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2009年3月29日 (日)

五十嵐圭の試練というか小野秀二の試練というか

 シーズン最後のゲームが駄戦、凡戦になるというのはよくあることだ。同じ対戦相手との連戦で手の内を出し尽くし、地力の差があらわになった第4戦。アイシンの選手層を痛感するとともに、日立には別の戦い方もあるのではないかと思ったり。
(2009年3日25日 JBLファイナル第4戦 アイシンシーホース79―59日立サンロッカーズ 国立代々木競技場第2体育館)

 アイシンのMVP男・竹内公輔については竹内譲次がマッチアップすることで、ある程度拮抗させることができていた。しかし、アイシンのインサイドにおけるもう一人の核・桜木ジェイアールについては抑えられなかった。日立の外国人選手、ラマー・ライスおよびタイラー・スミスがマッチアップしたのだが、ローポストの桜木にボールが入ってしまい、そうなると止められない。抜かれないようなディフェンスをしていたが、その場でのジャンプ・ショットを決められてしまった。
 その桜木ジェイアールが帰化選手であるため、アイシンにはまだ外国人選手がいる。特にデビッド・ヤングがこの日は大当たり。インサイドの桜木にボールを入れてアウトサイドのヤングにパスアウト→3ポイントシュート、という形が思うように決まった。スタッツを見ると、この日は普段より出来が良かったようだが、それにしても良い選手。身長198cmであのぐらいのスピードがある選手がSFもしくはSGのポジションでプレーすると、マッチアップする日立の日本人選手(主に酒井泰滋)には厳しかったようだ。
 アイシンの先発メンバーはこの3人に司令塔の柏木真介、そして網野友雄という5人で、196cmの網野が小さく見えた。

 試合は、第1ピリオドにアイシンが31対17とリードを奪い、そのまま押し切った。第3ピリオド冒頭に日立がオールコートプレスを行ってペースをつかみかけたが、肝心のシュートを決めきれず、あとは目に見える策はなく、地力どおりの結果に終わった。
 私としては、日立にはゾーンディフェンスを試してほしかった。桜木ジェイアールを抑えなければ(あるいはファウルトラブルに追い込まなければ)勝機が見えてこないということを前提に考えると、ローポストから桜木を追い出すことを狙うしかないと思えたのだ。まあ、アイシンの他の選手がそろって外角シュートを打てる選手であるから、成功の可能性が低いという判断もわからなくはないのだが、ギャンブルも必要な力の差を感じた。

 日立といえば五十嵐圭なのだが、彼のスピードを生かしきれていない印象もある。アイシンのディフェンスが整っていないと見るや、彼はドリブルで長い距離を走って速攻を狙うのだが、アイシンは落ち着いていた。桜木や竹内が最後のレイアップをブロックして対処した。したがって五十嵐はドリブルで突っかけておいてパスアウトするのだが、アイシンのバックコート陣はそれを予測している。
 実際のところ、アイシンの戻りが早く、日立の速攻チャンスは数えるほどしかなかった。そして、ハーフコートバスケになると、五十嵐の威力は半減する。あれだけのスピードを持った選手なのに、ペネトレートが上手という印象を受けない。ゴール下まで入り込んだときのシュートが素直すぎるのだろうか。切れ込んでもパスアウトの印象が強かった。もっとも、それはアイシンのインサイドが高く、威圧感を与えていたからかもしれない。五十嵐に限らず、日立の選手はペイントエリアのシュートチャンスにパスアウトを選択することが目立った。そのあたりも地力の差を感じるところだった。アイシンの小宮邦夫がゴール下で落ち着いてジャンプシュートを決めていたのと対照的だった。
 日立のハーフコートバスケは、五十嵐がベンチに下がって控えPG佐藤稔浩が出ているときのほうがうまく回っているような印象さえあった。たまたまなのかもしれないが、彼にはジョン・ストックトンのような雰囲気を感じた。スピードがあるわけでもなく、ペネトレイトはほとんどしないが、上手いタイミングでシュートポジションにいるところが目についた。
 佐藤と五十嵐の2ガードも試す価値があると思う。五十嵐がボールをもらってからドリブルで速攻を仕掛けるのでは遅いので、五十嵐をウィング的に走らせるような速攻があってもよい。とはいえ、176cmと180cmの2人を同時に送り出すことは、サイズのあるアイシン相手では難しいか。
 日立のヘッドコーチ小野秀二にとっては策が尽きていたのかもしれないが、正直なところ物足りなかった。

 さて、私の裏観戦目的は佐古賢一を見ることだった。最近のプレータイムを見ると、これがラストゲームになる可能性もあると思ったから。
 すでに昨シーズンには、柏木真介への世代交代が完了しているので大活躍を期待していたわけではないが、無得点というのは残念。まあ彼は「ならしシュート」を必要とするタイプだったので、出ていきなり決めるというのは期待していなかったが。3ファウルで退いたが、3つ目のファウルにはニヤリとさせられた。相手のスクリーンプレーにスイッチして外国人選手とのマッチアップにされたところで、サクッとファウルをしてプレーを切った。得点差、残り時間を考えるとニクイ判断。
 アイシンではもう1人、瀬戸山京介にも注目しているのだが、最近プレータイムがない。ケガ?

 冒頭に駄戦、凡戦と書いたが、この日は何が凄かったって、客席の女声。特に日立を応援する女性の声がすごかった。「ゴー サンロッカーズ」とか「ディフェンス!」とかいう声援があの狭い代々木第2に渦巻いていた。きっかけは五十嵐圭なのかもしれないが、ミーハー圭様ファンと見られたくないらしく、日立というチームの応援に徹していた。五十嵐が相手のスクリーナーに顔からぶつかって倒れたときも、嬌声を上げることなく応援を続けていたし。
 いや、ありがたいことですよね。バスケ振興を祈念する身としては。ただし、私は構わないけど、何も知らない三十路リーマンがあの場にやって来たらちょっと「引く」かも。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
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