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2010年2月22日 (月)

中田英寿、洪明甫、パラシオス

 ベルマーレ昇格記念試合を見てきた。豪華なメンバーによる「花相撲」は、見所満載でございました。

 中田英寿が12年ぶりに平塚競技場でプレーする、という一般向けのアオリももちろん適切だ。しかし、ファン心理的に最大の注目点は、洪明甫とパラシオスのCBコンビだろう。「アジアの壁」と1998フランスW杯のコロンビア代表による、ベルマーレの歴史に残る夢のコンビだ。
 今でもコロンビアで現役を張っているというパラシオスは、相変わらず身体が強く、ハイボールを弾く姿が絵になる。1回狙ったロングシュート(TV放送ではエジソンのシュートといっていたが)も相変わらずパワフルでド迫力だった。本当は後半にも撃つチャンスがあったのだが、自重したのだろう。残念。
 ミョンボ兄さんは、出足の1歩目が思うように出なかったようだが、パスは柔らかく正確だし、鋭い目つきでラインをコントロールしようとする「立ち姿」には、本当に雰囲気がある。欲を言えばオーバーラップも見せてほしかったが、メンバー構成上フル出場が求められていたせいか、上がる場面はなかった。

 そのCBコンビの後ろに控えるGKはご存知・小島伸幸。ゴールキックを直接タッチラインの外に出すお約束のプレーでオールドファンを沸かせるだけでなく、右手1本でシュートを防ぐファインセーブも見せた。
 ボランチの位置に入ったのは、僕の最初のアイドル・エジソン。現役時代の地味なプレーとは打って変わって、最近はいろいろな引退試合などで妙に目立っている彼だが、なにしろ運動量が多い。DFラインのボール回しに顔を出し、前の選手が詰まったら後ろでフォローし、隙あればゴール前に上がっていく。ボールタッチにも乱れがなく、広い視野からピンポイントのサイドチェンジをする。いやあ、現役最晩年の頃(横河時代)よりもよっぽど良いプレーをしている。
 反町康冶は選手の前で恥をかかないプレーができていた。渋いスルーパスを野口幸司に出したり、惜しいシュートも放った(宇宙開発)。昨シーズン、監督としては使い切れなかった鈴木将太を走らせまくった(というか苦しくなったらスペースに蹴って将太に追わせた)。
 そのほかにも、加藤望と澤登正朗のマッチアップだの(田坂もいればね)、栗原圭介と松川友明の共演だの、原竜太の泥臭い逸機だの、アマラオの見事なボールキープとゴールだの、公文裕明の見たことのないキックフェイントと見覚えのあるワロスだの、見所が数多く、濃密な60分だった(30分ハーフなので)。

 対戦相手では中西永輔が目立ってた。鈴木将太と互角に走り合うって、どういう引退選手だよ? 松原良香の献身的なプレーとか、藪田光教の渋い2ゴールとか、さすがと思わせる選手達だった。
 TAKE ACTION F.C.については、チャリティーなのかなんだかよくわからないところを揶揄される向きもあるわけだが、この場にハイチ大使を呼んでスピーチ(スペイン語訛りの英語なのか、なんか凄かった)させるというのは、なかなか出来ることではない。
 それはともかくとして、今回のような趣旨の試合における対戦相手として、これ以上ふさわしいチームはあまりないだろう。対戦相手も何かのOBチームでは、どっちが主役か不明瞭になるし、かといって無名チームでも困る。ベルマーレのファンというベクトルとは異なる角度で観客にアピールできるわけだし、開幕2週間前のこの時期にマッチメイクできるということにも価値がある。
 シーズン中にはマッチメイクに苦労しているようだが、シーズンオフにこういったゲームをこなすのであればTAKE ACTION F.C.にとっても、対戦相手にとっても、お互いに得るところがあるだろう。
 
 で、このゲームでの、私が選ぶマンオブザマッチは都並敏史だ。どういうスタンスで観戦すればよいのかと客席が戸惑っている試合序盤にムードを作ったのは都並だ。過剰なハッスルプレーと目に見える息切れで観衆に歓声と笑いのきっかけを提供した。
 ちょっと欲張りなことを言わせてもらうと、選手達の多くは真面目すぎる。1点リードしているTAKE ACTION F.C.が試合終盤にバックパスを使ってボールキープしたのもちょっと残念だったし、ベルマーレの選手の誰一人としてエリア内でダイブをしない!
 なにしろこの日の主審は上川徹だ。彼もOBだ(主審までOBで固められるチームはそうはないだろう、エヘン)。ミエミエのダイブに主審の上川徹がPKを宣告し、中田がそれを決めてドローで試合終了というのが美しい流れじゃんねえ。

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  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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