向といえよう。Ｊ２の各チームに優秀なプレイスキッカーが増えている証左なのだろうか？　なんだか不思議な数字だ。偶然かもしれない。

　さらに、セットプレイを起点にした失点についてまとめると、
　　2000年　ＦＫ６　ＣＫ５　合計11（90分当たり0.27点）
　　2001年　ＦＫ９　ＣＫ４　合計13（90分当たり0.28点）
　　2002年　ＦＫ４　ＣＫ５　合計９（90分当たり0.20点）
　　2003年　ＦＫ７　ＣＫ５　合計12（90分当たり0.27点）
　　2004年　ＦＫ９　ＣＫ８　合計17（90分当たり0.39点）
　　2005年　ＦＫ７　ＣＫ７　合計14（90分当たり0.32点）
　　2006年　ＦＫ20　ＣＫ４　合計24（90分当たり0.50点）
　　2007年　ＦＫ11　ＣＫ４　合計15（90分当たり0.31点）
　　2008年　ＦＫ10　ＣＫ５　合計15（90分当たり0.36点）
という数字。2007年・2008年と、１試合平均失点が低迷期に比べて低くなっているのに、セットプレーからの失点はそれほど低くなっていない。

　もうひとつ、攻撃編で行ったのと同様に、セットプレイから得点に結びつけられた確率を見ることにする。手元にある資料でその近似値を得るために、次のような計算をした。
「セットプレイを起点にした失点÷（ＣＫ＋直接ＦＫ＋間接ＦＫ－オフサイド奪取数）」
　オフサイドで得た間接フリーキック以外のセットプレイのうち、ゴールにつながった率を出すという意図だ。仮に「純粋セットプレイからの失点率」とでもしておく。すると、
　　2000年　1.26％
　　2001年　1.15％
　　2002年　0.85％
　　2003年　1.18％
　　2004年　1.72％
　　2005年　1.47％
　　2006年　2.34％
　　2007年　1.62％
　　2008年　1.79％
という数字だ。やはり、相手のセットプレーに対する守備には課題があるように思われる。まあ、上記のデータは「ＦＫを与えた位置」について考慮していないので信頼度は高くないのだが。

　セットプレーの守備に関して強いて不安材料を挙げるとすれば、それはジャーンの存在だ。この２年間でジャーンが先発した58試合と、それ以外の32試合（途中出場含む）を比較すると、
　　１試合平均失点：先発時1.09点・不在時1.25点
となっている。これは順当な結果だ。ところがセットプレーに関しては、
　　１試合当たり平均失点：先発時0.34点・不在時0.31点
　　「純粋セットプレイからの失点率」：先発時1.73％・不在時1.65％
という数値である。斉藤俊秀が去り、ＤＦラインの大黒柱として期待されるジャーンにとっては気になる数値だ。まあ、先に述べた「ＦＫを与えた位置を考慮していない」ことによる誤差の範囲という可能性も大いにあるのだが。

注：本稿のデータは湘南ベルマーレ公式サイトをもとにしている（昨年同様）。しかし、2005年以前のデータはサイトデザイン変更時に削除されており、検証不能になっている。