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2021年3月 2日 (火)

VARのゲームは腹立たしい。前評判通りだが

 ビデオアシスタントレフェリー(VAR)が導入された試合に行くのは初めてだったが、なるほどこれは面白くない。「サッカーの本質を歪める」のかは知らないが、スタジアムで観戦する人を蔑ろにしているとは感じる。
(2021年2月27日 湘南ベルマーレ0-1サガン鳥栖 レモンガススタジアム平塚)


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 この日のゲームで直接的にVARが関与したのは
・岡本拓也のゴールが、直前の山田直輝のハンドリングで認められなかったシーン
・サガン鳥栖にPKが与えられたシーン
の2つだろうか。
 その結果として湘南はウノゼロ敗戦を喫したので、もちろん面白くない。
 だけど、ここで話題にするのは、VARによって不快感が増して、頭の中に疑問符が駆け回るということだ。
 
 どちらのシーンについても判定の結果に異論はない。
 しかし、鳥栖にPKが与えられたシーンのプロセスについては謎が残った。
 DAZNのタイマーで時系列に整理すると次のようになる。
 
73分19秒 結果的にPKとなった高橋と飯野の接触
73分27秒 主審が笛を吹いてプレーを止めた
75分44秒 主審がTVシグナル(に見える動作)
77分08秒 主審がTVシグナルをしてオンフィールドレビューのモニタに向かう
78分16秒 PKのジャッジ
79分15秒 プレー再開(PK)の笛
 
●1つ目の謎
 接触からすぐに笛を吹かなかったのはわかる。吹いてみて「映像見たらファウルありませんでした」という事態を避けるということですね。それはよいのだけど、ゼスチャーが謎。
 前方に片手を突き出してPKを宣告しているにように見えたが、
「…プレーがまだ停止していなければ、その後ボールが(通常、どちらのチームも攻撃の動きをしていない)中立な地域に移動する、または中立な状況になったら、主審がプレーを停止し、「TVシグナル」を示す。」(競技規則146ページ)
という規定からすると、あそこではTVシグナルをすべきだったのではないのか?
 あのポーズの意味はなんだろう?
 
(3/6追記)「Jリーグ ジャッジリプレイ」でこのシーンが取り上げられていた。深野悦子氏のコメント「(2つ目の接触時の)オフェンスのファウルで取ったんだと思う。手はちょっと違う方向を指していましたけど。それでVARが介入したという流れだったと思います。あの主審の手は違う手だったかなと思います。ちょっと紛らわしかった」。やっぱりあのジェスチャーについては疑問符がつくのですな。
  
●2つ目の謎
 笛を吹いた直後の高山主審は、出血している谷晃生の状態を確認することを最優先のように振る舞っていた。
 なので、TVシグナルをしたのは笛を吹いてから1分以上経ってからだった。
 それはいいのだけど、VARのリプレー検証は笛を吹いた直後から始まっているはずなので、さらに1分以上にわたってピッチ上の全員がボーっと待っていたのは謎。謎というか、これは事実上初回だから不慣れで時間がかかったということなんですよね?
 あれが標準的な検証時間なのだとしたら悠長すぎて話にならない。興業としては破滅的に無駄な空白だった。
 
●3つ目の謎
 高橋と飯野の接触の後で、鳥栖の石井快征と林大地がシュートを撃ち、そのいずれも谷のナイスセーブに阻まれたのだが、あのプレーは遡って「なかったことになる」わけではないよね?
 公式記録によると、石井快征のシュートはカウントされているが、林大地のシュートはカウントされていないように見える(カウントされなかったのはもう一つのシュートなのか?)。
 谷のあの連続セーブが「今節のベストセーブ」に選ばれれば、それが答えなんだけど(答えなのか?)。
 
●4つ目の謎
 上記のように、高山主審がプレーを止める笛を吹いてからプレー再開の笛が吹かれるまで5分48秒かかっている。
 後半にはこのほかに飲水タイム1分があり、選手交代で時間を費やしたのが2回あった。これでアディショナルタイムが5分とは、一体どういう足し算か?

(競技規則より)
主審は、以下のように前半、後半に空費されたすべての時間を追加する:
・競技者の交代
・負傷した競技者の負傷の程度の判断や競技のフィールドからの退出
・時間の浪費
・懲戒の罰則
・「飲水」タイム(1分間を超えてはならない)や「クーリング」ブレーク(90秒間から3分間で)など、競技会規定で認められる医療上の理由による停止
・VARのチェックやレビューに関わる遅延
・プレーの再開を著しく遅らせる行為(例えば、得点の喜び)を含む、その他の理由

 
 
 審判団が判断するまでみんなが止まって無為に待たされるのも、オフサイドディレイ(前半29分あたりにあった)も、現地観戦者としてはイライラするが、VARはスタジアムにいる観戦者のためではなく、テレビで見ている視聴者のための施策だから当然の帰結である。それは制度について知ればわかるのだけど、ちょっとは隠そうとしてほしい。
 アディショナル・タイムが短かくなるのも、2時間の放送時間に収めるためだと邪推したくもなる。「この日の四審は足し算できない人なんですよ。HAHAHA」という話であってほしいとすら思う。
 
 もちろん、やってる方も見ている方も不慣れなので、慣れによって緩和するのかもしれない。
 …そういうふうに受け入れようと思っているけど、そんな中で山田直輝のハンドリングをきちんと判定したからといって「よく見てたでしょ」と自賛した話が流れてくるのは不愉快だ。「足し算もできないくせに」と言いたくなってしまう。
 もうちょっと理性的に振る舞うとしたら、「89分40秒に柴田壮介がファウルで倒されたシーンは、シチュエーションからいって『相手の大きなチャンスとなる攻撃を妨害、または阻止』に当たるのでは?」と言うけど。
 
【試合内容について】
 完全に鳥栖の松岡大起がキーマンだった。湘南の2トップが松岡へのパスコースを切り続けていたのだが、ちょっとしたスキに1タッチ触れるだけでもチャンスの匂いがした。去年はここまで怖い感じではなかったけど。
 鳥栖の金監督は「湘南の2トップを締めさせる狙い」があったとコメントしていた。確かにそれは実現していたけど、それでゲームを優位にできていたかというと疑問もある。
 
【レモンガススタジアム平塚での初戦】
 今シーズンから「KINGBELLPARK」のゲートが新設された。
 新スタジアム名での門出の日なので、勝ちたかったな。

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高スポ執筆者

  • 荒木又三郎
    高スポ創刊者にして主筆。ACミランを愛する後天性フランス人。高スポ編集雑記に本音をぶちまける。
  • 三鷹牛蔵
    高スポの陰の支配者。湘南ベルマーレを愛する先天性ジャパニーズ。

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