ザックのめざす自ら仕掛けるサッカー――アジアカップ
ドラマチックな展開をみせたアジアカップは、優勝で幕を閉じた。PK戦の末にライバル韓国を下し、決勝ではオーストラリアを破ってのタイトル奪取となれば、盛り上がるのも無理はない。ただ、めざしていたスタイルをどこまで発揮できたかというと甚だ疑問で、勝因はチームとしてのまとまりの良さにあったと考える。久しぶりの優勝に一通り浮かれた後で、ザッケローニのめざしている方向性を考え、それに沿ったチェックをしておきたい。
ドラマチックな展開をみせたアジアカップは、優勝で幕を閉じた。PK戦の末にライバル韓国を下し、決勝ではオーストラリアを破ってのタイトル奪取となれば、盛り上がるのも無理はない。ただ、めざしていたスタイルをどこまで発揮できたかというと甚だ疑問で、勝因はチームとしてのまとまりの良さにあったと考える。久しぶりの優勝に一通り浮かれた後で、ザッケローニのめざしている方向性を考え、それに沿ったチェックをしておきたい。
強豪アルゼンチンを初めて下したとはいえ、金星と騒ぐほどのことではないだろう。メッシがフル出場してそれなりの本気度を示したとはいえ、次々と負傷離脱した相手選手たちをみると、残念ながら彼らがベストコンディションだったとは言い難い。戦術的にも新味が感じられたとは思えないが、それでもW杯では鳴りを潜めた果敢な攻め上がりがみられた点は評価できよう。
3戦全敗は必至ともいわれた岡田ジャパンが、まさかの決勝トーナメント進出を決めた。デンマーク戦の勝利は歴史に刻まれ、次の大会で指揮官が掲げるハードルはまた跳ね上がるのかもしれない。しかし、一つだけ確かなのは、我々がみているチームがこの間の集大成ではないことだ。岡ちゃんがつくったチームなんて、もうここにはない。
初戦で勝ち点3を得た価値は、大きい。これで3戦目が消化試合になることはなくなった。しかし、カメルーンの草サッカー並みの攻撃を、前線3人の渾身のプレーで凌いだ日本にとって、2戦目をいかに戦うかは大きなターニングポイントとなるかもしれない。あの戦いぶりを3度続けさせるのは無謀かつ無情であり、それでオランダに負けないという保障もどこにもない。むしろオランダがあくまでグループリーグ最強と考えるなら、デンマーク戦に備えてメンバーを入れ替えるのも一つの手だ。
韓国戦の敗北は、岡田監督を文字通りのがけっぷちに追いやった。子どもにでも分かる「力負け」の試合内容に、メディアは俄然、盛り上がっている。しかし、この非常事態にあって、協会会長への「進退伺い」などいう何があったのか知りようもない話題を引っ張る姿は、醜さを通り越して滑稽だ。我々はただ、今やVIPになってしまった指揮官が、12年前の想いを取り戻してくれることだけを願えばいい。
南アフリカW杯まで、残り2カ月を切った。ベスト4を目標に掲げた岡田ジャパンはしかし、まったく注目を浴びない存在になってしまっている。これまで、“代表”と呼ぶのがためらわれるようなパフォーマンスを繰り返してきたのは確かだが、一方で最新のバーレーン戦では会心の勝利を収めたはずなのに……。もはや、メディアが盛り上げようとした解任論にすら火がつかない有り様は、指揮官が官僚さながらの能面で“信念の人”を演じるからだけではないだろう。それはたぶん、彼のめざす代表チームの完成形が、必ずしも胸を張れるようなものではないからに違いない。
対抗する手段はプレッシングサッカーのみ、という結論は何も変わらないということだろう。日本が怒涛のボール狩りを仕掛けられたのは、前半30分まで。ハーフタイムまでは何とか優位に立っていたが、後半に入ると主導権はまったく握れず、建て直すことができぬままに失点を重ねた。しかし、約30分間とはいえ、オランダを戸惑わせたことにこそ、価値がある。最終的なスコアは実力の差を雄弁に物語るが、それは期待の持てないシュートを撃ち続けた前半の日本に対し、オランダは相手の守備を崩さずともゴールできるという当たり前の事実を示したに過ぎない。今後の岡田ジャパンには、プレッシングの抜き差しを誤らず、攻撃の精度を上げていくことこそが求められる。
W杯予選におけるオーストラリアとの戦績は、ホームで引き分け、アウェーで敗北に終わった。この結果はつまり、名実ともにアジア最強の看板を失ったことを意味するはず。そもそも予選を締めくくるアウェー戦に関しては、チームとしてこの試合をいかに位置づけているのかがわからなかった。オーストラリアがアジア最大のライバルであることは今や間違いないわけで、その相手に対して「全精力を傾けて勝ちにいく」のか、あるいは、「W杯出場を決めた後の消化試合として選手を試していく」のか。2つの選択肢の間で、岡田監督がどちらを重視しているのかが、最後までみえなかった。
満を持して臨んだはずのホーム2連戦は、岡田ジャパンの限界を露呈した。引き分け上等のオーストラリアを完全に攻めあぐね、1-0での勝ち切りを狙ってきたバーレーンにはFKからの1点でかろうじて勝利を収める始末。それは、「本大会でベスト4」という目標を掲げるチームとはとても思えない内容であり、攻撃を率いる10番の不在を印象付けた。中村俊輔と遠藤の共存に固執する指揮官に対し、今一度疑問を呈したい。
ウズベキスタン戦の引き分けは、バーレーンに対するアウェーでの勝ち点3を帳消しにした。この結果に岡田監督は、「まだ問題ないと思っています」とコメントするが、メディアは次のカタール戦で負ければ解任!と騒ぎ立てている。しかし、彼が抱える本当の問題は、就任から十数試合を経てもチームに成長がみられないことに尽きるだろう。失点シーンから、問題点を洗い出したい。
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