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2009年11月11日 (水)

大一番を前に甲府より上の順位になった。それだけが救い

 後半ロスタイム、正真正銘のラストプレーでドローに持ち込んだ湘南だが、遺憾ながらこのゲームは「ヴェルディが取りこぼした試合」だろう。ヴェルディを主語に語るべきだ。
(2009年11日8日 湘南ベルマーレ2―2東京ヴェルディ 平塚競技場)

 試合序盤に湘南が撃ったいくつかのシュートが決まらないのはもはや仕様か? 前節もそうだったが、試合序盤からトントン拍子にゴールを重ねて楽にゲームを進めるようなチームではない。シーズン序盤の好調時でさえそういう試合はなかったわけだし。昇格争いの渦中にあって、そう簡単にゴールは決まらないと捉えるほうが、面白がるためにはいいのかもしれない。
 でまあ序盤の攻勢で得点できず、ヴェルディが目覚めた後になって湘南が先制をするのだから面白い。ヴェルディがパスを回し始めるものの、湘南の各選手が丹念に応対して危険なエリアにボールを入れさせず、ヴェルディの後方の選手の攻め上がりと守備陣形の変更を促したというのが先制直前の情勢だった。パスは回るもののサイドで「詰まった」状態になり、やむなく後方へ蹴ったパスが湘南の選手にカットされ、田原豊→アジエルと経由して前方に走り出していた中村祐也に渡り、ヴェルディのDF土屋征夫の寄せの寸前に外側を駆け上がっていたノーマークの寺川能人へ。寺川にはワンテンポの余裕があり、落ち着いてゴールを決めた。
 ヴェルディのゲームプランとしては、アジエルにフリーでプレーさせないことを企図していたようだが、この瞬間は甘くなっていた。守備のバランスが崩れた状態でのボールロストであり、2ボランチがアジエルから離れていた。柴崎晃誠がポジションを前に上げ、服部年宏が空いたDFラインを埋めに行っていた。

 しっかり守り、ボールを奪うや一気に反転攻勢に移ってゴールを陥れる。まったく見事なカウンターだった。が、その一方で、「やっぱりカウンターか」という気分でもあった。相手の攻勢を利用するやり方ではなく、その前の能動的な攻撃で成果が欲しかった。
 案の定と言おうか、先制されたヴェルディが主導権をもって攻勢に出てきた。セットプレーからのカウンターでレアンドロが独走し、フリーのFW井上平に撃たせたが枠を外したシーンがあまりにも決定的だったので、そのプレーがきっかけのように見えたが、正確には、その前からヴェルディの攻勢は始まっていたというのが私の見方だ。
 ヴェルディの攻勢を支えていたのはレアンドロ。彼のボールキープ力と切り返しの深さは湘南DF陣に脅威を与えていた。そのうえヴェルディの右サイド永里源気がキレキレ。42分に湘南CB村松大輔をサイドにつり出しておいてフェイントでかわしクロスを入れると、それを井上がゴールして同点に追いつく。その前にも対面する湘南の左SB島村毅の股を抜いて決定的な場面を作っていたし、レアンドロと合わせ、1対1で優位に立つドリブラーが2人もいれば、そりゃ押し込むでしょうよ。
 まあ源気に居場所が見つかってよかった。SHで起用すれば、あのぐらいはやれるでしょ。湘南では他の選手との兼ね合いでSBだったりしたのだけど。昨年までと比べて成長を感じる部分もあって、ドリブルで仕掛けるときの姿勢が良くなったと思う。かつては「さあ行くぞ」と前傾姿勢になって一本気なスピード勝負を始めていたのだが、この日は顔が上を向いた状態で仕掛けていた。だからフェイントの威力も増したのだろう。
 とかいって感慨に浸っていたら(浸ってないけど)、61分にも永里のドリブルからチャンスを作られレアンドロに逆転ゴールを許す。完全にヴェルディペース。選手のクオリティを鑑みればこのぐらいのゲームが出来てもおかしくないだろう。大黒がベンチにも入っていないのにこの状態だ。やれやれ。

 80分にヴェルディはレアンドロを下げた。この采配は不可解だった。井上・平本一樹・林陵平と並んだ前線は3トップだったのか? この交代の少し前からヴェルディの中盤がなくなっていたので、そこを埋められる選手を入れるかと思っていたのだが、キープ力のあるレアンドロを下げたので意外な感じだった。前がかりになる湘南の裏を取って3点目を狙おうとしたのだろうか。
 ヴェルディが中盤でボールを繋ぐ意図をまったく見せなくなったので、反町康治としてもアンカーの田村雄三を下げてFW阿部吉朗を投入することに抵抗はなかっただろう。まあ、なりふり構わず得点を狙うしかない場面でもあったのだけど。ともあれ、田原・リンコン・阿部に加えてDFラインからジャーンと島村も上げて5トップ大作戦の始まりだ。フォーメーションは2―3―5。いやあ、第3者にとってはわからないが、湘南を応援する者にとっては全然ワクワクしなかった。
 結果的には村松の蹴った縦へのロングボールをジャーンが折り返し、阿部がヘッドで決めて直後にタイムアップの笛が吹かれたわけだが、まったくの結果オーライ。ヴェルディがマイボールを全然キープせず、ベタ引きで5トップ大作戦を真正面から受けてくれたから可能性が残っていただけで、ヴェルディが前線でボールキープして時間を使えていたらアウトだった。

 相手に主導権を握られて、相手の失策で追いついたゲームで、ほぼ完全にヴェルディを主語にして語るべき内容だった。これではあまり感心できない。
 もっとも、昇格チームが慎重になりすぎたり、受け身になるというのは終盤戦にはよくあることだ。去年の山形戦を思い出す。そう考えると、内容はどうあれ甲府との直接対決を前にして、上の順位になったことを前向きに捉えるべきだろう。大詰めのゲームで上位にいて試合に臨むことのもつ強みは、昨年まで痛感させられてきたわけだし。

【キャプテンマーク予想ゲーム】
 5巡目は田村→坂本→ジャーン→中村→寺川ときた。次は順当に野澤だろう。大一番だし。残りゲームは、臼井→アジエルでフィニッシュか。逆か?

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コメント

更新待ってましたっ(笑)
いつも分析が細かく楽しみに読んでます。島村がいまいちでした…。
いよいよ残り3試合になってしまいましたね。ここ5試合で得失点差は湘南の方が上ですが、甲府戦引き分けだとどうにも苦しくなりそうで、何としても勝って欲しいです。甲府の掲示板を見ると、前回J1に上がった時は福岡に負けて、入れ替え戦で京都に勝って…?、その時の状況に似てるし、絶対上がる!と盛り上がっていました。湘南上がってくれ〜。

>わっきーさん
冷や汗もののコメントをありがとうございます。

甲府戦は当然勝ちたいですね。ドローでもいい、なんてのは終わった後に言うことですよね。
ヴェルディ戦は不本意ながら冷静に観戦してしまいましたが、甲府戦は応援一辺倒になりたいものです。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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