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2012年3月31日 (土)

今さら2011全日本フィギュア観覧記

 3日間のうち初日と2日目に行ってきた。3日目を最後まで観ると翌月曜日の仕事に差し支えるという事情もあったけれど、男子シングルが目当てだったのでね。その関心が大会前に急降下していたこともあって感想も書かずに放置していたが、世界選手権のニュースに耳を塞いで、慌ててメモをアップする。
(2011年12月23~24日 第80回全日本フィギュアスケート選手権大会 なみはやドーム)

 世界選手権の出場枠「3」をめぐる有力4選手の争いが注目だった…のだが、ショーグンの負傷欠場によってその興味はだいぶ薄れた(当初比3割減)。もう、ショーグンってば。

 羽生結弦については、「一人前のスケーター」認定をする。エラそうですいません。競技会で彼の演技を見るのは(たぶん)初めてなので、自分の目で見るまでは判断保留だったのです。
 SPは4位と不本意な出来だったが、FPでは1位だった。「フリーで観客を魅了して一人前」という私の判定基準をクリアした。ショートでドカンと点を出すことは割と多くのスケーターが実現するが、フリーで決められるのは一握りのトップクラスだけで、そこのハードルは高いから。
 シチュエーション的にも、小塚→高橋に続く滑走順で、彼らを上回る演技をしたことの価値は絶大だ。点数のことを言っているのではなく、演技にパッションがこめられていたことを買っている。ペース配分を考慮していないかのような全力疾走で駆け抜けた(終盤には疲れが出てたか。最後のサルコウとか。まあ印象の話なので)のは私好みだ。

 高橋大輔にとっては難しい大会だったのだろう。無難に滑れば世界選手権には出られる状況だったのだし。
 その意味で、SPにクアドを入れてきたチャレンジを買う。まあ、そういうところでモチベーションを喚起する必要があったのだろうけど。

 さて、問題は小塚崇彦だ。もちろん自身も不本意だったろうが、見ているこっちとしても唸ってしまう。
 SPの「インナー・アージ」ではそれほど顕在化しないのだが、FPの「ファンタジア・フォー・ナウシカ」では顕著だ。振付師のつくったものをこなすのに精一杯という印象が残ってしまう。自身でプラスアルファを加えることが課題であり、高橋との間にある壁の正体なのかも。実際、ナウシカは「あとは自分でどうにかしなさい」というメッセージが込められているプログラムで、NHK杯で初見の際には「小塚、信頼されとるなあ」と思ったのだが、実際には修行という意味合いの方が濃いのだろう。
 人それぞれ個性、性格というものがあって、それを否定するようなことは言いたくない。だけど、小塚陣営はそこを変えていこうとしているようなので、それならばと遠慮なく言おうと思う。
 今季のプログラムも、ジワジワと良くなってはいると思う。確実にできることを積み増している。しかし確実性に重きを置きすぎて、能力の80%ぐらいで勝負しようとしているように見えてしまう。職人気質と好意的に見ることも可能なのだが、今の彼は「ロックスター」たらんとしているのだから、そう考えるともどかしい。あんまり後先のことを考えずにその場のノリでテンションを上げていくべきだと思うのだよね。もちろんリスクはあるが、ブレークスルーの可能性があるから(まだ見ていないけど世界選手権でどうにかして!)。

 そのほかのスケーターでは、全日本の名物男・佐々木彰生に触れておく。TL上に同じ声があったが、私も「全日本選手権でパンフレットを買ったらまず佐々木君の欄を見る」。東日本選手権などに行かない私としては、まず選曲をチェックしないといけないから。そして、曲名を見てもなんだかわからない。SP「日本舞曲第五番 指打鍵盤斬捨御免」って何? アニソンか何か?
 で、登場した佐々木は忍者の格好で、斬捨御免といってもカッコよく斬りまくるのではなく、佐々木は斬られっぱなし。テレビ放送では拾われていなかったが、会場ではクスクス笑いが渦巻いている。フィギュアスケートの競技会で笑ってよいのだろうかと観戦歴の浅い僕たちが戸惑う、独特の空気だった。
 FPは「paka mokuba 他」。文字面のインパクトはSPほどではないが、曲の印象度は互角か。ところどころに「モ~」と牛の鳴き声が入る。これはずるい(寄席的な意味で)。
 相変わらず客を楽しませる意識が濃厚で、大変好ましい。ただ、トリプルアクセルがひたすら転倒だったので、そこは残念。練習のときから、あんまり成功しそうな雰囲気はなかったのだけど、こだわっていた。そこに競技者の意地があったのかも。
 
 女子についてはショートプログラムしか見ていないので軽く触れるだけ。
 村上佳菜子は「勢い」があって良かった。大人っぽさを追求したくなる段階なのだけど、それも「勢い」を殺さないようにバランスを取るのが肝心なんだと思う。まあ匙加減は難しいだろうけど。
 浅田真央は、不幸の後で練習時間が足りなかったのだろうけど、不安定だった。ジャンプではなくスピンが。NHK杯のときは「ジャンプはまあアレでも、スピンは元世界女王らしいよ。うんうん」と自分に言い聞かせていたのだけど、今回はメロメロだった。帰宅後にテレビ放送を見たら、滑走直前に佐藤コーチが「スピンのレベルを落とさないように」と注意してるのね。ああ、やっぱり。
 庄司さんについては、期待する人の気持ちがわかる。あの辺りのレベルの選手たちの中では最も華があると思う。SPはなんだか修行モードというか養成ギブスっぽくて、ちょっと大げさに言えば初めて見たときのキーラ・コルピを彷彿とさせた(さいたまで見た団体戦)。インタビューで「滑られる」と言うあたりもオッサン的には評価ポイントだ(文法的には「滑れる」でもよいらしいが)。
 まあ、スケーティングスキルなんかは私にはよくわからないので、評価項目として上背のウエートが大きいのだと思う。全日本には出ていなかったが、高校生の大会に出ていたSFCの鈴木さんとかも同じように好印象だったし。

 あとは雑感。全日本選手権が岐路にあるということを述べる。
 全日本選手権の2日目は例年、長時間に及ぶタフな1日なのだが(観客や審判にとって)、さすがにもう限界を超えている。
 今回は2日目の会場に入ると、その直後から「終電は23時40分です」「臨時列車の運転などはありません」「地下鉄は大変混雑します」「時節柄(クリスマスイブ)タクシーはつかまりません」と繰り返し繰り返しアナウンスをしていた。要するに、終わったらすぐ帰れ、帰れなくても責任はとらないよ、というメッセージだ。
 競技の終了予定が22:20で、表彰式の終了予定が22:50である。地下鉄は10分間隔で、東京でいえば大江戸線のようなミニサイズの4両編成である。はっきりいえば観客全員が表彰式を最後まで見ると、乗り切れない。だからそうと明言はしないが「表彰式を見ないで帰ってくれ」ということだ。
 私はそのメッセージを受け止めて表彰式を見ずに帰った。甚だ不本意である。スケ連会長の晴れ姿(←そこか!)を見なかったので今回の全日本はなんだか「締め」がない感じだ。
 大阪でこの体たらくでは、他の地方都市では全日本選手権は開催できない。スケートが開催出来て、キャパシティがあって、観客を無事に帰せるという条件を考えると、東京一択になってしまう。

 考えられる第一の対応策は、男女シングルの出場選手を減らすということだろう。これからはペアやアイスダンスに力を入れるということなので、それらの出場選手は今まで以上に増えることになるだろう。ならばシングルの選手を減らすしかあるまい。実際、主な国々のナショナル大会に比べて現行の各30人というのは多い。24人ぐらいが標準的で、ロシアに至っては18人である。
 今まで全日本選手権は大学生スケーターの晴れ舞台、引退前の最終目標という面もあったと思うのだけど、そういう位置づけはしにくくなるだろう。その代わり、東日本選手権、西日本選手権の地位がアップすると思う。というか、追い風の吹いている今こそ、そうすべきだと思うのだよね。
 
【会場・座席について】
 今回は、初日はスタンドS席12列(5000円)、2日目はスタンドS席15列(7000円)の席だった。
 なみはやドームは、2階の高さの入口からそのまま進むとスタンド席の8列目と9列目の間の高さだ。スタンド席は布張りで温かい。しかし前後の間隔は標準的なレベルで、膝の前に荷物を置かれると通れない。真駒内はもっと余裕がある。
 12列目南側中央付近からリンクを見るとこんな感じ。

201112

 で、来年は札幌・真駒内だって? NHK杯のときに書いた会場レポートはこちらをご覧くださいませ。しかし12月下旬に札幌かあ。天気によっては地獄を見るぞ。というか帰京できない可能性もあるのか。うーむ。

201112_2

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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