« 永井・大久保・田原。魅惑の3トップがやってきた! | トップページ | 橋本晃司がキングになった日 »

2012年4月19日 (木)

アイシンがトヨタを撃破する痛快さ

 第3ピリオド残り5分45秒の時点で19点差というところから、大逆転である。アイシンがリードを奪っていた時間は最後の1分30秒間だけである。なかなか痛快なゲームで、現地は盛り上がった盛り上がった。
(2012年4日18日 JBLファイナル第1戦 アイシンシーホース73―70トヨタ自動車アルバルク 国立代々木競技場第2体育館)

 1月のオールジャパン決勝を見た記憶から、アイシンの控え外国人アンソニー・リチャードソンを楽しみにしていた。荒削りだけど爆発力のある選手であるし、対トヨタということでいえば相性がよさそうだったから。
 そのリチャードソンが3P途中でリバウンドを拾ってダンクを叩き込むまで、アイシンはさっぱりな試合をしていた。だからダンクで場内を盛り上げても、焼け石に水という雰囲気だった。現にその後で19点差にまで点差が開いた。
 でも実際にはあのダンクはターニングポイントだった。リチャードソンが気分を良くしたことに意味があった。明らかに彼はノッた。チームも彼の能力を生かそうとしたのだろう。彼がボールを持って1対1を仕掛けるように、味方選手はアイソレーション気味に散開していた。1対1からそのままゴールに向かってもよいし、外で待ち受ける味方にパスを出して3ポイントを撃たせてもよい。
 後半だけを見ると、リチャードソンはFG6/9、FT5/6で17得点。さらに8リバウンド、3アシスト、2ブロックショットと、いずれも全選手中最高のスタッツを残した。スタッツだけでなく、1人だけ好きなプレーをさせてもらい、誰よりも楽しそうだった。

 そんなリチャードソンであるが、先発ではなくベンチスタートにする理由も薄々わかった。126kgのケビン・ヤングを先発させてインサイドをがっちり固めたいということ、爆発力のあるリチャードソンを6thマンにして彼とヤング2人の特長を生かしたいということ、何よりも序盤はゲームを落ち着かせたいということだろう。
 リチャードソンは能力があるが、しかしムラっ気もありそうだ。バスケIQにやや疑問があり、プレーの選択も自分本位に見える。だからゲームの流れを作る序盤には使いにくそうだ。
 その反面、硬直したゲームを動かしたいとき、イケイケドンドンで得点を増やしたいとき、劣勢から追い上げたいときには滅法頼りになる。

 そういう意味で、この日のアイシンのゲーム運びは不本意なのでは?
 少なくともトヨタを相手にしてイケイケな撃ち合い、殴り合いをするのは避けたかったはず。何しろ金満トヨタはタレント揃いだ。アイシンが柏木真介と桜木ジェイアールを30分以上使っているのに対して、トヨタは10人の選手が10~30分のプレータイムを分け合っている。インサイド陣も4人で18ものファウルを犯すことができている(もちろん少ないに越したことはないけれど)。
 ロースコアのじっくりしたセットオフェンスの繰返しを望んでいると推測する。少なくとも前半から撃ち合いやトランジションゲームをしたくはないはず。

 内容的な不本意さはゲーム内容に表れていて、リチャードソンの爆発がなければ勝機はほぼなかった。それを毎試合期待するというのはギャンブルじみている。
 アイシンは、2対2をベースに攻めるのはよいとしても、ウィークサイドの選手に動きが少ない。ローポストで桜木がボールを持っても「合わせ」の動きが少ない。昨季までだと裏に竹内公輔が飛び込んだりしていたものだが、そうした動きはない。
 トヨタはスクリーンをうまく使ってギャップを作っていたのだが、これはアイシンの守備にも問題があるように思える。また、ゲーム序盤にはトヨタが単純なパス&ランからシュートを決めていたが、これも守備の問題だろう(後半には対応していたのか?)。

 トヨタに関していえば、感心したのは伊藤大司と岡田優介のハードなディフェンスだ。日本代表の主力選手を差し置いて出場しているのは伊達ではない。これは代表チームの問題なのかもしれないが。
 総じていうと、かつてのイメージとは正反対で、「個人能力を前面に出すアイシン」と「チームプレーのトヨタ」と見えた。
 そんなわけで明日以降もやはりトヨタが優位なのかなと思う。

 アイシンはリチャードソンの爆発だけに頼るのでは心もとないのだけど、しかし彼の爆発は意外性に満ちていたし、痛快であった。チーム力に勝る相手を混乱に陥れたというバスケ的な観点はもちろんのこと、天下のトヨタ様を相手にして部品メーカーのチームが勝つという「アンチ“系列”」な観点、あるいは下請けな立場同士の親近感からも。
 そんな痛快な試合であったのに空席が多かった。水曜日だからではあるが、なんとももったいない。第2戦は明日、ではなく今日19日の19時。迷っているなら行くべきだ。

20120418_3

« 永井・大久保・田原。魅惑の3トップがやってきた! | トップページ | 橋本晃司がキングになった日 »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: アイシンがトヨタを撃破する痛快さ:

« 永井・大久保・田原。魅惑の3トップがやってきた! | トップページ | 橋本晃司がキングになった日 »

高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

姉妹ブログ


三鷹牛蔵twitter

無料ブログはココログ