VAR時代の劇的勝利とはこういうもの
後半ATのイニエスタの直接FKが決まって同点、と思いきやVARの介入で武藤嘉紀のハンドリングで取り消され、そこでタイムアップ。湘南の勝利となった。神戸の選手たちが主審を取り囲んでいるが、試合は終わっているので高みの見物だった。
(2022年5月21日 湘南ベルマーレ2-1ヴィッセル神戸 レモンガススタジアム平塚)
試合としては、神戸が苦労している様子が伺えるものだった。試合前の時点で1勝4分7敗で17位なのだけど、それとは関係なく内容が。
もちろん、大迫勇也がおらず、サンペールは長期離脱、フェルマーレンの後釜候補として獲得した槙野智章も欠場していたという事情もある。
ロティーナも監督就任から1か月半でリーグ戦5試合目であり、まだ戦術が浸透していないのかもしれないし、見合った選手がいないのかもしれない。
神戸の布陣は4-2-3-1というか4-2-1-3というか。
カギとなるのは両SHというかウイングのように見えた。左の汰木康也と右の郷家友太。
前半は汰木が2トップの一員であるかのような位置取りをすることが多く、左SBの酒井高徳が孤立しているような印象を受けた(対峙する畑大雅が効いていたともいえる)。40分に湘南が町野のゴールで先制した辺りで修正が入ったらしく、タッチライン沿いにポジションを移したように見えた。
一方の郷家はタッチライン沿いに開いて右SB山川哲史との連携で湘南の左サイドを攻略しようとしていた。ただし、何かのタイミングでイニエスタとポジションチェンジをしたときに、割といつまでも中央に残っていて、ボールを受けるとドリブルからのシュートをみせていた。強引なプレーという印象を持った。「いましかシュートを撃てない」という心の声が聞こえたような気がした。
そのときに郷家の代わりにタッチライン沿いでウイングの位置取りをしていたイニエスタは偉いなあ、と思った(やれやれ感が出ていた気もするけど)。
40分の湘南の先制ゴールは、杉岡のボールタッチがとてもよく、シュートする位置にきっちりボールを置いていた(ルヴァン決勝のあのときみたいに)。私の席はほぼ真後ろだったので、シュートのコースがくっきり見えていた。瀬川のワンタッチも見えていたので町野のオフサイドを心配して喜びに出遅れた。
ハーフタイムに神戸は、郷家に替えて小田裕太郎、山川哲史に替えて初瀬亮、と右サイドを丸ごと替えてきた。初瀬は左SBに入って酒井高徳を右に回した。
高徳を右に移したのは納得。汰木との関係性も問題だったけど畑とのマッチアップを嫌った可能性もある。いずれにせよ高徳が目立たない神戸は怖さが何割か減るのは確かなので、手を打つのは当然だったろう。
しかし51分に町野がハイプレスでボールを奪って無人のゴールにシュートを決めて2点差に。
これは大きかった。59分にCKから菊池流帆が強さと高さを生かしたゴールを決めて1点差となったが、試合の流れとしては「湘南が守り切るか」というものだった。こうなるとかなり有利だし。
【書かなかった前の試合】
神戸戦の1つ前のホームゲーム、マリノス戦については記事を書かなかった。
ホームゲーム2戦続けて1-4だったけど、清水戦とは違って書きたいことがなかった。普通に力の差を感じたので。
開始早々のタリクとGKの1対1、CKに飛び込んだ大橋のヘッド、どちらかが決まって先制したらまた違っていたのかもしれないけど。
一つ感心したのは、82分に選手交代で退いた永戸勝也が、タッチライン沿いを70~80メートルぐらいユニフォームを着たまま歩いていたこと。ピッチ上の22人以外の選手はユニを着ない(脱ぐ)のがマナーになっているっぽい中で(ルール上そうですよね?)、審判にとって紛らわしい行為をするのは「自チームの選手にとっては紛らわしくない」という確信があってのことなのだろう。選手のいるべきポジションは決まっていて、皆それを守っているということで。
あるいは、本当に審判を混乱させる意図だとしても、それはそれで勝利への執念ですごいことだ。3点リードしていても勝利のためにできることは何でもするという。たとえば、誰かに注意されるまでは指笛を吹いてピッチ上を混乱させるみたいな。まあ、今回の場合は永戸がトボトボ歩いている間に湘南が1点返したのだけど。
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