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2011年8月12日 (金)

反町がフィル・ジャクソンに見える

 熊本には辛勝とはいえ勝ち、大分には2点のビハインドを追いついた。ホーム2連戦で勝点4という結果は、悪くはない。とはいえ、スッキリしない内容だったのは確かだ。リアリストとして定評のある反町監督であるが、今のところリアリズムに徹していない。それが原因であろう。

 ロアッソ熊本の高木琢也監督には「あそこまで下がってくるとは思っていなくて」と言われ、大分の田坂和昭監督には「守備のオーガナイズは前回(2週間前の対戦時)よりも低い位置にブロックをつく」っていたと評された。
 彼らが間違っているというわけではないが、しかしどうもピンとこない。相対的に「引いて守っている」のは事実だが、それは微調整の範疇としか思えない。
 反町が本当に引いて守ろうとするのなら、あんなもんじゃないだろう。ガッツリ引いてゴール前に人数をかける一方で、守備の負担を軽減したキーマンを前線に置いて得点を狙うだろう。少なくとも2009年はそうだった。
 今の湘南は、全員守備・全員攻撃を、建前ではなくリアルに志向している。そして高い位置でのプレッシングを意図しているが、その「高さ」をどの程度にするかは、常に調整されるものだ。

 勝点にこだわるならば2009年のようなやり方に移行すべきという考え方もあるが、そういう気配はない。反町が理想を追っているという面もあるが、そうせざるを得ないという面もある。
 今季の反町は昇格のみならず、J1残留を視野に入れたチーム作りを課題にしている。引いて守るやり方では通用しなかった、という認識がそのスタート点にある。引いたからって守り切れないし、低い位置でボールを奪ってもなかなかチャンスを作れない。そのため、高い位置でのプレッシングを根づかせようとしている。
 選手編成上も、その目標を追求せざるを得なくなっている。引いて守ろうにも、相手のクロスボールに対して無類の強さを誇ったジャーンはチームを去っている。高卒1年目の遠藤航を当てにしたDFラインはしかし機動力を増しており、ラインを上げさせることには向いている。

 そんなわけで反町は理想を捨てていない。昇格圏からの勝点差を考えれば現実主義へ転換するのかと思っていたが、微調整しながらも基本方針は変えていない。もっといえば、反町は辛抱強くチームを育てようとしている。
 熊本戦では、相手の長身FWや長身ブラジル人が右SBの小さな臼井幸平を狙い撃ちしてきた。1点のリードを守り切るために、臼井を松尾直人に替えるといういう選択肢もあったが、臼井と大井健太郎がポジションチェンジをするなど選手達が工夫しながら対処していたという理由で、臼井を最後までピッチに残した。
 また、後半は熊本にはポゼッションされ続けて満足なカウンターも繰り出せずにいた。ベンチにはアジエルも田原豊もいたのに投入せず、選手交代は終了間際にFW高山薫を松浦勇武に替えただけだ。
 大分戦でも、2点のビハインドを負った前半の酷い出来からすれば選手交代も十分ありえた(反町はよくやる)が、フォーメーションの変更で打開を図った。
 高湿度な環境での真夏のゲームであるにもかかわらず交代枠を余らせていることも含め、勝点にこだわる立場からはまだるっこしく感じる面もあるだろう。試合内容がスッキリしないのも確かだ。しかしこれは、現状よりもチーム力を上げるための辛抱なのだろう。

 このような反町の振舞いは、NBAの名将フィル・ジャクソンを連想させる。キャリア晩年のジャクソンは、明らかにゲームの流れが悪いのにもかかわらず一向にタイムアウトを取らず、選手達が自律的に立て直すことを求めていた。それに似ているのだ。
 もっとも、レイカーズにはゲームの流れが悪くても得点を稼いで「ゲームを繋ぐことができる」コービー・ブライアントがいたからあれが可能だったんであって、湘南のレベルで同じことをするのはかなりの冒険なのだが。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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