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2010年9月18日 (土)

ヴァウドの活躍は再現可能か?

 長身FWヴァウドがようやく実力の一端を見せたのは良いのだが、この活躍が果たして次節以降にも再現できるのかというと、悲観的になってしまう。
(2010年9日11日 ジュビロ磐田3―2湘南ベルマーレ ヤマハスタジアム)

 後半途中に投入されたヴァウドは、湘南の攻撃を活性化させた。切り返し一発で駒野友一を抜き去って同点ゴールをアシストしたのはもちろん、切り返しから長いストライドで相手を置き去りにしてミドルシュートを放ったり、体躯を生かしてボールキープをして相手にイエローカードをもたらしたうえ、空中戦でも相手に脅威を与え続けた。正直なところ1か月ばかり遅いと思うのだが、それでもようやく真価を発揮し始めたという印象だ。
 しかし、この日のヴァウドの活躍は、さまざまな条件が整ったが故のものであって、次節以降の試合で同じように活躍できるかというと、いささか疑問だ。
 アウェイ仙台戦から中2日でジュビロのコンディションが悪かったということは無視するとしても、同僚のエメルソンが出場停止で不在だったというのは見逃せない。エメルソンが復帰すれば、ヴァウドを起用するポジションがない。

 獲得当初のチーム構想では、ヴァウドは田原豊と1トップのポジションを争うはずだったと思われる。ところがヴァウドは、194cmの長身ではあるもののポストプレーをさほど得意でもなさそうだし、好きそうでもなかった。本人が「足元も見てほしい」と言い、しきりにサイドに流れる。素人目にも田原の代役は務まりそうにない。
 3トップの片翼の阿部吉朗は絶対に外せない。自陣深い位置で守備をし、敵陣ゴール前でシュートを放つ阿部は、今の湘南にあって最も貢献度の高い選手であり、あの運動量をヴァウドに求めるのは難しかろう。
 もう一方はエメルソンがファーストチョイスであるが、これに代えてヴァウドという選択はありうるだろうか。私はないと思う。奪ったボールをなかなか前に運べない湘南にとって、エメルソンの価値は大きい。ひたすら田原とヴァウドの頭をめがけて蹴るというのならともかく、組み立てるためにはエメルソンは外せないだろう。
 では中盤だろうか。この日のゲームでは坂本紘司に代えての起用で、登録上はMF、実質的には縦に並んだ2トップの「下」だったと思う。これは確かに魅力的で、ゴール近く、あるいは田原の近くにヴァウドを配するというのは攻撃面では迫力が出る。ただし一方で田原・エメルソン・ヴァウドの同時起用とはいかにも強豪ぶった布陣で、守備面でのリスクが大きすぎる。
 となると、やはり途中起用なのだが、今の湘南に必要なのは失点する前にリードを奪うことなのであって、追い上げ要員のことを考えている場合ではないのだ。これはお互いに不幸な話だ。どことは言わないが某強豪チームに行けばかなりの戦力になると思えるから。

 とか書いているうちに、今日はもう次のゲームだ。1週間もモヤモヤしていたのは、決勝点となった磐田3点目のゴールについて整理できないでいるからだ。とりあえず、悲観的な解釈を吐き出しておく。
 この日の3失点は、いずれも左サイドから上げられたクロスにヘディングで決められたものだが、前半の2ゴールと、決勝点になった3点目は意味合いが大きく違う。
 前半の2失点は、サイドへの寄せが緩い、2列目の上がりへの対応が遅れた、2対1で応対しながら決められた(前田遼一が見事といえばそうなのだが)、と確かに不甲斐ないとも言えるが個人レベルの話だ。しかし3点目はチーム全体としてやられている。それも、意思の不統一が背後にあるとなると深刻だ。

 同点に追いついた湘南は勢いづき、消耗の激しい磐田は危機的だった。湘南の前の選手達が高い位置でボールにプレッシャーをかけに行き、1人、2人、3人とボールを追った。しかしそれはかわされ、あっという間に前線にボールを展開されて失点。
 リスクを背負ってプレスをかけたのだからやむをえない、とは言えない。チーム全体の意思が統一されてハイプレスに行ったというのならともかく、チームはバラバラだった。前の選手がプレスに行くならDFラインも上げるべきだが、むしろ下がっていた(と思う。現地ではゴール裏だったから距離感がイマイチつかめていなかったし、映像を見てもよくわからなかった)。それゆえアンカーの田村雄三が広大なスペースに置き去りにされ、フィルター足りえず前線へのパスを通された。
 私の見る限り、反町監督は相手DFラインに組織的にプレッシャーをかけるつもりはない。基本的に8~9人のフィールドプレーヤーは自陣に引いて相手にスペースを与えない。高い位置でプレッシャーをかけたいのであれば選手起用も変わってくるはずで、小林竜樹をベンチにも入れないことがそれを表していると思う。
 勝ちたいという気持ちが強ければ前へ、前へと行くのは選手の本能なのだろう。その本能を今までは制御できていたと思うのだが、ここにきてそれが緩んでいるのだとしたら深刻だ。それが「勝てないチームの現実」なのだとしても、それを食い止めなければチームは崩壊する。「百折不撓」っていう合言葉が重いね。

【キャプテンマーク予想ゲーム】
 2巡目はジャーン→坂本→寺川→田村→阿部→都築→臼井→田原→島村→山口→中村(天皇杯)→野澤ときた。次は村松かハングギョンか。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
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