岡田ジャパンなんて存在しない~日本対デンマーク
3戦全敗は必至ともいわれた岡田ジャパンが、まさかの決勝トーナメント進出を決めた。デンマーク戦の勝利は歴史に刻まれ、次の大会で指揮官が掲げるハードルはまた跳ね上がるのかもしれない。しかし、一つだけ確かなのは、我々がみているチームがこの間の集大成ではないことだ。岡ちゃんがつくったチームなんて、もうここにはない。
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3戦全敗は必至ともいわれた岡田ジャパンが、まさかの決勝トーナメント進出を決めた。デンマーク戦の勝利は歴史に刻まれ、次の大会で指揮官が掲げるハードルはまた跳ね上がるのかもしれない。しかし、一つだけ確かなのは、我々がみているチームがこの間の集大成ではないことだ。岡ちゃんがつくったチームなんて、もうここにはない。
誤審が多いのは毎度のことだが、今大会では試合の行方を決める場面でのミスがめだつ。後半40分の3点目が認められていれば、アメリカは間違いなく勝っていた。0―2から追いつき、追い越したはずの彼らは、今頃、勝ち点4でグループリーグ突破を決めていたはずである。主審がダーティーなスロベニアに与えた勝ち点1は、イングランドにも最終戦での勝利を義務付けた。
初戦で勝ち点3を得た価値は、大きい。これで3戦目が消化試合になることはなくなった。しかし、カメルーンの草サッカー並みの攻撃を、前線3人の渾身のプレーで凌いだ日本にとって、2戦目をいかに戦うかは大きなターニングポイントとなるかもしれない。あの戦いぶりを3度続けさせるのは無謀かつ無情であり、それでオランダに負けないという保障もどこにもない。むしろオランダがあくまでグループリーグ最強と考えるなら、デンマーク戦に備えてメンバーを入れ替えるのも一つの手だ。
もはや、フランスにかつての面影はまったくない。2戦して勝ち点1という状況は、決して想定外ではなかったが、だからといって、後天性フランス人としては腹が立たないはずもなく、豪華なメンバーを生かせないドメネクには耐え難い。そもそも、4年前の準優勝からして彼の手柄だとはまったく思っていないわけで、今も首がつながっていること自体、理解に苦しむ。だって、ユーロでリベリーと心中したはずなのに。
さすがにマラドーナは一味違う。あれだけ豊富な攻撃のタレントを抱えているにもかかわらず、どうしてあそこまでメッシ頼みのチームをつくらなければらないのか。10番のデキがチームの命運を握る戦術は時代遅れであり、新旧2人の英雄は贅沢すぎる戦力をみすみす無駄にしている。ただ、自分たちの持ち味を見失っているのはナイジェリアも同じで、グループBの行方はまだまだわからない。
初めてW杯に臨んだカペッロは、思いもよらぬ果敢さをみせた。前半31分にショーン・ライト・フィリップス(以下、SWP)を投入し、相手の攻撃に遅れをとっていた左サイドで主導権を握り返す。痛恨だったのはGKグリーンのファンブルで、攻めあぐねていた感の強いアメリカに同点ゴールを献上してしまう。結局、混戦には持ち込んだものの再び突き放すことはかなわなかった。思えば、キングの負傷により後半開始の段階で2枚目のカードを使わざるを得なかったのが誤算であり、最後のカードをクラウチの投入に使わざるを得ないあたりが、今のイングランドの限界だ。一部のメディアはイングランドを優勝候補に挙げているが、この戦いぶりでは先が思いやられるといわざるを得ない。
アグレッシブな韓国に対し、まるで攻め手のないギリシャ――。コーナーキックからの先制点がすべてを決めてしまった試合だったといえるだろう。未だ“前近代的な戦術”を貫くギリシャは、ユーロ2006を制したときの几帳面な守備がみられないばかりか、自ら攻撃を仕掛けることもできなかった。韓国にとっては、貴重な勝ち点3を楽に稼げたグッドゲームだったろう。
カウンター狙いのウルグアイに対し、フランスは最後まで攻めあぐねた。シュート数は多かったが、決定機と呼べる場面はほとんどなかったといえる。可能性の低いミドルシュートを打たされたり、いささか無茶なクロスにアネルカが身体能力で競り勝ってヘディングするなど、効果的に攻撃していたとはとても言いがたいゲームだった。中盤がバランスを崩しているのは明らかで、前線で踏ん張っていたアネルカを下げてアンリを投入したドメネク監督の采配も、大いに疑問符がつくところだ。一方でカウンター頼みのウルグアイは、10人になりながら無失点で切り抜け、多くはないがフォルランが決定的なシュートを放ったことで手応えを感じたはず。というわけで後天性フランス人としては、完全なフランス視点で。
史上初のアフリカ大陸開催のW杯が始まった。開催国の躍動を期待した開幕戦はしかし、いささか期待はずれの1-1のドローに。初めから終わりまで緊張感に包まれていた試合とはいい難いが、それでも南アは南アらしさを、メキシコはメキシコらしさを垣間見せたといえるだろう。というわけで、性懲りもなく開幕戦の感想を千字で。
ハイボールに競った後、怪我して立ち上がれないゴールキーパーがうずくまる中での勝ち越しゴール。担架に載せられた彼がピッチを去り、しばらくすると救急車がやってきて彼を連れて行った。もう戦術だの勝敗だのを云々するようなシチュエーションではない。気もそぞろで、落ち着いて試合を見ていられなかった。観客を集めて行う興行として失格だ。主審がちょっとインテリジェンスを働かせればそんなことにはならなかったのだけど。
(2010年6日9日 ヤマザキナビスコカップ予選リーグ 湘南ベルマーレ2―3ヴィッセル神戸 平塚競技場)
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