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2012年9月16日 (日)

キリノのヘッド2発と小林竜樹の生きる道

 シーズン終盤になると調子を上げてくるザスパ草津が相手ということで、昇格を目指す湘南にとって試金石になるかと思われた。ところが、拍子抜けするほどの完勝だった。
(2012年9日14日 湘南ベルマーレ2―0ザスパ草津 ShonanBMWスタジアム平塚)

 負傷、出場停止を苦にしない選手層は草津にはないだろう。中村英之が出場停止、御厨貴文と小柳達司が欠場と、レギュラー格のDF3人を欠いて、それがダイレクトに響いた。
 草津の布陣は4-1-3-2だったのだろうか? 4バックは右から星野悟、乾大知、有薗真吾、永田拓也。アンカーに松下裕樹、2列目は右から林勇介、熊林親吾、櫻田和樹。2トップは金成勇と小林竜樹。
 松下、熊林、櫻田の3人を同時起用するということで3ボランチなのかと思ったら、櫻田は左SHの位置だった。ヤスのレポートによればこれは湘南右WB古林に対応するためだったらしい。さらに、熊林がえらい高い位置をとり、松下はCB2人と三角形を作ることに気を配っていた。湘南の3トップに対応しながら、2ボランチの永木亮太・下村東美にプレッシャーをかけようとしたのだろう。

 草津としては失点しないことが最優先だったのだろうが、16分にあっさり先制を許してしまう。カウンターから攻め上がった高山薫がカットインして蹴ったクロス、ファーサイドへのシュートなのかもしれない早いボールに対してキリノが頭で合わせた。
 キリノのヘディング自体は高難度のプレーだったが、しかし彼はフリーになっていた。草津DF陣に対する不安が的中した場面だった。確かに高山の外側を永木が駆け上がっていたけれど、草津の選手の人数は揃っていたわけで、乾がキリノから離れる理由はなかった。
 その後も湘南は乾の周りを使っていた。一番特徴的だったのは、草津2CBの間に古橋達弥が走り込んだ場面で、結果的には事なきを得たのだが、ペナルティエリアの中で随分リスキーな倒し方をしていた。乾は前から飛んでくるハイボールには強さを発揮してキリノとの競り合いに完勝していたが、連携面での課題を露呈していた。
 湘南の「乾狙い」が意図的だったのかは不明だが、左寄りだったのはプラン通りだろう。右サイドの古林将太を封じられて左に偏ったというより、右は慎重に臨んだということだ。草津にとっては左SB永田のオーバーラップが武器なので、そこはケアしていた。永田とコバショーのマッチアップは草津サポも楽しんでくれたと思うが、最後は2人の交錯からコバショーが退場してしまい残念でしたな。

 湘南が先制したことで、ゲームは半ば決まってしまった。幾度となく湘南のカウンターが炸裂して2点目も時間の問題と思われた。
 実際にはゴールポストに2回当てるなどの難産で、71分まで2点目が入らなかった。2点目もキリノのヘッド。カウンター崩れのような場面でセカンドチャンスに下村のクロスを1点目の鏡像のように決めた。
 今季の湘南はクロスからの攻撃が効率性を欠いていたのだけど、ここに来てストロングヘッダーの登場は心強い。しっかり崩し切らなくてもゴールの雰囲気を作り出せるというのは大きい。セットプレーの復調と併せて、終盤戦に向けての好材料だ。

 草津の攻撃は終始ロングボールが中心だった。当初は金成勇めがけてハイボールを蹴っていたが効果的ではなく、次第に小林竜樹をスペースに走らせるやり方に変えていった。
 小林の運動量とスピードは相手に神経を遣わせるもので、いやらしい。湘南時代はその能力を発揮する場面は劣勢時の神風プレスぐらいしかなかったのだが、草津では彼の活躍する場面が多い。試合終盤には下がってパスを受け、ドリブルしながらボールをキープしたりもした。90分間走り回る小柄な彼のプレーぶりは八面六臂の牛若丸といった風だ(草津公式のキャッチフレーズは「帰ってきた草津のミニ四駆」ですか。うーむ・・・)。
 まあ、彼がああいう目立ち方をするというのはチーム状態の悪さを表している。本当はもう少し効率的なプレーをしたいところだ。金成勇がサイドに流れてクロスを上げ、小林が飛び込んで行くというのは、いかにもチグハグだ。この日は欠場していたアレックス・ラファエルとのコンビとか、どのくらいのものなんだろう?
 湘南時代はいかにもな不遇っぷりだった選手なので頑張ってほしいのだけどね。

【レジェンドのエキシビションマッチ】
・ベルマーレОBとスキマスイッチ常田真太郎さん率いるSWERVESの対戦。
・CBコンビは村山祐介と北島義生のコンビがフル出場。人がいなかったから。。。
・ムラ様は素人相手にどこまでやってよいのか間合いを計っている間に先制ゴールを許す。しかし後半は鋭い出足でインターセプトしたりした。
・小島さんは貫録のプレー。毎回ナイスセーブを見せる。
・僕のアイドル、エジソンは相変わらずの安定感。エキシビション職人というか。
・名良橋はスローインの時にtotoのCMを再現しようとしたけど周りが反応せず。ハーフタイムに映像に併せてやり直した。
・ヤスは案外動けなかったのだけど、仕方ない。途中から4~5人が前線で待っているので中盤でボールをさばいていた。

・SWERVESは藤田俊哉がガチだった。ずるいよ。
・13番の選手が藤田とやたら絡んで攻めてきた。あれがスキマスイッチ? 上手いよ。
・監督はディエゴ。ワールドカップトロフィーを持って登場。失点時はベンチ前で選手たちが土下座をするお約束。
・予告されていたディエゴ・加藤・マラドーナはいなかった。彼は鉄板なので残念でした。

・後半、加藤大志と鈴木将太の右サイド先輩後輩コンビは見ものだった。入れ替わりながら突破してクロスを上げた。
・絶好機に外す柿本を見て昔を思い出す。。。。
・リフレクションに鋭く反応してダイビングヘッドを決めたハイエナ横山聡はオフサイド。昔を・・・
・今年も楽しみました。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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