bjリーグの新チームを生温かく見守ります
エクスパンションで生まれた新チームにしては準備が出来ていた。昨季王者に対して延長戦にまで持ち込む接戦を演じた。いろいろと感心する部分があったので、今後もチェックしていこうと思う。しかし、積極的にブースト(?)したりはしない。
(2011年10日8日 横浜ビー・コルセアーズ62―63浜松・東三河フェニックス 横浜文化体育館)
プレシーズンマッチの1つも行わずぶっつけ本番でシーズンに突入した横浜だが、思ったよりも戦えた。
ロスターを見ると、当然ながら215cmのチェイス・マックファーランド(#1)が軸になるのかと予想される。実際に試合開始直後は彼をポストアップさせる意図が伺えたが、あまりうまく機能しない。どうも彼は敵選手を背負ったプレーが不得手なように見える。少なくともこの日のマッチアップの相手では。
で、横浜はマーカス・シモンズ(#10)のペネトレイトを多用した。200cmと、ガードにしてはサイズのある23歳は瞬間的なクイックネスで目を引いた。この日のコート上の誰よりも速かった。彼自身のシュートにはやや難があるのだが、彼のドライブで相手守備のバランスを崩せていたので、マックファーランドも蘇ったし、いい感じで3ポイントシュートに繋がっていた。
ちなみに、登録が間に合わずこの日の出場ができなかったジーオー・シェイ(#19)も試合前の練習では鋭い動きを見せていたので、シモンズと2ガードで出場するようであれば速さという面では楽しいかもしれない。
浜松・東三河は、13シーズンにわたって監督を務めた中村和雄御大が退任した最初のゲームであるし、チーム編成に苦労している様子も伺える。ロスターは10人だけであるし(最大で15人)、外国人選手も3人しかいない(仮契約した1人の選手と本契約できなかったとか)。
王者らしからぬゲーム展開になった理由は、シュート成功率の低さだ。2Pでさえ35.6%、3Pに至っては4/24で16.7%だ。横浜だって大して高くないのだが、それを下回った。DFに関しても、シモンズのペネトレイトに手を焼き、後半はゾーンディフェンスを試しもしたがさほど奏功しなかった。それと、ジェームス・ピータース(#4)がマッチアップする相手を中途半端に離すのも気になった。横浜の青木勇人(#33)あたりが絶妙な位置取りでシュートを放っていたのだが、それというのもピータースのマークの緩さが原因だ。オフェンスが得意だというのはわかるが、ちょっといただけない。
最後は地力を見せて勝ち切ったのだが、横浜のシモンズが疲れていたことに助けられた感は否めない。不本意なゲームだっただろう。
初めてのホームゲームで熱戦を演じた横浜は、なかなか好感を持てる感じだった。コート外についても、パフォーマンスチームが思いのほか準備万端でちょっと驚いた。ダンスパフォーマンス(チアガールとは別物?)の水準も結構高いと思った。横浜銀蠅かなんかの曲で踊るのとか、客もノリやすそうだ。
選手紹介で神奈川県出身の選手を強調したり、横浜市との協調体制をアピールできているし、「地元のチーム」としての存在感を出すことに成功している。
にもかかわらず私はこのチームにのめり込もうと思えない。どうも運営会社に危うさを感じてしまうからだ。
「コルセアーズ(海賊)」というチーム名を選ぶ社会性のなさは「大丈夫か? この人たち」と思ってしまう。本場アメリカでさえ「ワシントン・ブレッツ(弾丸)」というチーム名が、銃犯罪への批判を鑑みて「ワシントン・ウィザーズ(魔法使い)」に改称されているのだ。新しく生まれたチームの名前に、わざわざ海賊なんていう犯罪行為を冠するとは、その神経を疑う。ソマリア沖やマラッカ海峡をはじめとして、現在でも深刻な問題だというのに。
水軍の歴史をもつ瀬戸内海やら熊野、志摩とかであれば話はわからないでもないが、ここは横浜だ。国際貿易を中心にして発展してきたのであって、海賊はむしろ敵だ。横浜市役所はなぜか協力的になってくれたようだが、日本郵船や商船三井や川崎汽船は絶対にスポンサーになってくれないだろう。
横浜にちなむのならば、船乗りとかパイロット(水先案内人)とか、ほかにも候補があるだろうに。
試合前の社長の挨拶も残念な感じだった。スピーチの骨子は、ここまでたどり着いたことへの謝辞、王者に胸を借りるので応援のお願い、といったところ。スケールが小さい。
新生チームの初戦の開始前というタイミングである。チームの歴史に残るタイミングである。多少の背伸びをしながら、将来に向けてのカッコイイ夢と希望と理念を宣言するチャンスだ。目の前の1試合のことよりも語るべきことがあるだろうに。それなのに、「将来の子供たちのため、それ以上に私たちの夢のため」と言ってしまうセンス。
私としては、このスピーチで認識を改めることを期待していた部分もあるのだが、そうはならなかった。
そんなわけで、チームには好感をもって、運営には懐疑的だ。運営にハラハラしながら応援するのは湘南だけで十分なので距離を保ちながら、今後もチームを見守っていこうと思う。東芝ブレイブサンダースと同じ程度に生温かく。
まあ私はサッカーとは違ってバスケには厳しいので(?)、特定のチームを応援するのはハードルが高いのだけど。
そのほかに感じたことをメモ。
・東京オリンピックにも使用されたという横浜文化体育館は、関内駅から徒歩数分で立地は最高。しかし昭和規格の椅子は古くて狭いのでツライ。
・十数年前に池内泰明の現役最後の姿を見たときには椅子に不満など感じなかったのだが、私が大きくなったのか贅沢になったのか。
・場内BGMは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」のテーマ曲とか、サザンオールスターズの「LOVE AFFAIR」とか、統一感があるのはよい。海賊問題を措くとすれば。
・bjリーグ旗、チーム旗、日章旗、横浜市章とともにJBA(日本バスケットボール協会)の旗もかかっていた。大変喜ばしい。横浜市章はなんか板みたいだったが、毎試合使うのだから旗作っちゃいなよ。
・パフォーマーの中にギターを持った人がいたのだが、敵フリースロー時にポロンポロンと不協和音を爪弾いていたのが受けた。新手の精神攻撃か。場内が盛り上がってブーイングの嵐になった後はやっていなかったけど。
・横浜ベイスターズから花輪が届いていた。マリノスや横浜FCのは見当たらなかった。
・横浜市長の林文子(ふみこ)は背番号「235」のユニフォームを着ていた。マリノスやFCは先を越された?
・チーム初戦へのセレモニーで祝電が披露されたが、ペプシの社長でずっこけた。だってスポンサーじゃん。身内みたいなもんじゃん。どうせなら麻生太郎(JBA会長)でも引っ張り出せばよかったのに。
・審判はフレグラント・ファウルを取るべきだと思う。あと、攻め手が相手を振り払うような動作をファウルにとって欲しい。それが国際試合の基準みたいだから(先日の五輪予選)。
・相変わらずこのリーグは時間にルーズだ。18:03試合開始と予告していたのに、試合前のタイマーがすでに18:05開始の時間を刻んでいる。しかも30秒を切ってから先発メンバーの紹介などを始めたのでさらに3分ぐらい遅れた。
・4Qが終わった時点で20:05だった。まるまる2時間かかっている。40分のゲームで2時間もかかるとうんざりする。放映権を買っているテレビ局からクレームはないのかね?
・今日の第2戦には行かなかったが、横浜が勝ったらしい。おめでとう!
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