清水のカミカゼサッカー
カミカゼサッカーという形容は湘南に対してなされることが多いのだが、この日は清水のものだった。最近はやりのファイアーフォーメーションというか。
(2015年5月23日 湘南ベルマーレ4-0清水エスパルス ShonanBMWスタジアム平塚)
清水の布陣は守備時に5バックになる3-1-4-2。3バックは右から三浦弦太、杉山浩太、松原后の3人。六平光成をアンカーにして、その前のインサイドハーフに大前元紀と石毛秀樹。右WBに河井陽介、左WBにミッチェル・デューク、2トップは長沢駿とピーター・ウタカ。
前プレという感じではないが、攻撃時には前方に人数がいるという印象。
はっきりいえば三竿に長沢を当ててハイボールで競らせる作戦。これはハマっていた。長沢がフリックしてウタカが裏を狙うシーンに始まり、ウタカがDFラインを引っ張って空けたスペースで長沢が壁役になって大前、石毛とワンツーを決めたり。
長沢はアンドレ・バイアや遠藤航に対してはからっきしだったという話もあるが、対三竿であれだけ圧倒していれば十分に脅威だった。
なのに湘南が先制するとあっさりベンチに退いた。これは助かったという感想。
長沢への放り込みのほかに清水が見せた攻撃は「ウタカよろしく」と「ミッチェルよろしく」だった。割と真面目に印象を語っている。
あとは石毛が上下動してビルドアップに参加したり、前線へ飛び出したりと精力的だった。
問題は大前で、目立っていなかった。繋ぎ役に徹していたというか。石毛や六平のほうが攻撃参加の印象が強かった。
確かに清水にもチャンスがあって、秋元陽太のナイスセーブに救われたシーンもある。
だけど、清水が先制していたら結果は変わっていた、という気はしない(もちろん結果論で語っているが)。だって清水の守備はハチャメチャだったもの。
怪我人続出で守備が不安なのだろう。その不安材料を隠すために3-1-4-2で前からプレッシングをするのかと思いきや、そうでもない。フォーメーションとは裏腹にハイプレスの印象がなく、両WBもあっさり撤退して5バック状態になるし。それでいてDFラインは高いので、湘南は裏への飛び出しを連発した。
清水の3バック右の三浦は戦犯扱いされやすそうな選手だが、ちょっと可哀想だ。
確かに彼は「ボールを持ちたくない」症候群に犯されている。サイドで三浦・河井と菊池大介の2対1のシーンがあって「やばい」と思ったのだが、三浦は即座に河井にパスを出し、菊池はどっちつかずな状態に陥らずに河井との1対1に専念できた。その彼の特徴はスカウティング済みだったのか、高山薫や大槻周平のプレスの標的にもなっていた。
ただしその一方で1対1の守備は堅かった。「引いて守る」を選択してもそれなりに役立ちそうな選手である(湘南視点で)。それなのに闇雲なハイラインで弱点を露呈した状態で晒されている。
こうして書いてみると村松大輔を思い出す(本当は試合前から思い出していたよ)。
村松も似たような感じでボール扱いを不得手にしているところが清水サポからは不評だった印象だが、今の清水では待ち焦がれられている。三浦君も同じようになれるとよいね。
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