« 失墜するベンゲルというブランド | トップページ | ドゥトラより久保裕也を見たかった »

2011年10月23日 (日)

田原豊のハットトリックを霞ませる反町の辛口

 「田原が点を取ったのは、多分一番前にいたからであって僕でも点を取れますよ」。ハットトリックを決めた自チームのFWに対するコメントとしてはなかなか辛口だ。ツンデレだの心理操作策だのというような込み入った意図ではなく、率直なものだろう。
(2011年10日22日 湘南ベルマーレ7―1FC岐阜 平塚競技場)

 岐阜がカミカゼサッカーを行った理由はわからない。今季2度目の対戦なので湘南のストロングポイントを知らなかったわけではないだろう。最下位に沈む現状にあって、自らの良さを前面に出そうとしたのだろうか。
 湘南は、ハングギョンと永木亮太の2ボランチが攻守にカギを握っているのだが、岐阜はこの2人を意識していなかったように見えた。彼ら2人を中心とした湘南のプレスにあっさりとボールロストし、DFラインの裏へとスルーパスを通されてピンチを招いた。1点目なんて、ボールを奪ったのはアジエルだ。スペースとランナーさえあればスルーパスを通すのはお手の物だ。岐阜のあのDFラインの高さは、中盤の攻防で対等に渡り合えることを前提にしていたのだと思う。そうでなければ田原豊と坂本紘司の2トップであればスピード面で抑えられると踏んだか。

 DFラインの裏側への飛び出しがバンバン決まることに加えて、岐阜の守備は2列目の飛び出しに対するケアが甘かった。田原の3ゴール中2ゴールはこの形で、坂本が前線でボールを持って後方から走り込んだ田原にラストパスを出したものだ。すっかりお膳立ての整ったシュートである。
 もちろん、決めるべきところを決めたのは評価されるべきだが、田原に求められるものはもっと多いということだ。このゲームであれば、あと2、3点は決められるチャンスがあった。田原自身がスルーパスに飛び出した場面などもキッチリ決めることが求められる。なにしろ「イブラヒモビッチのような」が田原への要求水準なのだから。
 ただし、反町のあのコメントは、田原がどうこうという以上に他のFWの選手に対するメッセージだろう。お膳立てを待つFWは要らない、という。田原の貢献度については反町自身がよくわかっているはずだ。巻佑樹が負傷した栃木戦から、「田原の季節」が始まったアウェイ富山戦の前までの14試合で得た勝点が11、田原が先発復帰してからの8試合で得た勝点は16である。

 岐阜の2ボランチが守備面で今一つだったことは確かだが、それ以上に誤算だったのは攻撃面での貢献度だろう。三田光も橋本卓も、展開力に持ち味のある選手のように見える。彼らが起点になって攻撃を組み立てるというのが岐阜のプランだったろうが、湘南のプレッシャーにさらされていた。そのために長所を出せず、逆に守備面での弱点を抉り出されたといえる。猟犬タイプの選手を1人置く方がバランス的にはよいと思うが、適任者がいないのだろう。
 それでも、3点リードした後の湘南が多少引き気味になったので、前半の終盤には長いパスが前線に蹴られていた。岐阜の前線は身体のある西川優大を軸にしてスピードのある阪本一仁との2トップだったので、このオーソドックスな方法は、それなりに緊張を強いられた。
 先週の栃木戦で、湘南は同じように前半で3点を奪いながら後半は無得点だったのだが、今回は違った。あまり引かずにプレッシャーをかけ続けようとしていた。後半に入ってネジを巻き直した湘南のプレスによって岐阜の中盤は再び圧迫され、湘南の追加点につながった。と同時に、岐阜にはカウンターのチャンスが多かった(点差の割に)。なかでも、後半から出てきて左SHに入った地主園秀美の突破は目立っていた。

 5点目を決めた田原が下がった後は「湘南の若者たちが自信をつける修行」が始まったわけだが、これがうまくいった。途中出場の菊池大介とルーカスがゴールを奪い、岩尾憲がプレースキックで2アシストである。
 そしてルーカスの涙のインタビュー。「湘南に来て初めてというだけでなく、プロになって初めてのゴール」に感涙する20歳の出稼ぎブラジル人の姿は「おしん世代」の中高年の瞳を潤ませ、反町のコメント以上に田原のハットトリックを霞ませた。帰宅して彼のインタビューを反芻して「ノーゴールのブラジル人FWを獲ってギャンブルをするほどに今の湘南は財政が苦しいのか…」と改めて涙ぐんだのは秘密だが。
 
【菊池大介のゴール曲】
 大分戦での今季初ゴールは2点のビハインドから追い上げる得点で夢中だったのだが、今回のゴールは余裕をもって堪能できた。で、菊池が得点した時に場内に流れる曲がSuperflyの「タマシイレボリューション」だと認識した。なんだこのベタベタすぎる選曲は! AKB48じゃないのかよ! 別に照れんでもエエやん。大塚愛の「さくらんぼ」を選んだ永里源気に続くレジェンドになれるよ!

« 失墜するベンゲルというブランド | トップページ | ドゥトラより久保裕也を見たかった »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 田原豊のハットトリックを霞ませる反町の辛口:

« 失墜するベンゲルというブランド | トップページ | ドゥトラより久保裕也を見たかった »

高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

姉妹ブログ


三鷹牛蔵twitter

無料ブログはココログ