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2011年2月 4日 (金)

2010年・湘南ベルマーレのセットプレー

 最下位チームのセットプレーが脅威にならなかったのは明らかだったが、果たしてJ1レベルのセットプレーとはどのレベルなのだろうか。マルシオ・リシャルデスやら中村俊輔のような突出したプレースキッカーはさておき、何か指標はないものか。

 2009年まで行っていた経年比較は、カテゴリの違う2010年にはあまり意味をなさない。そこで今回は、湘南と他のJ1チームを比較してみる。ただし、私は公式記録の「得点経過」を見てカウントしているので、これをWebサイトにアップしている数チームだけが対象である。2010年の仙台・山形・川崎、2009年の山形・柏・川崎、以上の延べ6チームである。これに2010年の湘南を加えた7チームを比較する(リーグ戦のみ)。

●攻撃
 ではまず、セットプレイを起点にした得点を見る(私はPKは無視する)。

2010年湘南 CK2 FK3 合計5(0.15点/90分)
2010年仙台 CK4 FK6 合計10(0.29点/90分)
2010年山形 CK2 FK6 合計8(0.24点/90分)
2010年川崎 CK2 FK6 合計8(0.24点/90分)
2009年山形 CK3 FK4 合計7(0.21点/90分)
2009年木白 CK6 FK4 合計10(0.29点/90分)
2009年川崎 CK5 FK6 合計11(0.32点/90分)

 もちろん私は湘南の数値の小ささにガッカリしているが、それは試合を見ていればわかっていたこと。それよりも、仙台の梁勇基、川崎の中村憲剛、2009年柏のポポ(やフランサ)、といったキッカーをもってしてこの数値であることから、マルシオ・リシャルデスの直接FKだけで7得点というのがいかに驚異的かがわかる。
 次に見るのは、セットプレーからの得点率。「純粋FK」は「直接FK+間接FKーオフサイド奪取数」を分母とした得点率を表す。

2010年湘南 CK1.56% 純粋FK0.64%
2010年仙台 CK2.42% 純粋FK1.41%
2010年山形 CK1.36% 純粋FK1.27%
2010年川崎 CK0.91% 純粋FK1.27%
2009年山形 CK2.56% 純粋FK0.88%
2009年木白 CK3.70% 純粋FK0.73%
2009年川崎 CK2.53% 純粋FK1.17%

 成功率の面で見ても、2010年湘南の低さが目立つ。これはツラい。「セットプレーの機会が少なかったからねえ」という言い訳も使えない。
 ところで、2010年川崎のCKからの得点率、低すぎじゃね? もしかすると私のカウント漏れかもしれないが、川崎の中の人のミスかもしれん(何か所か、川崎のサイトとJリーグのサイトで食い違っていた)。
 参考までに1試合当たりのCKやFKの数を挙げてみる。

2010年湘南 CK3.76 純粋FK13.76
2010年仙台 CK4.85 純粋FK12.56
2010年山形 CK4.32 純粋FK13.91
2010年川崎 CK6.44 純粋FK13.85
2009年山形 CK3.44 純粋FK13.36
2009年木白 CK4.76 純粋FK16.12
2009年川崎 CK5.82 純粋FK15.04

 湘南のコーナーキックの少なさを見てまたへこむ。そして、それを下回る2009年の山形は、これで残留したんだから凄いね。改めて。

●守備
 気を取り直して、セットプレー守備について、同様に見てみる。
 まず、セットプレイを起点にした失点(私はPKは無視する)。

2010年湘南 CK3 FK6 合計9(0.26点/90分)
2010年仙台 CK4 FK2 合計6(0.18点/90分)
2010年山形 CK4 FK7 合計11(0.32点/90分)
2010年川崎 CK4 FK2 合計6(0.18点/90分)
2009年山形 CK0 FK5 合計5(0.15点/90分)
2009年木白 CK7 FK7 合計14(0.41点/90分)
2009年川崎 CK3 FK4 合計7(0.21点/90分)

 案外チーム成績との関連が薄いような気がする。2010年の山形なんて降格してもおかしくないような数値だが、これは「流れの中」でよっぽど頑張ったということだろう。
 次に、プレースキックからの失点率。「純粋FK」は、相手チームの「直接FK+間接FKーオフサイド奪取数」を分母とした失点率を指す。

2010年湘南 CK1.29% 純粋FK1.26%
2010年仙台 CK2.03% 純粋FK0.43%
2010年山形 CK2.05% 純粋FK1.53%
2010年川崎 CK2.31% 純粋FK0.40%
2009年山形 CK0.00% 純粋FK1.26%
2009年木白 CK4.32% 純粋FK1.41%
2009年川崎 CK2.05% 純粋FK0.88%

 意外と湘南は頑張っていた。コーナーキックの守備は、2009年の1.94%よりも改善している。ジャーンの出場時間がほぼ半減したことを考えると、不思議な気がする。
 1試合当たりの被CKや被FKの数を挙げてみる。

2010年湘南 被CK6.82 被純粋FK13.97
2010年仙台 被CK5.79 被純粋FK13.77
2010年山形 被CK5.74 被純粋FK13.50
2010年川崎 被CK5.09 被純粋FK14.88
2009年山形 被CK5.62 被純粋FK11.68
2009年木白 被CK4.76 被純粋FK14.61
2009年川崎 被CK4.29 被純粋FK13.45

 湘南はこれだけ雨霰のようにCKを蹴られていながら、それを、あまり失点に繋げていないということになる。「コーナーキック慣れ」っていうことなのだろうか?
 もしかすると、昨年までの記事では着目してこなかったデータに注目すべきなのかもしれない。それは湘南が相手チームに与えたコーナーキックの数だ。その推移を見ると、

2005年 1試合当たり5.84(5.26)
2006年 1試合当たり4.44(4.88)
2007年 1試合当たり4.96(4.85)
2008年 1試合当たり5.05(4.76)
2009年 1試合当たり6.06(5.02)
2010年 1試合当たり6.82(5.09)

である。カッコ内はリーグ平均だ。反町が監督に就任した2009年以降、相手に与えるCKが増えたと言ってよいだろう。
 もちろん、2010年は攻め込まれた結果として相手に多くのCKを与えたのだと解釈しうる。しかし、J2からの昇格を果たした2009年については同列には論じにくい。常識的に考えると、勝利を重ねたチームが多くのCKを相手に与えたというのは不自然だ。まして反町は「余計なファウルを減らして相手にFKを与えない」ことを目標にしていたのだから。
 となると、考えられる仮説が見えてくる。反町は、相手チームにCKを与えることにさほど頓着しない。少なくとも、「流れの中で失点するぐらいならコーナーに逃げろ」という姿勢なのだろう。その前提として「CKはある程度守れる」という自信? 確信? 信念? …があるのではないか。実際に2009年の山形は1試合平均5.72(リーグ平均は4.66)という、少なくない相手CKを浴びながら無失点に抑えているわけだし。

※2010年11月頃にJリーグのコーナーキックを取り上げた記事をネット上で見た。その記事では掲載した数値の定義を明示していなかったのだが、コーナーキックを蹴って味方がそのボールに触れれば「成功」ということにしていたみたいだ(ショートコーナーの本数を除いたりしていたし)。それゆえ50%とか60%とかいう数値が飛び交っていたわけだが、私とは立場が異なる。私は、ゴールに結びついたものだけをカウントしている。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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