「菅井システム」がなくなったせいでスコアレスになった仙台戦
ベガルタ仙台のキーマンの1人である菅井直樹が17分で退いたことで、ゲームの様相は変わった。その変化はスコアレスドローの遠因だったろう。
(2015年3月22日 湘南ベルマーレ0-0ベガルタ仙台 ShonanBMWスタジアム平塚)
仙台の布陣は4-4-2である。DFラインは右から菅井-鎌田次郎-渡部博文-石川直樹と並び、4人がフラットに並ぶ中盤は右から茂木駿佑-富田晋伍-梁勇基-野沢拓也と並ぶ。2ラインを綺麗に敷いて、なおかつ2トップのうち金園英学がプレスバック要員である。ウイルソンは基本的に前残り。
特徴的なのは何といっても菅井の攻撃参加で、右SHの茂木を追い越してウイングポジションにいるのが常態化している。気づいたら敵陣ゴール前に顔を出す神出鬼没さから「ステルス」と称される。
それを担保するために、DFラインの残り3人は最終ラインを離れずにいる。それと茂木は右サイドから中央に絞り気味で、タッチライン沿いは菅井に任せているような印象だ。
その菅井が17分でピッチを退く(ふくらはぎ痛)。
替わって出場した蜂須賀孝治はそのまま右SBに入る。ただし菅井と同じタスクは課されなかったとのことで(当たり前。あれは特殊技能過ぎる)、蜂須賀はあまり前に出てこない。茂木も従来通りの動き方に徹していたというか、ウイング的な位置取りはせず、菅井が攻め上がるスペースを空けていたような印象だ(でも菅井はもういない)。
バランスを取ろうとしてか、左SBの石川直樹の位置取りが少し高くなった。とはいえ、もともと左サイドには野沢がいて梁も流れてくる。石川が前進するまでもない。
つまり、菅井が攻め上がることを前提にした「菅井システム」が徹底していて、菅井が抜けたことでその分の攻撃力がそのまんま欠けたというのが私の印象だ。
菅井→蜂須賀の交代は、少なくとも当初は攻撃力の欠如をもたらしたのだが、その反面、堅牢な守備を強調することにつながった。
仙台の戻りが速いのは確かでブロックが崩れることは少なかった。それは、仙台がもともと人数をかけて攻め込むチームじゃないという大前提があるし、破調をもたらす菅井がいなくなったこともある。4-4の2ラインを崩して攻める場面が少ないので守備は堅くもなる。
守備を固めすぎてオフェンスを犠牲にしていたというべきで、チョウ監督の「そこまでしなくていいよと思いましたけど」というコメントにはそういう含みもあるのだろう。
「菅井システム」が消滅したことが湘南にとって良いことだったのかはわからない。
仙台の右サイドと湘南の左サイドがお互いに攻め込み合うことでゲームに波をもたらすと予想していたのだが、その波は生まれなかった。湘南にとって失点のリスクは減ったかもしれないが、付け入る隙も減った。
興行としてどうなのか、と思わないでもないが、まあ仕方ないだろう。仙台にとっては立ち戻るべきスタイルがあれなのだから。
湘南については、U22代表招集で抜けた遠藤航のところが注目だった。島村毅が先発したので「2年前の前回対戦では2ゴールを決めたしね」と思ったが、代役候補1番手のキム・ジョンピルがベンチにもいなかったので怪我か。
島村は遠藤のようにはオーバーラップしなかった。左の三竿がいつも通りに攻め上がっていたので自重したという面もありそうだ。仙台の2トップは少人数でのカウンターを敢行できるので、J2時代のように1バック状態にすることは避けているのだろう。ただ、ボランチの永木亮太が両サイドのウイング的なポジションに進出する場面が多く、2014年には減っていたこの動きは注目すべき点だ。
湘南の前線はブルーノ・セザルがベンチで1トップに大槻周平、2シャドウは高山薫と大竹洋平という先発メンバー。コンディションの問題かもしれないが、仙台の両CBの跳ね返し力を鑑みて、最前線には攻守両面にわたる運動量を要求したのかな。
あと、高山薫は柏での1年間で確実に成長していると感じた。前半に披露した薫ーレットはともかく、プレーの幅が広がった印象。カットインしてシュートを撃つだけでなくキープすることも選択肢になっている。後方からのロングボールも、なにげに大槻よりも上手に処理していた。
【今年の演出について感想】
試合前に2回コール&レスポンスをしているが、これには賛成ではない。
もともと私はコール&レスポンスに懐疑的だったのだが、2014年シーズンは私の懸念を覆すハマり具合だった。思ってたより全然よかった。キックオフ直前にしたのが勝因だと思う。選手が目の前にいて、彼らを後押しする趣旨がわかりやすいからだ。
今年も、キックオフ直前のコール&レスポンスは相変わらずよいと思う。問題は選手紹介時の方だ。選手の姿がないので気分が乗らない。
それに、私は選手紹介が間延びする企画はどんなものでも評価しない。19人もの選手・監督を紹介するのだから、少しでもまだるっこしいと感じたら駄目だと思う。
サポーターではない一般客・初見の客からしたら、きっちりとしたナレーター仕事で紹介してもらわないと聞き取りにくい。あと、もしかすると疎外感を感じるかもしれない。「ふーん。常連のサポーターは盛り上がっているなあ」と。そういう施策はすべきではないと思っている。
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