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2012年7月25日 (水)

下村東美がフィットしたのは山形のおかげ

 湘南に移籍してから最もよいプレーを見せた下村東美だが、対戦相手の山形がお膳立てをしてくれたように見える。
(2012年7日22日 湘南ベルマーレ0―0モンテディオ山形 ShonanBMWスタジアム平塚)

 前回先発した水戸戦でイマイチだった下村だが、そのときの問題点を解消していた。
 水戸戦では、たとえば相手のゴールキックの際に相手のターゲットマン近傍にいて、そのままDFラインに吸収されるような位置取りが目についた。その結果、バイタルエリアが手透きになったしセカンドボールを相手に拾われることが増えていた。
 今回は、ポジショニングを改め、高めの位置取りを心掛けていたように見える。山形のトップ下・秋葉勝の周囲でうまくボールを奪えていたし、ハイボールをめぐる競り合いも優位に進めた。攻撃時には前線への飛び出しも見せたし、もちろんセカンドボールにも頻繁に絡んだ。DFラインの前でのパス交換もスムーズで、前線やサイドへのパス出しにも持ち味を出していた。

 文句なしの出来のよさだったのだが、山形との相性も見逃せない。試合後にコメントしていたように昨年まで在籍していたチームが相手で、選手たちの特徴を把握していたという事情もあるだろう。それ以上に、山形の布陣が下村にとって具合がよかった。
 山形が184cmのFW萬代宏樹を起用してきたらどうなったろう? と思う。水戸戦の下村は鈴木隆行を気にして下がっていったのだし、同じようになったかもしれない。湘南から見るとベンチに控える萬代は脅威なのだが、山形は相手の嫌がることをするよりも、自らの事情での用兵に終始していた。

 山形は開幕から4-1-2-3を採用していた。それが前節から中盤を菱形にした4-4-2になっている。最前線から萬代を外して2トップは山崎雅人と中島裕希になっている。トップ下の秋葉も含めサイズはあまりなく、対湘南のセオリーには反していた。下村の高さも生きた。
 さらに山形はハーフタイムに布陣を変えてきた。中盤右の船山祐二を廣瀬智靖に替えて、さらにフォーメーションも中盤フラットの4-4-2に変更した。これは湘南の左WB高山薫への対応だろう。高山は前半だけで5本のシュートを撃っていたし。
 そのうえ山形は不動の左SB石川竜也を欠いていて、代役の山田拓巳を90分使うというのは考えにくかっただろう。残る交代枠は1つで、後半から左SHに回った秋葉勝のところに使った。山形の2トップはそれなりにチャンスを演出していたので替えにくかっただろうし、蒸し暑い中で中盤の運動量を重視するのもわかる。
 もろもろの事情を察するに、萬代が起用されなかったことが失策だとは思わない。けれど、攻撃的な選手起用でなかったのは確かだ。湘南の嫌がることはしてこなかった。

 ゲーム全般を振り返って、山形には迫力がなかった。1か月前のアウェイゲームでは、テレビ観戦ながら、もっと押し込んでくる圧力を感じた。もちろん山形にとってカウンターはお手の物だから、うまいことシュートチャンスを作っていた。
 しかし、前回対戦で山形から感じた威圧感は、今回は湘南のものだった。湘南にとっては、それがめざすスタイルだから内容面では及第点を与えられるゲームだったと思う。
 湘南が成長したのか、山形が調子を落としているのか。試合の2日後に山形が柏から林陵平をレンタルしてきたということは、萬代が信頼を失っているということなのだろうか。そうすると湘南にとっては日程面でのラッキーがあったということになる。
 下村の真価が問われるのは、大久保・田原・カイオを擁する横浜FCとの対戦なのだろう。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
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