« 川崎戦は一か八か。山形戦に向けての布石 | トップページ | 世界の得点王とアシスト王を見てきた »

2010年10月 5日 (火)

勝ち点3を狙う思い切りを

 監督交代後2試合目というFC東京は、勝ち点3を狙うのに絶好の相手のはずだった。ところが、蓋を開けてみれば前半残り10分を切ってから立て続けに2失点して、試合を決められてしまった。久しぶりのボス=三鷹牛蔵との観戦だったにもかかわらず。
(2010年10月3日 湘南ベルマーレ0-3FC東京 国立競技場)

 前夜には雨も覚悟していたのだが、国立競技場はむしろ日差しが暑かった。見上げればバックスタンドにはかなりのFC東京サポーターが詰めかけ、10試合も勝ち星に恵まれていないチームとは思えない動員力に圧倒される。この人々の何割かはたぶん、湘南であれば勝てると踏んでやって来たに違いない・・・などと思わず考えてしまったのだが、ここで勝ち点3のゲットを狙っているのはこちらも同じ。監督交代から2試合目とあっては、十二分に付け入る隙がある・・・・・・はずだった。

 結果的に0-3という一方的なスコアになったが、FC東京が必ずしも良かったとは思えなかった。右サイドに開いた石川を使おうという試みはあまりにも見え見えだったし、例によって平山はその恵まれた体格を生かしきれない。どちらかといえば攻撃は単調だったし、何よりフリーになりがちなリカルジーニョにパスを回さないのはもったいなく思えてならない・・・・・・というのが前半途中までの印象だった。
 そんななか、チームの攻撃を牽引したのが大黒。前線で果敢に動いて湘南ディフェンスに的を絞らせず、ボールを受ければ惜しみなく散らしていく。それでいてゴールを狙えるポジションをうかがうことに余念がなかったのは、CKから今野が競り勝ったボールを蹴り込んだ先制点をみても明らかだった。シュート数が多かったわけではないのだが、めだたないながらゲームにアクセントを加えていたのは、明らかに今年30歳を迎えた元日本代表だったと思う。

 しかしまあ、湘南にとって致命的だったのは、立て続けに決められた2点目のほう。CKからの失点である1点目こそ事故と思えないこともなかったが、次の瞬間、平山のお膳立てから石川にダイレクトで決められてしまっては目も当てられない。いや、ホント、あれよあれよという間の2点目で、しかもこの二人による得点とくれば、FC東京のサポーターにとっては待ち望んだシーンだったに違いない。
 前半残り10分を切った段階での2失点は、あっけなく我々の期待を打ち砕いた。何といっても、今シーズンのリーグ戦で3ゴール以上挙げたのは清水戦(ただし3-6で敗戦)のみの湘南にとって、あの展開はさすがにまずい。結局、後半に入って何度かチャンスは得たものの、最後までゴールシーンを拝むことはできず、逆にリカルジジーニョにダメ押しゴールを決められる始末。2点差になって以降、明らかに自らゴールすることしか考えていなかった選手にしてやられるのは、さすがに滅入る。勝利を期待していたゲームで、0-3の完敗を目の当たりにするのはつらかった。

 湘南ファンから不興を買うのを承知でいえば、今のチームに足りないのはリスクを犯す覚悟なのだと思う。就任以降、守備戦術の徹底をめざしてきた反町は、明らかに無駄なオーバーラップや敵陣でのショートパスを控え、ポストプレーによる危なげない攻撃を志向している。その一方、守備においては常に数的優位を確保し、敵がつけ入るスペースをつくらないことを最優先し、中盤やサイドバックの飛び出しを自重させているようにみえる。むろん、戦術としてはそれも一つのあり方だとは思うけれど、当然の結果として守る時間ばかりが増えていくし、時にはなりふり構わず攻めに出ないと、相手を慌てさせることは難しい。率直にいって、守備意識の高さは大いに感じるのだが、良くも悪くも選手はみな戦術に忠実で、プレーには意外性が乏しかった。ベテランに怒鳴られてもガンガン上がっていくようなお茶目な若手がいれば・・・・・・と思わずにはいられなかった。

 事ここに至っては、守備にかける意識の何割かを攻撃へ配分せざるを得ないと思う。例えば、サイドバックが守備を省みずに飛び出していれば、チャンスは広がったのではないかと思えるシーンはたくさんあったし、また、失敗を覚悟でダイレクトプレーを選択すれば、シュートまで行けたはずなのにと臍をかんだ場面も多かった。また、攻撃を抑えて守備を優先するスタイルは、同時に相手にとっても守りやすくなりがちだ。今後の上位陣との対戦を考えれば、いかに“嫌な相手”になれるのかも重要だろう。この段階での方針転換が諸刃の剣であるのは間違いないが、それでもすでに手をこまねいていられる状況でもないと思う。

 降格圏内を脱したFC東京の勝ち点は24になり、15で足踏みした湘南との差は9点に開いた。残り9試合での9点差は不可能でもなんでもないが、そのために必要なのは引き分けを積み重ねることではなく、一つでも多く勝つことだろう。敗戦に肩を落とさず、思い切りを見せてもらいたい。

« 川崎戦は一か八か。山形戦に向けての布石 | トップページ | 世界の得点王とアシスト王を見てきた »

コメント

せっかくなので、もちっと面白い試合を見てもらいたかったです。とはいえ、今シーズンの中では面白い部類の試合だったのですけどね。
後半になってから1トップの馬場(#17)がDFラインの裏へのパスを要求したり、代わった新居(#18)が裏へのロングパスにヘッドで合わせる場面が見られたのですが、あれらは目新しかったです。
あのようなプレーを増やせれば面白いかもしれませんね。

 18番の新居は、良かったです。どうして後半スタートから出さないんだろう、と思ったりしました。
 それと、どの選手だったのかよく分からないのですが、左サイドから入ったボールを胸トラップしてエメルソンに落とそうとしたプレーが、一番印象に残りました(「うまい!」と口にしたときですが)。まあ、こちらの予想を裏切ってエメルソンが走りこまなかったので、カットされましたけど。そりゃあ、失敗すれば一気に逆襲される可能性が高いプレーではあるのでしょうが、やっぱりああいうのが見たいですよ。

>胸トラップ
永木(#41)ですね。ふふふ、私が彼を買うのもわかるでしょう?
 来季入団が内定している中大4年生で、この1か月は大学に戻っています。
 金曜の夕方にリーグ戦を90分戦って、日曜日の国立競技場にやって来ました。なので途中出場でしたが、できれば先発させたい選手ですよ。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 勝ち点3を狙う思い切りを:

« 川崎戦は一か八か。山形戦に向けての布石 | トップページ | 世界の得点王とアシスト王を見てきた »

高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

姉妹ブログ


三鷹牛蔵twitter

無料ブログはココログ