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2010年6月20日 (日)

主審の無能さに盗まれた勝利~アメリカ対スロベニア

 誤審が多いのは毎度のことだが、今大会では試合の行方を決める場面でのミスがめだつ。後半40分の3点目が認められていれば、アメリカは間違いなく勝っていた。0―2から追いつき、追い越したはずの彼らは、今頃、勝ち点4でグループリーグ突破を決めていたはずである。主審がダーティーなスロベニアに与えた勝ち点1は、イングランドにも最終戦での勝利を義務付けた。

 スロベニアの先制点は、結果的にアメリカの欠点をついたものだった。あのとき、ゴールを決めた10番ビルサは、アメリカのMFとDFのラインの隙間に入り込み、右サイドからピッチ中央でパスを受けている。左サイドバックのボカネグラが別の選手をマークをしていた以上、彼をケアすべきだったのは10番ドノバンであり、相手を見失って裏を取られたのが致命的だった。それでも、余っていたセンターバックのオニエウが前に出ればよかったのだが、彼はシュートコースを塞ぐことすらできなかった。もっとも、それ以前にMFデンプシーがボール保持者へプレッシングにいかず、中央への単純なパスをゆるしたことが最大の原因だったともいえるだろう。
 近年の守備戦術では、中盤でのプレッシングよりも自陣深くで数的優位を確保してボールを奪うのが常套手段になっている。具体的には、ボール保持者をサイドへと追い込んでおいて、陣形全体がボールサイドに寄っていく。その分、逆サイドは空かざるを得ないが、ボール保持者にきちんとプレスがかかっていれば、逆サイドへ正確に高速のパスを出すのは困難だ。ドリブル突破からのミドルシュートへ対処するために中央は固めているし、緩やかなサイドチェンジをすれば当然、陣形を横スライドする時間が十分に持てる。
 実のところ、カウンターアタックを重視するアメリカは、時としてかなり極端にボールサイドに寄っていく(もちろん、自陣でボールを奪い、その後、逆サイドを効果的に使うためである)。ただ、こうした戦術を実現するためには、MFとDFのラインの間をコンパクトに保ち、サイドのMFに守備のセンスを要求せざるを得ない。意図的なのかどうかはよくわからないが、スロベニアの先制点はこの弱点になりがちなポイントを見事に突いたものだったといえよう。
 前半終了間際の2点目は、ラインを上げそこなったオニエウの明らかなミス。味方が中央でボールを奪われてからのカウンターに、彼は対処しきれなかった。マークすべきリュビヤンキッチを無視して、ラインを上げるべきだったのだが。
 2点のビハインドを負ったアメリカは、後半開始から2人の選手を交代して潔く勝負に出る。後半3分のゴールは、スロベニアにとって相手の陣形を把握する前に起きた事故だったろう。

 ドノバンのFKからエドゥがヘディングシュートを決めるまでの間の一連のプレーにおいて、アメリカの選手には非難されるべき点は何もなかったと思う。仮にファウルをとられるべき選手がいたとしたら、それはスロベニア側にいたはずだ。倒されたのはアメリカのボカネグラであり、エドゥ自身も抜け出したところをユニフォームをつかまれかけていたし。
 思えば、布石は後半13分のプレーにあった。似たような位置でのFKの場面で、アメリカのデンプシーとスロベニアのキルムがもつれ合って倒れ込み、主審は笛を吹いた。相手の首を抱えていたのはどっちもどっちなのだが、血を流したのはキルムのほう。このときの印象が審判団のジャッジに強く働いたのは否めないが、アメリカからすればそれ故に以降のFKではクリーンであることを貫いていたと思う。多くの選手は、無抵抗でスロベニアの選手に止められていたからだ。
 これに対して、その後のスロベニアのプレーは、子供にみせるべきものではまったくなかった。例えば後半23分には、ゴール前で抜け出しかけたアメリカのアルティドールに対し、シュレルが後頭部にアックスボンバーを喰らわす。しかし、ファウルがなければ間違いなくシュートに至っていたにもかかわらず、主審はイエローカードで済ませてしまう。直後の27分には、出足で負けたキルムがチェルンドロの足元にスライディングキックを敢行してイエロー。さらに30分には、カウンターになるのを恐れたヨキッチが、ドノバンの背後から右足をかっさばいた。7分間で3枚の警告を受けたその後も、ペツニクがチェルンドロの喉元に肘打ちをするなど、彼らはまったく汚かった。前半のクリーンさを維持し切れなかった主審には、大舞台でジャッジを委ねられるだけの能力がなかったといわざる得ない。

 盗まれた勝ち点2は、グループに大きな影響もたらす。アルジェリアに勝てばアメリカはトーナメントに進出できるが、イングランドは絶対にスロベニアに勝たねばならなくなった。まあ、いい。いけ好かない奴らには、ルーニーが鉄槌を下してくれると信じよう。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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