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2012年5月17日 (木)

湘南も大分も問題を抱えつつドロー

 コンディションに難のあった湘南と、キーマン2人を欠いた大分。双方が不安材料を抱えてゲームに臨み、光明を見出しつつも結果はドローだった。
(2012年5日13日 湘南ベルマーレ1―1大分トリニータ ShonanBMWスタジアム平塚)

 大分に関しては話は簡単だ。3-4-2-1のキーマンである両WBのレギュラー選手を欠いていた。三平和司も石神直哉も湘南からのレンタル選手であり、契約上この日の出場はなかった(石神は前節に4枚目のイエローカードで出場停止だが、「もらいにいった」感がアリアリだった)。
 右WBは藤川祐司、左WBは夛田凌輔が先発した。藤川は大勝した前節の慣らし運転7分間が今季初出場であり、夛田に至っては高卒2年目でプロ初出場の19歳だ。大分ベンチとしては、この2人に90分フル出場は期待しにくかったはず。
 両WBがそんな感じなら4バックにしてくる可能性もあるのかなと予想していたのだが、布陣の変更はそこではなかった。「あえてこの試合のために、いままでダブルボランチだったが1アンカー、2トップ2シャドーに変えた」(田坂監督談)。数字で表すなら3-1-4-2、あるいはWBの位置を低く見て3-3-2-2といったものだった。

 湘南の不調もあって先制したものの追加点が奪えず、そうこうするうちに追いつかれた。両WBは予定通り(?)途中交代し、最前線のドリブラー西弘則から快足系(だよね?)の木島悠へと交代させると、カード切れになった。同点の状態で、攻撃に迫力を与えるためには高松大樹を投入したかっただろうが。
 そんな風に考えると、アウェイでもあるし、ドローは上出来と考えられるだろう。3バックのときはWBはゲームを左右するポジションである。代役の2人は難しい役割をそれでも無難にこなしたので、前向きにとらえてよいと思う。個人的には、1998年の岩元・公文のWBコンビに地団太を踏んだことを思い出す(彼らは悪い選手ではないがWBとしては物足りなかった)。
 
 湘南に関しては、たぶんコンディションが問題だったのだろう。とりわけ馬場賢治の。倒されてピッチの外に出たシーンで明らかになったように、肩か腕かにトラブルを抱えていたのだと思う。ファウルされたからではなく、たぶん初めから。根拠はプレースキックを菊池大介に蹴らせていたこと。この日の先発メンバーであれば馬場が蹴るのが本来の姿だろう。
 もう一つ。1か月ぶりに3トップの一角で先発起用された大槻周平に託されたであろうタスクも、馬場への負担軽減を意図したものだと思われる。今季の湘南は馬場が0トップとしてボールを収めることを戦術の柱にしてきたが、馬場のボディコンタクトを避けるためか、大槻に代役を求めていたように見えた。そしてその意識が強すぎたと思う。
 だから、「大槻そこに入って」と言わんばかりの「お願いパス」がスペースめがけて蹴られて、大槻が慌ててそこに向かうシーンが見られたのだと思う。逆に大槻が相手DFラインの裏を狙って走り出しても、まるで見向きもされていなかったし。

 54分に馬場と右WBの古林将太を下げて、古橋達弥と中村祐也を投入した途端にチームが活性化した。
 正直言ってその理由はよくわからない。ただ、足枷が取れたような、閉塞感がなくなったような印象を受けた。「大槻代役システム」への固執がなくなって自由に振る舞いだしたようなイメージだ。馬場を先発させて60分使わなかったのはこれが初めてなので、ベンチにとっても我慢の限界だったのだろう。
 また、このタイミングで古林を下げて大槻を残したことも注目される。大槻を右サイドに回したことについて監督会見ではあれこれ述べられているが、実際にはコンディションの問題だと睨んでいる。フレッシュな大槻を50分そこそこで下げるよりは、疲弊しているWBを下げたということなんだと思う。

 湘南にとっては、馬場不在の状態で攻勢を作り出せたのは明るい材料だと思う。それは中村祐也の復調が大きい。まだ万全ではないようだが、それでも馬場の代役をこなせるのは中村しかいないと思っているので、そこは前向きに評価したい。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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