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2010年1月 6日 (水)

2009年・湘南ベルマーレのセットプレー(攻撃編)

 総得点84点(1試合平均1.65点)というリーグ3位の得点力がそのままJ1昇格への原動力だったわけだが、J1で戦うに当たってはセットプレーの強化、もっといえばプレースキッカーの補強が急務だ。

 加藤望の現役引退により懸念されていた2009年シーズンのセットプレーは、反町仕込の工夫や細工、奇策をもって意外と得点源になっていた。しかし、それもシーズン前半の話。後半には物足りなさが目立っていた。
 各シーズンにおける、セットプレイを起点にした得点は、
  2000年 FK5 CK7 合計12(90分平均0.29点)
  2001年 FK7 CK4 合計11(90分平均0.24点)
  2002年 FK4 CK5 合計9(1試合平均0.20点)
  2003年 FK3 CK4 合計7(1試合平均0.16点)
  2004年 FK7 CK3 合計10(1試合平均0.23点)
  2005年 FK9 CK3 合計12(1試合平均0.27点)
  2006年 FK6 CK6 合計12(1試合平均0.25点)
  2007年 FK10 CK8 合計18(1試合平均0.35点)
  2008年 FK7 CK5 合計12(1試合平均0.29点)
  2009年 FK7 CK4 合計11(1試合平均0.22点)
と推移しており、数字を見ても低調ぶりは明らかなのだが、2009年をシーズンの前後半に分けて見てみると、さらに顕著だ。
 前半26試合 FK5 CK3 合計8(1試合平均0.31点)
 後半25試合 FK2 CK1 合計3(1試合平均0.12点)
と、後半戦での苦戦ぶりを裏付ける格好になっている(1試合平均得点も1.96から1.32に減っている)。
 まあ、セットプレーからの得点とされていないことが怪しまれるゴールもある(サイドで猪狩が止めて寺川がクロスを上げジャーンが決めたゴールがあったが〈敗れたセレッソ戦だっけ?〉、これも公式記録上はFKからのゴールとされていない。ああそうだ、49節甲府戦の坂本の決勝ゴールも)。とはいえこういう誤差は例年のことなので、長期的に見れば無視できるのだと考えることにしておく。

 セットプレーからの得点者は、
(2005年)佐藤悠介4、加藤望2、バリシッチ2、梅田直哉1、柿本倫明1、坂本紘司1、OG1
(2006年)アジエル3、佐藤悠介3、坂本紘司1、加藤望1、外池大亮1、北島義生1、松本昂聡1、横山聡1
(2007年)アジエル4、原竜太4、加藤望3、ジャーン2、斉藤俊秀2、田村雄三1、山口貴弘1、北島義生1
(2008年)アジエル3、加藤望3、ジャーン1、原竜太1、田村雄三1、石原直樹1、トゥット1、阿部吉朗1
(2009年)田原豊3、ジャーン2、アジエル1、臼井幸平1、坂本紘司1、中村祐也1、阿部吉朗1、OG1
となっている。2009年は長い距離のFKをアジエルが蹴る場面が増えたので、その分アジエルの得点は減っている。そして、キッカー自身(坂本、寺川)の得点が少ないということも明らかだ。

 得点に結びついたセットプレーにおけるキッカーを見ると、
(2005年)佐藤悠介6、加藤望6
(2006年)佐藤悠介7、加藤望4、ニヴァウド1
(2007年)加藤望10、アジエル4、永里源気2、ジャーン1、鈴木将太1
(2008年)加藤望7、トゥット2、大山俊輔2、北島義生1
(2009年)坂本紘司5、寺川能人3、アジエル1、鈴木修人1、菊池大介1

 さらに、FKを直接決めたゴールとキッカーをまとめると、
  2005年 佐藤悠介4本、加藤望2本
  2006年 佐藤悠介2本、加藤望1本
  2007年 加藤望3本、アジエル1本
  2008年 加藤望3本、トゥット1本
  2009年 坂本紘司1本
となっている。坂本紘司の直接ゴールは、例のハットトリックを決めた日のもの。あれは「直接」を狙ったものとは認めねえ!

 さらに、セットプレイを得点に結びつける確率を見ることにする。手元にある資料でその近似値を得るために、次のような計算をした。
「セットプレイを起点にした得点÷(CK+直接FK+間接FK-オフサイド奪取数)」
 仮に「純粋セットプレイからの得点率」とでも名付ける。オフサイドで得た間接フリーキック以外のセットプレイのうち、ゴールにつながった率を出すという意図だ。
  2000年 1.43%
  2001年 1.18%
  2002年 0.90%
  2003年 0.70%
  2004年 1.05%
  2005年 1.28%
  2006年 1.07%
  2007年 1.73%
  2008年 1.43%
  2009年 1.00%
 うむ。低い。フリーキックの場合はボールを蹴る位置が不特定なので、コーナーキックからのゴールについて同様に見てみる。
  2000年 3.80% 90分当たり0.17点
  2001年 1.55% 90分当たり0.09点
  2002年 2.39% 90分当たり0.11点
  2003年 2.15% 90分当たり0.09点
  2004年 1.59% 90分当たり0.07点
  2005年 1.46% 90分当たり0.07点
  2006年 2.53% 90分当たり0.13点
  2007年 3.43% 90分当たり0.17点
  2008年 2.44% 90分当たり0.12点
  2009年 1.75% 90分当たり0.08点
 2004年や2005年よりは得点率が高いが、ターゲットマンの強さや、他の選手のスクリーンなどの要因が絡むので、これで純然たるプレースキックの精度を測れるわけではない。

 2009年の湘南ベルマーレのセットプレーには改善の余地があることは数字上でも裏付けられる。そして、プレースキッカーの向上が求められるというのは、数字上の証明は容易ではないとしても、試合を見ていた者にとっては自明だ。が、自明というだけでは説得力がないので、もう少し考える。
 シーズンの後半、27節アウェイのセレッソ戦から42節のアウェイ札幌戦までの16試合にわたって、セットプレーからのゴールはなかった。43節のホーム岡山戦で久々にゴールに結びついたが、これは交代出場の鈴木修人のFKが相手オウンゴールを誘ったものだ。さらに、45節のアウェイ富山戦でアジエルの代役・菊池大介のCKからジャーンが決めたわけだが、主キッカーたる寺川・坂本のキックからは依然としてゴールがない。この後の5試合はセットプレーからのゴールはなく、最終51節で寺川のFKから阿部が決めてシーズンを終えた。
 2009年シーズンが始まった当初、特にコーナーキック時の工夫が目についた。しかし、シーズン後半になるとシンプルにファーサイドのジャーンや島村が競り勝つことを期待したキックが多かったと思う。時折トリックプレーも混ぜていたが、セットプレーを得たときの期待感には繋がっていなかった。

 そんなわけで、シーズン末期に某誌が「寺川は退団」という誤報を載せたときにも、私は「ありえない話ではない」と思った。誰かを入れ替えてプレースキックの面でグレードアップした選手を迎え入れるとしたら「寺川のポジションがなくなる」というのは、十分に考えられることだったから。
 そこまで悲観しなくても済めばいいなぁ。J1は34試合しかないから、25試合目ぐらいまで反町のトリックが通じれば、残り試合はあとわずかだ。そこまでに貯金できていれば逃げ切れるかもしれない……。といって鼓舞しようと思ったが、自分を騙しきれない。あらゆる面で苦戦が見込まれるからこそ、せめてセットプレーぐらいは他チームを撹乱できる武器であってほしいのだ。その意味で、現メンバーで新シーズンに臨むのは不安が大きい。やはり優秀なプレースキッカーが欲しい。

※セットプレー守備については次回に述べます。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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