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2012年4月28日 (土)

橋本晃司がキングになった日

 鈴木隆行を欠いた水戸がどうなるのかが注目点だった。昨年も同じように鈴木を欠いて平塚にやってきてメロメロだったのだが、今回は違った。
(2012年4日27日 湘南ベルマーレ1―2水戸ホーリーホック ShonanBMWスタジアム平塚)

 水戸は基本的に鈴木隆行を1トップに置いた4-2-3-1である。名古屋からレンタルでやってきて10番を背負う橋本晃司は「3」の中央で使われていた。他サポ視点で印象を語ると、鈴木隆行(じいや)が最前線で身体を張ってキープしたボールを受けて前を向く「プリンス」という感じだ。両SHの「ご学友」を操ってゴールに迫る、と。
 この日の水戸は、柱谷は、メンバー構成を大きく変えず、鈴木隆行の代わりに180cmの鈴木雄斗(マリノスユース出のルーキー)を起用してきた。したがって、各選手の役割はそのままで両鈴木のクオリティの差がどのくらいかが焦点になるのかと思っていた。
 そんな私の予想は外れた。まず試合開始早々、橋本は高い位置取りをして2トップを形作っていた。これには湘南の選手たちも戸惑っていたように思う。誰が橋本を見るのか、橋本が空けたスペースを誰がケアするのか。前半6分での失点にはそれが影響していたと思う。ボランチのロメロフランクがクロスに飛び込んできたのだが、少しケアが遅れた(問題は市川にほぼフリーでクロスを上げさせたことだろうけど)。

 その後の時間帯を見ていると、橋本は王様になっていた。ピッチ中央で動かずにいる「王様プレー」ということではなく、チームメイトが彼を認めて頼りにしていたということだ。攻め上がる際には彼にボールを預けようという意識が濃厚であったし、前線にハイボールを放り込もうという時も、彼がターゲットになっていた。
 どこまでベンチの意図なのかはわからない。サイズからいってもターゲット役を担うだろうと思われた鈴木雄斗は手持ち無沙汰な風情で、せめてとばかり守備に走り回るシーンが目立った。後半になって橋本がポジションを下げたのは、ポゼッションに関与すべしというベンチの修正なのか、彼自身の疲労によるものなのか、よくわからない。

 前節の草津戦でも、鈴木隆行が退場した後に橋本は前後左右に動き回って攻撃をけん引していた。「よくもじいやを!審判め!ウキーッ」と発奮したというのは冗談としても、人数が減ってスペースがあったからだと解釈していたのだが、こうして湘南戦も踏まえてみると大黒柱としての自覚なのかもしれない。
 実際のところ、橋本はかなりの存在感があった。J1クラブからJ2へ武者修行に来た歴代の選手たちの中でも際立っていると思う。たとえば高萩洋次郎と比べても、より骨太な印象だ。水戸の選手構成を考えると、橋本はこのままキングへの道を歩くことも可能だろう。鈴木隆行に頼り切りだった水戸の戦術に厚みを加えるという意味では、他チームにとって脅威であろう。

 さて、試合内容について。湘南が今季初黒星を喫したわけだが、どちらに転んでもおかしくなかったゲームではある。というより、湘南が主体的に攻勢を示していたゲームである。決めきれずにいるうちに水戸がチャンスをモノにした、という意味ではよくあることである。
 しかし実は私にはよくわからない。
 湘南が「そこまで強くはないだろう」と言われるのと同じように、水戸の堅守というのも「そこまで堅いか?」と感じた。あんだけ馬場賢治や古橋達弥に楔のパスが入って、彼らがそのまま前を向けたのだから、その点でルーズだったように思うわけだ。
 もちろん、そこからシュートに持ち込むことに難渋していた。そこは水戸のDF陣が集中していたともいえるし、なにがしかのメカニズムがあるのかもしれないが、実感としてはよくわからない。あの最後の線を突破するのは、どんなチームにだって難しいのだし。

 この試合で湘南にとってキーになったのは、菊池大介の交代時期だったかもしれない。悪い意味で。
 古橋、馬場と前線で相手ボールを追ったときに菊池が引いた位置取りをしていて出遅れた。その綻びを突かれてシュートまで持ち込まれた。その際には事なきを得たのだが、ベンチは慌てて交代選手を呼び、馬場は菊池に教育的指導をしていた。
 その直後のことだ。左サイドで高山薫が市川を抜き去ってゴールラインと平行にクロスを入れ、馬場と古橋がそこに絡んで行ったシーン。菊池大介はペナルティエリアにいなかった(はず)。いれば得点できた、とまでは思わないが、あそこで詰めないのは最近の湘南の志向からすれば怠慢と言われてもおかしくない。
 したがって、菊池から坂本紘司への交代のタイミングは1テンポ遅かったと、ベンチは考えているのではないかと推測する。

※後記:橋本は完全移籍なんですね。年齢的にも修行、って歳でもない。そうか、背水の陣なんだ。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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